(from diary of 1989/12/22)1 1989/12/22(Fri, kpwaluka)
カタナ君のmukoi2、Munyazi Mechombo3に会いに行く。Munyaziは近々ku-lavya nze56を行う予定(資金さえあれば)。彼女はつい先日、ku-phula mizigo93を受けたばかり。詳しい話を聞く。そのまま泊まることに。夜中の12時頃までさまざまなトピックで話を聞く。蚊が多いのに悩まされる。念のためにMontbellのシェルターMoonLight1116を持ってきたのは正解。そのなかに入ったら蚊ははいってこない。
ムニャジさんとは、カタナ君の交差イトコの「デマ情報」がもとで偶然親しくなった、同じくカタナ君の父方交差イトコ(mukoi2)の女性で、知り合った当初は、やたらと憑依霊の話題が豊富な、だが施術師ではない(施術師になるためのンゴマを直前に控えていた)よくしゃべるおばさんで、その後も親しく付き合わせてもらうことになった。彼女の簡単な経歴はこちら。以下のテキストは知り合って2度目(1989/12/22)に泊まりがけで話を聞きに行った際のインタビューの一部である。このときムニャジさんは「重荷下ろしのカヤンバ」をほんの2か月ほど前に受けたばかりで、まだ新鮮な記憶に基づいて、その施術の内容がこと細かく、臨場感をもって語られている。
その後、いくつもの「重荷下ろし」のカヤンバに参加する機会があったが、このムニャジの話がいつもその基本構造の知識として役に立った。というわけで、ぜひ共有しておきたい(誰と?)。
各パラグラフ冒頭の数字をクリックすると、対応するドゥルマ語テキストに飛びます。
Munyazi(M): へえ、あなた、ずいぶん以前に来てたのね117。(私の受けた「重荷下ろし」は)つい先日、ここで。10月の27日だったわ。残り3日だったわ、11月がやってくるまで。そこで私は、荷物をおろしてもらったのよ。 Hamamoto(H): で、その荷物はどんな風に降ろされたのですか?というのも(私が参加した)あの徹夜のカヤンバ(12月15日にムァモコで実施されたチャリのための「重荷下ろし」)では、施術師たちはずいぶんたくさん間違っていたらしいというので。 M: 今日、カヤンバで徹夜するとするでしょ。カヤンバで徹夜。ンガーッ118てなるまで。あたりがンガーッてなるまでね。朝の1時半(日本などで言う午前7時30分)119になったら、私はクズザ(kuzuza68)されます。ライカ(laika71)をクズザされるの。人々は出かけて、戻ってきて、私に(キブリを)戻してくれる。それが済む。施術師はもう一度据えられます(座らされてカヤンバの演奏で取り囲まれる)。今度はあれよ、イキリク(ichiliku95=shera)をとってくるのよ。 Katana(K): 最初はあっちの方に行ったんですか? M: そう。人々はあっちのムズカに行ったのよ。 H: ムズカにですか。もしかして川のことでは? M: 違うわ。木よ(バオバブなどの木の根元の虚穴)。でも大きなムズカよ。
Munyazi(M): まず、あっちの方へ行って、やって来て戻す、それが終わると、施術師はもう一度座らされるのよ。そして、今度はこちらの川の方へ行くの。つまり川に行くんだけど、そこにも同じようにムズカがあるのよ。でもそちらの方は、施術師は水の中に入っていく。そしてイキリク(が奪ったキブリ?)を取ってくる。 Hamamoto(H): 水の中にまで入っていくんですか? M: そうよ。おまけに施術師の一人は、彼女のビーズ飾りを失くしちゃったのよ。私が今着けているこいつみたいなやつ。それと、これに似たピングもね。水の中で失くしちゃったのよ。 H: 水の中でどこに行ったかわからなくなった? M: そうよ。 Katana(K): 水の中で失くすことは、悪いことなんですか、それとも? M: 何が悪いっていうの?彼女のミスはね、憑依霊がいない状態で水に入ったことよ。
Munyazi(M): 彼女が(イキリク=シェラのキブリを)取って来ることになってたの。男性の施術師の方はあちらの(大木の)ムズカに行って取って来たから。さて、こちら(川)の方では、つまり、彼女は相方(の男性の施術師)を補助しようと、ただ入って行っちゃったのよ。でも、彼女には憑依霊はいなかった。彼女が憑依霊の宿主(所有者)だったのに。そもそもね、イキリク自身は、一人の施術師では(キブリを)戻せないのよ。イキリクは施術師二人、男と女の施術師、によってとり戻されるの。 さて、そこを出て、ここに戻ってきたのは、正午ごろだったわ。私(のキブリ?)が戻されて、終わりました。さあ、今度は風(peho)を戻してもらいます。それも終わりました。ということで今や、私が(カヤンバの演奏の輪の中に)据えられました。延々と私にカヤンバが演奏されて、ついに憑依霊が全身を満たしたの。で、私は、身体中にあの重荷を載せられました。 Katana(K): ところで、(施術師たちが)あちらと、そちらに行ったとき、あなたは、ここ家に留まっていたのですか、それともあなたも、そちらの方に行ったのですか? M: いやいや。私は行かなかったわよ。私はここにいました。そもそもここのマット(kuchi120)の上を離れなかったんだもの。(施術師たち)彼らがあちらに行ったのよ。 Hamamoto(H): そしてここまで帰ってきた。
Munyazi(M): そしてここまで帰ってきた。私は死んだ人みたいに寝かされてたのよ。黒い(ムルングの紺色の)布で全身すっぽり(buu121)覆われてね。さて、彼らが戻ってきて、家の中に入った。彼らはまず小屋の周りを周回して、2周した後で、3周目に中に入って来るのよ。さてそこで私は(マットの上に脚をまっすぐ投げ出して)座らされて、瓢箪が一つここに、耳のところに置かれるの。こちらも一つね。 Hamamoto(H): 瓢箪が? M: そうよ。瓢箪から息を吹き込まれるの。 Katana(K): 瓢箪はひとりでに立っている?それともつかまれている? M: ちがうわ。人がつかんでいるのよ。ここの瓢箪はつかまれている。だって、そのとき私はこんな風に寝かされていたから(浜本注: いつのまに?)。でもここの瓢箪(胸のところ)はここに座らされていた(置かれていた)。で別の瓢箪はここに立たされていた。そう、ここ耳のところにね。 K: あなたはそちらで寝ていた?
Munyazi(M): そうよ。息を吹きかけられたの、吹き込まれるのよ。この人、カリンボは見たことがあるわよ。ほらね。彼がちゃんと詳しく話してくれるわよ(浜本注: ムニャジさん、私を買いかぶりすぎです。この頃はまだちゃんと理解できてませんでした。)
さて、これ(ライカのキブリ戻し)が終われば、施術師たちはあちらの方に行って、そっちでも帰ってきてもう一度(イキリクのキブリ戻しを)同じようにやります。さて、その後は、いよいよ、私は例の私の重荷を身体に着けられるのよ。ここと、ここ(両肩と首の前後)、それと頭の上にも。さあ、私はこれらの重荷をもって先頭を進まされます。ね、おお仕事でしょ。 Katana(K): その重荷って、どんな荷物なの?その重荷って? M: 瓶でしょ、石でしょ、それから土を捏ねて作った球でしょ。それらの瓶はね、(編み籠(hundu123)の)中に入れて、後であちら(木の台が設置された水場に)行ったら、水を入れられるの。それらの瓶は中に差し込まれます。つまり編み籠(mahundu123)の中にね。編み籠はヤシの葉を編んで作るのよ。 K: それを肩に掛ける? M: そうよ、こっちの肩とこっちの肩に掛ける。そして頭上には編み籠(chikaphu124)、そしていよいよ石よ。 K: 地面に叩き落としたりしない? M: どうやって叩き落とすっていうんだい?落としたりしようものなら、もうしたたかに鞭打たれるよ。
Katana(K): あなた、こんな風に鞭で叩かれるんですか? Munyazi(M): そもそもね、あなたはそれらの重荷を持たされることが嫌なんだよ。ここで、ここに持たされることが好きだと?そもそも嫌なんだよ。こちらも、こちらも塞がれるんだよ。あなたはあちら(木の台(uringo125)に連れて行かれること自体が、すごく嫌なんだから。あなたは、ただ家にいたいんだよ。というわけで、あなたはここやここを鞭で打たれるのよ。あなたは鞭で打たれて、ついに、重荷を受け入れるのよ。こちらの肩にも、こちらの肩にも下げられる。一つは頭の上にね。さあ、出発させられる。それも嫌い。 K: そこで重荷をもたされるとき、憑依霊はすでにあなたに来ているのですか、それともまだやって来ていない? M: そう。あなたには憑依霊がいるのよ。あなたこんな風に素面で127重荷を持たされるとでも?それは間違いよ。それで、どうやって重荷を下ろしてもらうというのよ?もしこんな風に憑依霊ぬきで、重荷を降ろされたとしても、全然重荷を下ろしたことにはならないわ。あなたがその人(憑依霊)をもっていないとね。中にもっていないとね。
Munyazi(M): さて、あなたはシェラの重荷をつけて、そこに行かなけりゃね。そう、そこに着くまで、こんな風に泣きながらね。 Katana(K): 鞭で打たれながら? M: そう、したたかに打たれながらね。 K: 施術師が鞭打つんですか? M: そうよ。だってあなたは少し歩いては、止まっちゃうんだもの。それがよくないのよ、歩いては立ち止まるのはよくないとされるの。一気にそこまで進んでいくのが望ましいのよ。ここの脚のところを鞭打たれながら、歩いていくの。したたかに鞭打たれます。それはもうすごく鞭打たれるの。あなたは痛みのあまり、涙がポロポロ。 K: カヤンバも演奏されてるんだよね。 M: それはもう激しくね。そこ、そこに到着するまで。 K: 川に? M: 池によ。そこに到着すると、そこには、何て言ったっけ、ウリンゴ(uringo125)がこんな風に用意されているのよ。
Katana(K): ウリンゴ? Munyazi(M): そうよ。その上には小枝を編んだ簾がきっちり敷いてある。そうそう、あんたたち、もしそこを通り過ぎることがあったら、行って見てごらん。私のウリンゴはまだそこにあるわよ。その池のなかにね。まだ倒れてないわ。だってつい先日なんだもの。さて、そこに着いたら、まずはあなたはこんな風に人の膝のうえに座るの。そのウリンゴの上には、その人が先に腰掛けているの。さて重荷をおろしてもらう人は、その人の膝のうえに座るのよ。 K: 膝の上に座らされるのですか? M: そうよ。人の身体の上に座らされるのよ。さて、こうしてそこに座らされたら、下にはもう一つ小さいキリンゴ(chiringo125)が置いてあって、そこに足を置くようになってるの。足がぶらぶらするといけないのよ。 K: 両足がぶらぶらしないように?なるほど、なるほど。
Munyazi(M): そうよ。さて次に、薪の束が持ってこられます。この場所に着いたら、薪の束が持ってこられるところから始めるのよ。 Katana(K): で、あなたの重荷はまだもったままなの? M: あなたがそこに着いたら最初に、もしそこ(ウリンゴに)座らされるとしたら、まず重荷を下に降ろすことになるわ。 K: ウリンゴに座らされる前にですか? M: そうよ。それらの重荷は降ろさないと。そこであなたは言われるのよ。さあ、自分で降ろしなさいって。でもあなたは下ろすのが嫌なの。あなたは(人に)下ろしてもらいたいから。 K: 頭の上の荷物ですか? M: あなたは鞭打たれないとね。自分で下ろしなさいって言われないとね。あなたは鞭で打たれて、痛い思いをしないと。さあ、あなたは重荷を身体から剥がすのよ。バアッてね。それを下に置きます。それが済んだら、あなたは(ウリンゴの)上に上らされます。その上に上らされたら、今度は、例の薪の束よ、7束。
Munyazi(M): さて、まずは薪一束をあちらから取ってきて、こちらにもって来て、頭の上にのぼらせます。そしてさて、それを下ろします。 Katana(K): 薪の束を? M: そうよ。 K: 大きいんですか?それとも小さい、小さいやつ? M: 小さい、小さい束。でもね、重いのよ。なに?あなた小さい、小さいと(軽いとでも?) K: 子供が運ぶ束みたいな? M: 全部が、これらの小枝を束ねたみたいなね。さて薪の束は頭から降ろされます。バァッて。そして別の人が、また一束を降ろしていきます。バァッて。 K: 7束ね? M: そうよ。さあ、またこの人ももってくる、この人ももってくる。すべての束がすっかり降ろされるまでね。
Munyazi(M): さてそれらの薪が着きたら、さあ、今度は水を入れる瓶よ。同じく7本。全部水が一杯一杯に入れられます。すっかり。さて一人はもって来て、こちらにいる人はあなたにこんな風に背中を向けて(後ろ向きに立って)、手をこんな風にして、あなたに水を掛けるの。こちらの方からね。さてもう一人も、先の人が立っていたみたいに立って、こちらから、こんな風にあなたに水を撒くの。7本全てがすっかり終わるまでね。それが済んだら、いよいよヤギよ。ヤギは頭の上にこんな風に置かれるのよ。 Hamamoto(H): どんなヤギですか? M: そう。赤い(褐色の)ヤギよ。さて施術師が唱えごとをして、その後で、ヤギはこんな風に降ろされます。すべての関節をこするようにね、すべての関節をすっかりね。 Katana(K): 這わせて行くんですね。
Munyazi(M): そうよ。そして屠られるの。さて、それが済んだら、あなたは降ろされます。ウリンゴの上からね。あなたは地面に立たされます。
さあ、カヤンバです。家に着くまでね。家に着くのは真っ昼間ね。そこで、あなたは手鍬(jembe128)を持たされます。 Hamamoto(H): 手鍬を持たされる? M: 手鍬を持たされます。 H: 家に着いてから? M: そうよ。あなたはしっかり耕さないとね。もし嫌がったら、鞭で打たれるわ。さて、手鍬を持たされます。そしてあなたの夫は、マチェーテ(mundu129)を握らされます。そこに着くと、夫は草を薙ぎ払い、あなたは耕します。彼は草を薙ぎ、あなたは耕す。そんな風にしてあなたは、あなたの夫に嫁ぐわけよ。あなたは嫌がるけど、鞭打たれるの。したたかに打たれるのよ。土地の表面を耕し終わったら、さあ、あなたは(腰に)あなたの手鍬を差すのね。夫の方でも彼のマチェーテをもっていく。そしてあなた方のカヤンバも。その農作業のあいだ中、カヤンバは演奏...
Katana(K): 主宰した施術師が夫になるんですか。 Munyazi(M): 違うわよ。彼じゃないわよ。 K: 全く別の人。 M: 施術師は、あなた(重荷おろしを受けている女性)のお父さん(役)よ、あなた。(夫役をするのは)、誰でもいいの(カタナ君を指しながら)、あなただってね130。なぜなら、あなたがカヤンバに来ていて、たまたまその場でマチェーテを渡され、彼女(患者)のために草を薙いであげるなら、(そうすることで)あなたは彼女を娶ったってことにされるのよ、その場でね。そのことを知ってないとね。その後であなた方は家に戻ります。
さあ、家に着くと、あちらには(搗き臼で)搗かれたトウモロコシ。だって、そこでは搗かれないんだから。搗き臼(chinu131)が2つ。一つが頭の上に載せられて、こちらに肩に降ろされて、そのままドスンとこちらに落とされる。 K: 搗き臼が? M: そうよ。そして(もう一つが)頭に載せられて、こちら側(反対側)にドスンと落とされる。さあ、搗かれたトウモロコシ粒を編み籠(kaphu124)の中に入れます。
Munyazi(M): あの重荷を(頭に載せて)運ぶのに使った編み籠よ。家に着いたら、あなたは(挽き臼の)石を重ねます。あなたは畑仕事もすませた。そちらで、おかずの野草(mutsunga132)も摘みました。さてここ(家)に着いたら、さあ、あなたは何をするの?(挽き臼の)石を重ねます。さっそく臼で挽くのよ。たった数分よ。挽いたら、終わりです。ホット一息。あなたは練粥(wari133)を料理しろと言われるわ。このあなたの夫(役の人)に練粥を料理してあげてと。 Katana(K): 本物の練粥なの、それとも土? M: ああ、本物の練粥よ、そうじゃないと?あなたは(トウモロコシの粒を)挽くでしょ。挽くわけよ。さて、あの夫にあなたはその練粥を与えます。彼は食べることになるでしょう。なぜなら...。
ここで練粥を食べる前に、あなた方は二人そろって寝台に座らされるんだった。 K: 二人そろってで寝台に座らされないといけない? M: そうよ。それから(婚資の受け取りの)言葉に同意する134のが妻、投げ出すお金を差し出すことになるのが、その(夫役の)青年。その後、彼は4シリングを差し出さないといけない。その青年は紙巻きタバコのお金を与えないと。
Munyazi(M): さてここで、あなたの施術上のお父さんが、あなたに尋ねるでしょう。さあ、私にお父さんを教えてくださいって。あなたはまだ憑依状態なのよ、でも。カヤンバが打たれています。そこであなたは、あなたのお父さんはこの人ですって答えるの。あなたお父さん、あなたお母さん、あなたのお父さんはこの人よって。
さて、これが済んだら、いよいよ夫に練粥を作ってあげないとね。で、彼が食べて、食べ終える。カヤンバをもう盛大に打ち鳴らして、あなたは残った薬液をすっかり浴びてしまうのよ。これで(重荷降ろしの)カヤンバは終了よ。 さて、ここからは人々に食事を振る舞う手筈ね。で、人々(カヤンバに協力した施術師の弟子たちやカヤンバ奏者たち)と話をつけていたとおりに、彼らにお金を支払って、それが済んだら、みんなで酒(uchi135)を飲んで、おわったら、人々は解散します。どうわかった。こんな具合よ。 Hamamoto(H): ところで、例の練粥は小屋の中で調理されるんですか、それとも? M: そうよ。小屋の中でよ。なに、あなた方、チャリの(シェラを外に出すンゴマの際に、行ってご覧になったでしょ。どうだったの? H: ええ、そのとおりでしたよ。
Munyazi(M): な~んだ。家(の中)で料理されるのは、そうね、あそこで話題になったおかずもね。そして次にあのヤギ。半分はあなた方に与えられます。そしてもう半分は施術師本人が持って帰ります136。彼はこの部分(具体的にどこを指しているのかは不明)を切り取って、彼の弟子(anamadzi137)たちに与えたわ。でも鶏は、施術師がもって帰るわ。施術上の議論としては、彼がムズカに連れて行かれなかったのは、彼に対する過失ね。 Katana(K): ということは、練粥料理し、それが済めば、「重荷降ろし」関連のあれこれはすべて終わったと? M: すっかり終わったわ。
K: じゃあ、あのビーズ飾り(matungo148)は何時頃に作られたんですか、あれらのビーズ飾りは? M: 徹夜にやって来る人たちがいるでしょ。ビーズ飾りはその時に作られるのよ。あの昼間にビーズを紐に通して作るやつは、また別。重荷降ろしのためのビーズ飾りはまた別。そちらは今みたいな時間に作られるのよ。
Katana(K): もし(重荷降ろしのカヤンバが)明日行われるというのなら? Munyazi(M): ええ、今日作られるのよ。で、夜が明けたら、あなたは重荷を降ろされるのよ。ビーズ飾りは、前の日から用意しはじめられるの。という具合なのよ。 Hamamoto(H): つまり、ビーズ飾りが用意できてから、つまりそれを作って、それから(重荷下ろしの)カヤンバが打たれるわけですね。 M: そうよ。 H: その場所で、彼らは間違っていたんだ150。 M: もしビーズ飾りを寝かせる(てもよい)憑依霊じゃなかったらね。だって、ビーズ飾りを寝かしてはいけない憑依霊(shetani)たちが、いるんだもの。今日、その日のうちに(ビーズ飾りを)作り、その日のうちに(ビーズ飾りを)作り、それが済んだら、その日に重荷を下ろすのよ。 H: ビーズ飾りは寝かしてはならない。 M: その霊はレロ・ニ・レロ(rero ni rero66)とも呼ばれている霊なのよ。そいつは日中一つで重荷を降ろされ、そのビーズ飾りもその日のうちにすでに作られているのよ(施術全体が2日にまたがってはならない151)。
Katana(K): 一日のうちに作り終えねばならない。 Munyazi(M): そしてその日のうちに重荷を降ろされるのよ。品々は一つとして残してはなりません。 K: すべてのことを調えなければならない。 M: その場で全部ね。 K: 一日で。今日中に。 M: だからもし一晩過ぎちゃうと、あなたは台無しにしたことになる。 Hamamoto(H): 大仕事ですね。その憑依霊がレロ・ニ・レロ(rero ni rero66)なんですね。 M: レロ・ニ・レロよ。そいつ自身が「私はレロ・ニ・レロよ」と言うのを聞いたことない?だって、そいつが人を捕らえると、容赦ないわよ。いつまでも(患者を)挽き潰し続けるわよ。もう大変。 H: ところでウリンゴ(uringo125)が設置される「池(ziya)」ですが、本物の池ですか、それとも搗き臼(に薬液を入れた)池でしょうか? M: 本物の池よ。土のね。
Hamamoto(H): 搗き臼の「池」じゃなくて152? Munyazi(M): とんでもない。なに、彼女(チャリ)は置かれた(臼)で....? Katana(K): あのウリンゴが設置されるのは、水の中、それとも池の外の水際に? M: 池そのものの水際よ。 K: 池そのものの水際? M: そうよ。それはまずは水際に設置されるわ。そこに水が来てれば、最高ね。 K: で(ウリンゴは)小さいんだよね。足がブラブラしちゃいけないんだから? M: そうよ。 K: なんとそれは大変な仕事だね。だって水に足を入れることはないんでしょ。 M: ちがうわよ。あんた、まず大きい方のウリンゴは、このテーブルくらいのが設置されます。で、ここのところ、下に小さいのが設置されるのよ。
Katana(K): (小さい方)は、脚がブラブラしないよう足を置くためのだね。 Munyazi(M): こちらの大きい方も、あなたは人の上に座らされるのよ。その状態で施術がなされるのよ。 K: 膝の上に座らされるんだね。重荷を下ろしてもらう人は、膝の上に腰掛けさせられる。つまり、もう一人の人が先にウリンゴの上に座っている。そして重荷を下ろしてもらう患者(muwele153)は、やって来てその人の膝のうえに腰を下ろすんだね。 Hamamoto(H): その(先に座っている)人は施術師ですか、それとも? K: 誰でもいいんだよ。(施術師の)弟子(mwanamadzi137)とか。 M: 女性の弟子(muteje147)か男性の弟子(mwanamadzi)ね。でも、そこ、ウリンゴの上には(私が身につけている)これみたいなビーズ飾り(tungo148)を身に着けていない人は、座っちゃいけないの。このようなビーズ飾りを持っていて、はじめて座れるのよ。誰でもってわけじゃないの。あんたみたいな持ってない人は、座れないのよ。 K: つまり、その人自身、ビーズ飾りを持っていないとということですね。
Munyazi(M): ところで、あなた、チャリはどんな風に重荷を下ろされたの? Hamamoto(H): ああ、そんな風にはなされませんでした。そこに「池」はありましたが、それは搗き臼の「池」でした。本当の池には誰も行きませんでした。しかもその(搗き臼の)池は、屋敷のすぐ外れに置かれていました。 M: つまり、地上の本物の池で、重荷を下ろされていないの?単に、搗き臼の上の池で行われたの? H: はい、そうなんです。 M: でも人によって重荷下ろしのやり方もいろいろだからね。そうよ。だってこの近くに、女性の施術師がいるんだけど、彼女は... Katana(K): それはレロ・ニ・レロ、それとも? M: イキリク(ichiliku95)よ。イキリク。でもイキリクの別名がレロ・ニ・レロなのよ。そのビーズ飾りは、今日のうちにすっかり調え終わらせなさい。さあ、重荷も下ろし終えなさい、すっかり。することはすべて、一つも残らないようにね。
Munyazi(M): ちょうどこの人みたいに、(ビーズ飾りは)今日、この日のうちにすっかり作り終えている。カヤンバが開始されます。(その時には)さあ、あなた方はもうすっかり作り終えてます。 Katana(K): あなた方はイキリク(のビーズ飾り)をすでにし終えている。 M: そうよ。ビーズ飾りの作成は、後で再開するのはだめなの。夜が明けたら、あなた方は一つの課題だけを追求しなくっちゃ。 K: でも、もしあなた方がまたビーズ飾りを作りだしたら、そのときは... M: あなたたちは、(イキリクを)元に戻してしまうことになるわよ。 K: あなた方は、それを元に戻して、そいつ(イキリク)はまた引き続きあなたを困らせるようになってしまう? M: そう、そのとおりなのよ、厄介じゃない? K: つまり、あなた方は(イキリクを)元に戻して、あなたを困らせ続けるようにしてしまう? M: そうよ。 K: なんと強力な奴だね。
Katana(K): ところで瓢箪(子供)には、その中に普通何を入れるのですか? 何と何が入れられるんですか、その瓢箪子供(mwana wa ndonga)には? Munyazi(M): ただの根(mizizi)じゃないかい? K: 根(mizi154)ですか? M: そうよ。削い(yikunwe155)で、削いで、その後は炒ったりせずにね。 K: 炒めないんですか。 M: いいえ。細かく搗き砕くのよ。そのまま(瓢箪の)中に入れるのよ。それから、蜂蜜。もしその瓢箪が蜂蜜の瓢箪じゃなければ、入れるのはヒマの油(mafuha ga nyono44)よ。 K: 人によっては、ええと、心臟を入れると言いますが?心臟をどうやって入れるんでしょうかね。 M: 施術師の言葉遣いよ。瓢箪は心臟を入れるって。 K: 聞くところによると、聞いた話に過ぎませんが、鶏を屠ると。聞くところによると、施術師によっては鶏を屠って、その心臟を中に入れるのだとか。
Munyazi(M): 重荷下ろしの際に、屠られたヤギが持ってこられるわね。中でピクピクしているわよね。 Katana(K): 皮膚がぴくぴく痙攣しているところですか?ヤギの身体で痙攣ぴくぴく痙攣しているところ。 M: そうよ。そこをほんの少しずつ切り取ります。ほんの小さくね。さて後でそれを瓢箪の中に入れられるわね。 Hamamoto(H): おお、心臟は入れられないんですね。 K: だって心臟は腐っちゃうもの。そうなるとそれは臭うだろうしね。 M: そうなるとまずい。だって、もし瓢箪のなかに大きな肉そのものを入れたら、それはそんなふうにして瓢箪の中の物を台無しにしてしまうだろうしね。 K: 臭い始めるだろうね。ウジが涌いちゃうかも。 M: さてさて、そうなるとあなたは失敗したことになるよ。それが癒しの術っていうもの。
Hamamoto(H): もし(ムニャジが「重荷下ろし」を受けることを)知っていたなら、私も来たでしょうに。来てすべてをよく見れたでしょうにね。 Munyazi(M): だって、そもそもこの場所も知らなかったでしょ。どうやって来れたっていうの。それにこの人(カタナ君)も、ここにほとんど顔をださないのよ。 Katana(K): そうだね、最後に来てからずいぶん経つね。でも今やこうして頻繁にお邪魔するよ。 M: あんた、そう言いながら、まったく来ないんだから。
ムニャジ本人が患者として実施された「重荷下ろし」の施術で、行われてから2か月足らずであったため、かなりの細部まできちんと紹介されている。ただムニャジが、「外に出る」ンゴマ(ngoma ya kulavya nze)を受けて、施術師として活動を始めるのは1990年の1月11日であるので、この時点ではムニャジはまだ施術師にはなっていない。憑依霊の施術についてけっこう詳しい知識があるにも関わらず、施術師の瓢箪子供に何を入れるかについてのカタナ君の質問に、きちんとは答えられていないのを見ると、このあたりは施術師にならないとわからない部分があるのかもしれない。ムニャジを外に出してくれる彼女の施術上の父ムァインジ氏は、瓢箪子供に鶏の心臟を入れる流儀の施術師なのだが、この時点でムニャジは(カタナ君の議論に引きずられたのかもしれないが)、心臟を入れることには否定的にみえることからも、まだムニャジがムァインジ氏から瓢箪子供に何を入れるのかの知識を教えられていないことが推測される。
しかし「重荷下ろし」の施術で行われることについては、かなり最大漏らさず報告されており、それが基本的には正しいことは、この施術の実際の施行事例とりわけムァインジとムニャジがそれぞれ男女の施術師として主宰したメムロンゴの「重荷下ろし」のカヤンバ(なおこの施術にはチャリ夫婦もゲストとして参加していた)で実際に行われたことと対照して見ると、よく分かるだろう。
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tsovyaの別名とされる「内陸部のスディアニ」の絵 ↩
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子供用というわけではありません ↩
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