祖霊は子孫の夢の中で、子孫を訪れ、さまざまな要求をしてくる。チャリは、夫ムリナの亡くなった両親の訪問を受けた。夫の祖先が妻のところに現れるということもあるのだろうか。その夢は会話の細部まで詳細に再現されている。読めばおわかりになるだろうが、とにかく細かいのだ。初めて聞いたら、とても夢の話だと思わないだろう。祖霊と夢については以下のリンク先1,リンク先2(ただしリンク先2はHamamoto1993の草稿版)を参照のこと。
(from diary of 1991/9/8 Sun, kurimaphiri1より)2
朝早く...チャリがちょうど昨夜見た夢の話をしている。Murinaの父親のk'oma3に訪れられたという話。どうやらhanga ivu12を要求しているらしい。この件で急遽mulamulo16を打ちに行くことに。 キナンゴに行く途中でチャリがMurina相手に、詳しい夢の内容を話し始めたので、途中からだが録音させてもらう。
(from fieldnote of 1991/9/8)18 Chariは昨晩Chimera(Murinaの父)のk'oma3に訪問された。hanga ivu12とウシを要求している。死後7年たっている。hanga ivuが済むまではsadaka20も開けないし、chigongo cha k'oma21もたてられない。konze123でkugomba124できるだけ。
夢の中でk'omaが肉を要求した(Chariの夢の中ではヤギをkutsinza125していっしょに食べた)。→k'omaの要求はhanga ivu
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2813 (チャリは夢の中に現れたムリナの両親と、近所のPonta(仮名)老とのやり取りを再現している。わかりやすいように、それぞれの会話の語り手を、それぞれの語りの前に「(語り手):」を付けて示す。)
Chari(C): (Chimera=Murinaの亡父): のう、わしはわしの一族の者たちを拾わせてもらおうと思うてな。 C: それに応えて言うことには、(Ponta(pseudonym)): あんたの一族の者たちとはどなたのことかな? C: 彼が言うことには(Chimera): ああ、この辺りにはムリナが、キメラの(息子の)ムリナがおるじゃろう?キメラとはわしのことじゃ。 C: それに応えて、(Ponta): ムリナなら、ここにやって来て、今もおりますぞ。その家はそう遠くない。まずは、ようこそいらっしゃった。ゆっくり座っていかれなさい。 C: キメラが言うことには、(Chimera): あなたが、もしかしたら賃仕事を求めておられて、そこに行こうとしておられたとする。なのにあなたは腰を下ろそうとしておられる。そうして午後を過ごして、就寝し、自分が賃仕事を求めていたとは口になさらん。(あなたは考える。)わしの仲間はどうしておるだろう。うまく仕事を分担させてもらったじゃろうか。そこで、あなたは言う。わしは実は賃仕事を探しに行くところじゃったんじゃと。一日座って過ごして、寝て、そして気づくのと、寝るには寝るが、そこは仕事場で、すでに仕事は手に入れたとわかっとる(どちらが良いかな?)126。というわけで、わしは息子のところに(すぐに)行きたいんじゃ。 C: それに応えて言うには、(Ponta): ああ、ムワカや、この人に(ムリナの家を)教えてあげておくれ。 C: そこでムワカ(Pontaの妻の一人)も出てきます。
Chari(C): 言われたことには、(Mwaka): 家はあれよ、あれ。 彼らは先を進み、あの小さなムコネ120の木の辺りまで来て、道に迷います。(そのあたりは)道がないからです。 C: (Chimera): もしもし、もしもし、もしもし、どなたか? C: そこで私は言いました。(Chari): ねえ、あの人、お父さんじゃないの? C: (Chimera): ああ、ここじゃ、誰でも迷ってしまうわい。 C: 私は言います。(Chari): ああ、どうぞこちらへ。こっちよ、こっち。ちょっと登れば、家畜囲いがあるので、それを目指して、そこを出て、小路を通っておいで下さい。 C: その御長老さんは、言われたとおりになさいます。そしてここまでおいでになり、挨拶を交わし、それが済むと、私は彼に椅子を差し上げました。そして言います。(Chari): ああ、ようこそいらっしゃいました。 C: (Chimera): ありがとう。ああ、探しましたわい。とうに着いておったんじゃけどな。あちらの「刮目せよ」村とかいう辺りに着いたんじゃ。そこで尋ねたんじゃが、まともな答えはもらえんかった。ああ、後は歩き回るだけじゃ。この辺りは石だらけじゃな!
Chari(C): (Chimera): さて、なるほど、あなた方はこちらに来られた(移住してきた)というわけじゃ。 C: (Chari): ええ。 C: (Chimera): うう。あなた方は良い場所を手に入れなさったな。この場所は、丁寧に扱って、今の肥沃さを守れば、ここではゆっくり休めるだけのワリ(wari127)を食べさせてもらえますよ。 C: そこで私は言います。(Chari): ああ、この場所はゆっくり休めるだけのワリを食べさせることができますとも。でも今年は、私は(収穫を)まったく手に入れませんでした。さまざまな病気に先回りされてしまったんです。土地の所有者たち(一族)は、私によい土地をくださったみたいです。でもまさに耕そうとしたとき、邪視に打たれてしまう。作物が腐ってしまいます。その者(妖術使い)はやって来て、畑を踏みつけ、作物が出ていってしまう。 C: すると彼が言うことには、(Chimera): そのいろいろ困らせられとることじゃな、じゃが、あんたらは、あんたらの同輩連中を凌駕してしもうとるぞ。そいつがヒリヒリ感じとるのは、どうじゃい。屋敷が炎上しとる。あんたたち、ここにはつい最近来たんじゃないかい?
Chari(C): (Chimera): ああ、もしさまざまな病気がなければ、今頃、あんた方どの辺りにいるじゃろうね。あんたらはヤギをもっておることじゃろうな。それどころか、ヤギをウシと交換しとるかもしれん。 C: 彼が言うことには、(Chimera): おまえさんこそが、交換するじゃろう者なんじゃ。なのに、見るがよい、あんた。あの自動車に慣れた連中(ムリナ氏の兄弟たちのことを言っているらしい)ときたら、自動車に刺されよって、なんにも手に入れられん。ただどっかへいなくなるだけじゃ128。 C: さて、そこにあの女性(ムリナの母 Membeyu)がやって来ます。私はムリナの父キメラにワリを料理してあげたわ。彼は食べる。食べ終わると、彼が言うことには、(Chimera): うむ。わしは独りで来たわけじゃないんじゃ。 (Chari): なんと! (Chimera): わしには連れが居るんじゃ。 C: 私は言います、(Chari): あなたのお連れってどなたなの。 (Chimera): ああ、後から来よる。あんたの母じゃよ。今、後ろにおる。歩くのが遅いんじゃ。わしはひと足早く来たんじゃよ。
Chari(C): まだ彼が最後まで言い終わらないうちに、ほら、彼女(ムリナの母)が到着します。彼が何もしないうちに、その女性がやってきます。彼女はポンタ(仮名)さんの屋敷を通ってやってきます。 C: (Chimera): おお、着いたかい。 C: (Membeyu =Murinaの母): あなた先に行っちゃったじゃない。今さら私に尋ねるの? C: (Chimera): おまえ、わしを責めとるんかい。 C: (Membeyu): 二人いっしょに我が子のところに行くのに、ねえ、あんた独りで来ちゃうんだもの。 C: 彼が言うには、(Chimera): ああ、わしが食べるものを、お前さんも食べることになるじゃろうよ。 C: (Membeyu): じゃあ、あんたどうしてもう食べてるの?私はまだなのに。私はまだ汗だくよ。 C: 彼女は汗をかいていたの。彼女は布をこの辺りで巻いているだけ。乳房はすっかり外に出てます。彼女も、来て腰を下ろします。そして挨拶するの。(Membeyu): ああ、ベヤワ(Beyawa、ムリナ氏の子供名129)がこっちに来たわ130。
Chari(C): というのも、彼女はベヤワ(Beyawa)って言ったの。ムリナとは言わなかったのよ。さて、ここにはカボチャがあります。私は言います。(Chari): これらのカボチャは熟れてません。でももしここが妬みの屋敷(周囲から嫉妬されている屋敷)じゃなければ、あなたはそれこそ、たっぷりカボチャが食べられるでしょうに。 C: (Membeyu): ねえ、カボチャを食べるのに、私はここにいないといけないの?(家に)もって行ってもいいのでは? C: 私は言います。(Chari): おお、そうね。持っていくものだって、ありがたいわよね。じゃあ、もって行って、最後までお食べくださいな。 C: (Membeyu): 私はこの場所を見たので(知ったので)、家に行って食べ終わったら、戻ってくるわ。あなた方と一緒にカボチャを食べましょう。 C: するとそこに小さな女性の憑依霊がやって来るの。やって来て言い争いを始めて、キメラさんが仲裁します131。女(憑依霊)がやって来て言うには、(p'ep'o): あんた、あんたの一族に会ったのかい、お前、ムリナよ。 C: とっても小さいのよ。(背丈が)この位しかないの。
Chari(C): それ(憑依霊)は言われます。(Murina): 私の一族ってどいつだい? C: その憑依霊は言います。(p'ep'o): あいつらよ。あいつらがやって来るわよ。人々を連れてやって来るわよ、こちらに。 C: 私は言います。(Chari): なんとあなた方、言い争う問題があるのね。こちらの長老はもう食事をしたけど、この奥さんの方はまだ食べてないの。私はこちらの奥さんのために料理します。ねえ、もしあなた方、言い争う問題があって、それをもっておいでになるの? C: その小さい女憑依霊の言うことには、(p'ep'o): ねえ、あんた馬鹿なんじゃないの?私はあんたたちの問題について教えてあげようとしているのに、あんたときたら、私のことを悪くとるのね。いいわ。私はもう帰ります。 C: 私は言います。(Chari): だめ、だめ、帰らないで。そこにお座りなさい。私はそのお母さんのために料理するけど、私の義理の母(mevyala)なのよ。 (p'ep'o): ああ、そうなの。あなたの夫を産んだ、あなたの義理のお母さんね? C: 私は言います。(Chari): ええ。
Chari(C): (その女憑依霊が)言うことには、(p'ep'o): ああ、料理して食べさせてあげなさいな、キョウダイ。腸(おなか)もとっくにへとへとよ132。 C: さて、私は(ムリナの母のために)料理して、差し出します。彼女は食べます。でも彼女が食べ終わらないうちに、(その女憑依霊は)言います。(p'ep'o): さてさて、私は言ったでしょ。あいつら、あいつら、あんたの一族がやって来るって。 C: キメラが言うことには、(Chimera): ところであいつらは、何を探しに来てるんだい?あいつらが探している物とは? C: 私は言います。(Chari): ああ、あいつらはただの敵よ。理屈の通らない133悪意によって、こっちに来てるのよ。あいつらが、私たちをもはや(施術の)仕事がないようにしてしまったのよ。この辺りの人は悪い人ばかりよ、ほんとに。 C: さてそこにポンタ(仮名)がやって来る。彼が言うには、(Ponta): このこちらに来た長老は、あなたのお父さんじゃろうかね、ムリナさん。(Murina): ええ。この人が私の父です。(祖霊の)棒を引き抜かれて138、追い出された私の父です。 (数秒、風の音で聞き取れず、書き起こし不可) C: (Chimera): お前さん、ここに何が目的で来るんじゃな?あんたらが、わしの息子がここで無一物になるようにした張本人ですかな?
Chari(C): (Chimera): まずは、ここを立ち去りなされ。もしわしがここに住んどったら、お前さん方はわしのことを知ることになるじゃろうにな139。 ...(数秒聞き取れず、書き起こし不可)... C: 私は言います。(Chari): この人(unnamed man(Um)は以前私の施術上の子供だったのよ。今は、ここに何をしに来たのかわからないわ。この人は私の施術上の子供でした。今はここに何の用があるのか、何を求めているのかわからないわ。 C: すると一人(ポンタ(仮名)の妻(Mb))が言います。(Mb): あなた、私が何を求めに来たのかって言うの。私が何の用があるのか、何を求めているのか。ねえ、私はここを立ち去る気はないわよ。なんと、あなたは、私が何の用があって来るのかと言う。私はここから動かないわ。だって、ここがあなたの屋敷だとでも?今、立ち去るのはあなたの方よ140。 C: そこに例の女性(ムリナの母)が出てくるの。彼女が言うには、(Membeyu): なに、あなた方、ここを立ち去らないとおっしゃる。ここに何を求めてきたの?あなた方、わたしたちを見にでもきたというの?私たちは映画(senema)かしら?ああ、そもそも立ち去るのはあなたがたよ。私はここを立ち去りません。
Chari(C): (Membeyu): 私がここを立ち去るとすれば、あんたたちがここにいなくなってからよ。だって、私には、あんたたちが敵だとわかっているから。そして息子がなにも成し遂げられないのは、なんとあんたたちのせいね。私の息子が成し遂げないのは、なんとあんたたちのせい。今、ヤギが一匹も無くなってしまったのをごらんなさい。 C: やつらは強情にも立ち去りません。その女性(ムリナの母)は、憑依状態になったわ。その婦人、この人(ムリナ)のお母さんよ。さて、彼女は憑依状態になって、憑依状態で、杖を欲しがるわけ。彼女、杖を欲しがる憑依霊をもってたのかしら。杖を欲しがるのよ。あの杖よ。でも私は彼女に言います。杖はありませんって。だって、彼女、人をそれで叩きそうに見えたんだもの。彼女は小屋に閉じこもって、(ポンタ(仮名)の妻Mbの)背中のあたりを打ち据え(字義通りには「背中に負わせる」142)、地面に倒したの。彼女(ポンタ(仮名)の妻Mb)が起き上がる。今度はここ(背中のあたり)と腰の辺りを打ち据えた。ああ、彼女は歩くことができません。もう蛆虫よ(身体を引きずって這うばかりよ)。
Chari(C): (Membeyu): この愚か者め、お前たちこそが、私の息子がなにも成し遂げないようにしているんだね。おまけに、私たちがここに着くのを狙って、そこにいようと思って来てるんだね。私はここにいるよ。帰りますって行ったけど、もうどこにも行かないわ。この場所には誰も(施術の客がか?)やってきません。お前たちは、私の息子を貧乏にしたいんだね。さあ、見ているがいい。お前たちが言っているようには、ならないから。私のこの息子は金持ちになるよ。 C: 彼女が言い終わらないうちに、(かつてチャリの施術上の子供だった者が)言うには、(Um):「さて、私はこの若鶏について尋ねに来たんですが、私の予定は取り消しました。なんと喧嘩してらっしゃるんですね。」私は言います。(Chari): いいえ、いいえ。この喧嘩はあなたの喧嘩じゃありませんよ。どうか腰を下ろして、ゆっくりして下さい。 C: もう、ドタバタよ。御婦人(Membeyu)はブルブル震えているのよ、あなた。 (数秒聞き取れず、書き起こし不可)
Chari(C): (ポンタ(仮名)の一行は)いつの間にか立ち去ってたわ。(ムリナの父たちは)彼らを探します。 C: (ムリナの父が)言います。(Chimera):あいつらはどこにいるんじゃい? C: 老人は棒を引き抜いたのよ。あの棒よ。ほらあのナイフを刺しておくための。さて彼(キメラ氏)はどうやらポンタ(仮名)を探しているみたい。 C: 私は彼に言います。(Chari): あなたがポンタ(仮名)を叩いたんで、立ち去ったんじゃないの。もう大慌てで走って行くわ。私も(小屋の外に)出ました。 C: 私は(ポンタ(仮名)たちに向かって言います。(Chari): あんた方がお連れの人たちって、馬鹿じゃない?あなた方、本当にとっても馬鹿よ。あなた方の役立たず(ndiya143)なことって! C: というわけで、私は沸き上がって、もうすごく罵ったわ。 C: 挙句に、今度は(ムリナが)、(Murina): 思い知れっ! C: 私も言います。(Chari): あなた方、他人は馬鹿だとでも思ってるの?何も知られてないって思ってるの?あんたたちの愚かさと言ったらもう。 C: ついに(ポンタ(仮名)が)ゆっくりと身体を引きずるように、ゆっくりと自分の家まで。というわけでやっと終わりになりました。
Chari(C): ここにはもう絶対、人(敵)は来ないわ。人は絶対来ないわ。そこで、彼女(ムリナの母)はカジュマ(Kajuma=女性の名前)に連れて来られました。カジュマは彼女の手を握って。だって彼女はまだ震えているんですもの。そして彼女は唱えごとをしてもらったの。私たちは、一瓶のローズウォーターを取ってきました。おそらくそう。彼女はカジュマに連れてこられました。カジュマと一緒にあちらの祖霊の小屋(chibanda cha k'oma144)のところまで。そこに座らされたわ。その後、キメラ(ムリナの父)が手をその身体の中に入れて、10シリング分の硬貨と、10シリング札を取り出したの。彼はあなた(ムリナ)に10シリング札を、私には硬貨で10シリングをくれました。 Chari(C): (Chimera): わしはまだここに来たことはなかったわい。ああ、もっと早く差し上げとくんじゃった。じゃが、なんと争いが起こることになっとったとはな。そういうわけで、すまんかったな、わが子たちよ。お前さんたちが仕事をし、収入を得ますようにな。さて、この者(カジュマ)をごらん。この人は妻じゃ。
Chari(C): そこで私は彼に言います。 (Chari): 彼女は用事があって来てるんですよ。ご存知のように、妻というと、その夫がいるものです。 C: 彼(キメラ)が言うことに、(Chimera): ああ、夫のおる人が娶られるのを見たことがないとでも?こいつ(ムリナ)がこの人(チャリ)をどこから出してきたというんじゃい?「採石場の近く」村のンデ..さんから盗ったんじゃなかろうか。鼻をかんで、死んでしまえ。あのンデ...さんは、お前に「この女をどうぞ」と言うて差し出したとでも? C: 長老(キメラ)は言います。(Chimera): わしは、もう帰る。妻と一緒に帰るぞ。じゃがな、ムリナよ、じっとしておれ、じっとしておれ、もしこの場所に疲れたらな、立ち去るんじゃ。じゃが、あいつら(ポンタ(仮名)氏の一族)は、お前たちの屋敷に許していいやつらじゃ全然ないぞ。お前たちを拾い上げたあの長老が、そもそも人(善人)じゃない。お前、お前の仲間の長老が(ある場所に入る)許しを乞うておるのに、その場所について知らんなどとな。で、妻に場所を教えるよう命じるなんてな。いったい、あいつは何の罠(妖術の薬(muhaso31)の)を仕掛けておったんじゃろうな。お前を(薬を使いこなす力量を)測っとる(試している)のかな?
Chari(C): (Chimera): 知ったこっちゃない。だからわが子よ、あの連中にお前の屋敷に入る許しをやってはいかんぞ。じゃあ、わしは行くぞ。また戻ってくるがな。あの金は、わしの蓄えじゃ。それがお前のカザマ(kadzama145)じゃ。わしゃ、金がない。賃仕事もないのに、どうやって手に入れると言うんじゃ?わしをごらん。 C: そこで母が言う。(Membeyu): 私はもう立ち去りたいわ。昨日やって来て以来、私が食べてるのはワリ(wari127)と得体の知れないおかず(mboga146)よ。 C: 私は彼女に言います。(Chari): 得体の知れないおかずって、どんなおかずよ? C: (Membeyu): あらあら、この義理の関係(uvyere148)は、どうなるものなの?自分の息子のところで、あなたの子供149が「どうなってるの?」と尋ねたら? C: 私は彼女に言います。(Chari): では、おかずは何を好まれますか? C: 彼女が言うには、(Membeyu): じゃあ、仔山羊でいいから、屠ってくれます? C: というわけで、ただちにいそがしく150なります。
Chari(C): 私は言います。(Chari): さあ、ヤギでしたら、あなたのお好きなヤギを選んでくださいな。だって、あなた自身がお産みになった。そして私自身が稼いだヤギです。 C: (Membeyu): ああ、私はあなたが稼ぎ手って知ってるわ。私の息子が妻一人でも死ぬことはないって、私にはわかってるわよ。あるいは妻が二人でもいいかも。(おそらくムリナに向かって)お前は(もう一人の)妻を娶るでしょうね。それでも私はこの人(チャリ)に惚れてます(気に入ってます)。でも、お前自身がやがて力をつけるでしょうね。そしてお前は、別の稼ぎも手に入れるでしょう。お前にその気があれば、娶ることでしょうね。でもね、お前のお祖父さんのように、大勢の妻を娶っちゃだめよ。 C: (Chari): あなたのお祖父さん、たくさん妻がいたの? C: (ムリナの母が)言うことには、(Membeyu): お前のお祖父さんのように、大勢の妻をめとっちゃだめよ。人間というもの、奥さんは二人、三人目で終わり。でも大勢を抱え込むなんて。突然全員が下痢が始まったりしたら、お前は当惑して何もできないことになるよ、お前。お前、私の息子よ、腰を下ろしなさいな。
Chari(C): (Membeyu): 子供なら、お前は手に入れるだろうさ。あいつら(敵たち)には私は用はないわ。もし私がもう一度、あいつらの姿を見たら、ここには二度と来ませんから(お前は私を二度と見ることはないでしょう)。 C: キメラ(ムリナの父)はさっそくヤギを捕まえに行ったわ。そのヤギは、(今は)そこにはいません。あの白い毛皮に赤い斑がそこここにあるヤギ。彼(キメラ)が 言うには、(Chimera): ああ、こっちに来て、私のためにこいつを屠ってくれや。 C: そこで私はヤギたちを連れて行ったわ。私がする(屠る)のをあなたが見ないようにね。私はこの場を離れて、祖霊にクハツァ(ku-hatsa4)し、そのヤギを屠りました。彼(キメラ)は肝臓しか食べませんでした。それと胸の部分ね。 C: (Chimera): わしが本当にしたかったのはこれじゃったんじゃ。というのも、わしはお前たちの心の中を探りたかったんじゃ。でも、わしはわしの子(チャリ)が、本物の稼ぎ手じゃということがわかったわい。 C: お父さんは手を袋につっこんで、私にもう一度10シリングくれたわ。
Chari(C): 彼は言います。(Chimera): さて、この妻は稼ぎ手だよ、この人は。彼女はお前にさらなる妻を連れてきてくれるだろうよ。 C: 私は言います。(Chari): ああ、ここには何の必要な発展もぜんぜんないわ。物事は止まったまま。このまま砂漠になるだけね。 C: キメラは言います。(Chimera): ああ、問題は終わるわい。あいつらも疲れてしまうじゃろう。お前さん、ただ肉をお食べなさい。 C: さて、そこで私は目が覚めたの。ねえ、あなた(ムリナ)が私の目を覚まさせたのよ。そうじゃなければ、ずっと引き続き話しあってたでしょうね。でも私は、あと残っているのは...それにしてもあの女(ポンタ(仮名)の妻)はしたたかに杖で叩かれたわね、彼女ったら。 Hamamoto(H): 4時頃目が覚めたんですか? Murina(Mu): 私は一度眠ると二度と起きないんだけどね、睡眠がわざと盗まれない限りはね。でも今日(昨夜)はまだましだよ。でも昨日(日本語風に言うなら一昨夜)はすごく早い時間に目が覚めたよ。 C: 彼女ったら、ここから二度と立ち去らないって言って、叩かれたのよ。
Chari(C): 最初、あの女性は(小屋に)入ったのよ。中がどうなっているかも知らないのに。でも入って杖を取ってきた。あの女は2回叩かれただけよ。 Hamamoto(H): 彼(ムリナ)のお母さんに。 C: そう彼の母にね。 H: で、お父さんは「熟した服喪」を開いて欲しかったんですかね? C: ええ。だって彼自身、前から「熟した服喪」を願っていたんだもの。服喪を願っていた。なぜなら地下世界にいる人が肉を所望するのは、服喪を開いて欲しいということだから。 H: なんと、そうなんですか! C: でも、本人もいずれは開かれるってご存知なのよ。 H: ヤギを所望しに来たら、その人は服喪を開いてほしいんだと思いなさいと?
Chari(C): うん。そのヤギっていうのは、(「生の服喪」の初日の「茣蓙を打ち据える(kubit'ira chitseka)」日のためのヤギだもんね。だって彼は茣蓙を打ちすえたわけだから。私は、まずは私に能力(資金力)を与えて下さいと、彼にお願いしないと。彼は私を気に入って、彼女こそやって来て料理して欲しい人だと言うんだものね。 Murina(Mu): 私に能力を与えてくれるように。私にウシを手に入れさせて下さい。「熟した服喪」といえば(そこで屠られるのは)ウシと決まっているじゃないか。 C: 祖霊(k'oma)っていうのは、(催促するために)あなたを捕らえて、1セントすら手に入れられなくさせてしまうんだから。あの荒蕪地(田舎)のほうでは、もしあなた400シリングもっていたら雄の仔牛を手に入れることができるってさ。でも(この辺では)わぁ!
夢の報告にしては交わされた会話がやけに細部まで詳しいとか、部分、部分に注目すると、現実の報告とあまり区別できない。しかし全体としては辻褄が合わないところがあって、その辺りは夢らしいともいえる。
例えば途中で登場し、チャリたちに敵の到来をおしえてくれているような憑依霊=背がとても低い女性、おそらくキツィンバカジ(chitsimbakazi33)は、いつの間にかいなくなっている。かと思うとまったくそれまではいなかった女性カジュマ(誰?)が、まるで最初からそこにいたかのように、説明もなく登場しているとか。
つい今しがたやって来たばかりのムリナの両親が、終わりの方では、昨日から来ていたかのように語っているとか、まあ、不整合を探し始めるとキリがない。
さらにポンタ(仮名)の妻と言い合いになったムリナの母が、杖でポンタ(仮名)の妻を打ち据えたというのだが、最後に蛆虫のように這いながら家にたどり着いたのはポンタ(仮名)老人で、ムリナの母が独りで大暴れしたということなのだろうか。
もっとも、こうした不整合や辻褄の合わなさは、聞いていたときには気にならず、テキストにしてじっくり読むと気になる特徴にすぎないのだが。
というわけで、詳細で現実の出来事についての語りに見えないこともないが、やはり、夢語りなのである。
この夢の内容は大きく分けて2つ。 一つはムリナ氏の両親の訪問。父親のキメラ氏はこの7年前に死亡(1984年か)、母親のメンベユさんはずっと昔(pindi yenye)で正確にいつ頃かは不明。メンベユさんはすでに「熟した服喪(hanga ivu12)」を開催済みなので、サダカ(sadaka20)で饗応することが可能。キメラ氏は「熟した服喪」未開催なので、夢に出てきても要求できるのは、まずは「熟した服喪」の開催である。
と言っても、この夢のどこでも「熟した服喪を開催してくれ」という要求はなされていない。夢の中で肉を料理してもらって食べた、というエピソードが、熟した服喪の開催要求の夢だと解釈されている。夢の話をして、その後もっぱら話題になったのは、このこと。
もう一つの内容は、近隣のポンタ(仮名)一族が、ムリナとチャリの癒しの術を台無しにしようとしている妖術使い(敵)であるというもの。ムリナの両親の訪問の様子を探ろうと(?)、徒党を組んでやってきて、特に奥さんなどはチャリにこの土地から出ていけと警告を発した。この来訪を前もって教えてくれたのは、憑依霊(おそらくキツィンバカジ(chitsimbakazi33)。そしてムリナの母親は憑依状態になって杖をとり、敵をしたたかに打ち据え退散させた。
このチャリの見た夢がよほど強烈で、懸念材料だったのか、この日のうちにこの夢について占いで正しい解釈を探ることになった。問いの内容がはっきりしているため、占いは憑依霊によるムブルガ(mburuga17)ではなく、相談者の問いに対してイエス/ノーで答えを返してくる、器具を用いたムラムロ(mulamulo16)タイプの占いに相談することになった。 ムリナの死んだ両親の来訪と妖術についてのムラムロはそのほぼ全訳である。
夢、とりわけ憑依霊が夢で教えてくれたことは、現実についての決定的な真実であると考えられている(少なくとも憑依霊の宿主にとっては)。夢を証拠にいろいろ疑われたりしては、疑われた方はたまったものじゃないが、一応全ては占いによって再確認されねばならない。私も同行したが、私としてはムリナ夫婦は、他ならぬポンタ(仮名)氏一族の土地に客人として住まわせてもらっている身、どうか余計な喧嘩はせず、平和裡にやっていってほしいと願っているのだが、この問題はこの年、(別の内容によって偽装された)妖術告発の法廷闘争にまで発展してしまうのだ。もうやめてよ。

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tsovyaの別名とされる「内陸部のスディアニ」の絵 ↩
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「青い芯のトウモロコシ」故マラウ氏のnyumba ya k'oma. 右から 1. Kutsonga(Nyawa Malauの曽祖父) 2. Chikoza(brother of Kutsonga)3. Mekuminga(a wife of Kutsonga)4. Jawa (tsaweye Malau マラウの祖父) 5. Menyawa (Wife of Jawa, wavyala Mwero Pereマラウの祖母の一人で父ムェロの母) 6. Bumbu (Father of Malau's mother)7. Wemulongo (a wife of Bumbu, wavyala ameye Malauマラウの母の母) ↩