「憑依霊を見る」カヤンバ(kayamba ra kulola nyama)は、「唐突のカヤンバ(kayamba ra gafula)」、「不完全なカヤンバ(kayamba ra ngudungudu)」などとも呼ばれる。前もって実施の日時を定めて行う大掛かりなンゴマ(ngoma1)やカヤンバ(kayamba4)とは異なり、さまざまな事情から急遽実施される、多くは短時間で、近所に開催を告知することもなく、しばしば屋敷の構成員のみが参加者となる小規模のンゴマ(カヤンバ)である。1983年、私が最初の(ある程度長期の)調査を行った、ドゥルマでもやや僻地といえる村で参加したこのカヤンバは、調査地をあと2日で発つその晩に開かれた。そこで私は屋敷の最長老のおじいさんが「白人」になるのを見、「白人」や、その後に現れた「ギリアマ人の長老」と人々の、なんとも奇妙で、コミカルで、同時に真剣そのもののやり取りに、ただただ度肝を抜かれていた。
このカヤンバで行われたやり取りを記録した2種類のテキストがある。一つは、調査地出発の直前の2日間に現地で作られ、後に日本語訳を作ったテキスト、もう一つは今回のウェブ化に際して、当時の録音テープから私自身が書き起こしたテキストである。こうした2種類のテキストが生まれることになった事情を、最初に説明しておきたい。
1983年の調査は3月始めに開始し9月末までの予定であったが、健康上の問題(マラリア)もあり9月半ばの帰国となった。調査地「青い芯のトウモロコシ」村を8月31日に出て(朝一番の一本のバス5が運よく運行していることを祈りつつ、もし3時間待っても来なければ、徒歩で6時間かけて移動する覚悟で)、キナンゴに向かい、そこで一泊した後に、9月1日に助手のカタナ氏とともにモンバサに移動し、夕刻の夜行列車でいっしょにナイロビに向かう予定だった。キナンゴまでは、恐れていた通り、ケヤの白人(muzungu wa keya7)よろしくデカく重い荷物を背負っての徒歩での移動となった。9月2日にナイロビ着、YMCAサウスに2週間滞在し、調査で得た語彙集の整備、発音や綴り(私はしばしばlとr、vとphとbとgbwの聞き取りをミスっていた)の修正、ドゥルマ語の基本文法の確認の作業をカタナ氏の手を借りつつ行った。
これ自体、ケニア的にはすごくタイトな予定ではあったのだが、なんと出発を2日後に控えた28日の夕食後に、私が滞在しているPereの屋敷で急遽カヤンバを開くという知らせが入る。テープレコーダーとメモ帳だけをもって早速駆けつけ、メモをとりつつ録音したのだが、いつもの手順に従って、その後で録音したテープのドゥルマ語を文字に書き起こし(普通何日もかかる作業)、それを説明してもらいながら理解していくという一連の作業のための時間がまるでない。
という訳で、カヤンバの翌日から2日間ぶっ続けで、私とカタナ氏と、カヤンバで同席していたムァエガ青年の3人で、録音されたテープを聞きながら、そこでのやり取りを逐一説明してもらい、それを書きとめる作業を行った。フィールド・ノートのメモの記述を、それらのやり取りの背景として付加しつつ、歌については何の憑依霊の歌かを書くのみにとどめ、カヤンバで起こった憑依霊と人々とのやり取りのみを書き出すという形になった。時間の制約のため解説と質疑は英語によるものになった(当時の私のまだまだ使い物にならないドゥルマ語なんかでやった日には、何日かかるかわかったものではなかったので)。
こんな感じに。
それを後日、日本語に訳したテキストが、その後、公刊した論文で使用した元資料となった。今回のウェブ化に際して訳文に若干の修正をくわえ(用語の置き換え、呪医→施術師etc.)、このページに関するデータとしてアクセス可能にしておく。現地で編集されたフィールドノート
この私にとっては重要なカヤンバの資料であり、その一部を出版された論文に用いてすらいるデータが、肝心のドゥルマ語による書き起こしデータを欠いていることは、その後もずっと引っかかっていた。がそれを書き起こしてもらうチャンスはなかった。今回のウェブ化にあたって悔いを残さないために、腹をくくってテープ2本を自分でドゥルマ語に書き起こし、それをもとにした新たな日本語訳を作ることにした。
なんと書き起こしに3週間以上もかかりっきりになってしまった。とりわけ歌のいくつかは、どんなに何度も聞き直しても、何を歌っているのかまるでわからないというものもあり、自分のドゥルマ語力の限界を感じてしまったが、地の会話の部分は(小声で聞き取れない部分は別として)なんとかそれなりに問題なく書き起こせていると思う。
この2つのテキストを比較することで何がわかるだろうか。私は調査の当初から通訳を用いての調査には信頼を置いてこなかった。インタビューをとにかくその場でわかってなくても、録音して、書き起こししたテキストをもとに学ぶというスタンスを維持してきた。唯一時間的制約に迫られて、2人の協力者の助けを借りて、大急ぎで英語のテキストを作ったのがこのカヤンバの記録だった。きっと、きちんと書き起こしたテキストを作れば、はるかに上質の資料になるだろうと思って、非力に鞭打って自分で書き起こしたわけだが、そんなに大きな違いがあっただろうか。これは最後の考察で検討してみたい。
以下のウェブページは、この新しい書き起こしテキストを基にした、4時間足らずの「憑依霊を見るカヤンバ」の紹介である。
今回のカヤンバの患者であるマラウ(Malau wa Mwero)氏、その他登場人物について簡単に触れておく。 私の最初の集中フィールドワークは「青い芯のトウモロコシ」のPereの屋敷と呼ばれる屋敷(mudzi6)に滞在して行われた。

ペレの屋敷への入口。当時は「青い芯のトウモロコシ」地区はまだ木々の密生したブッシュが多く、その中を縦横に走る牛の放牧道やフットパスを迷いつつ辿って、遠く隔たった隣の屋敷に着くという感じの場所だった。何度迷ったことか。正しい道をたどると、突然開けた空間に出る。屋敷への入口である。ペレの屋敷も、そんなブッシュのなかに突如現れる屋敷の一つだった。
Pereの屋敷はPereというあだ名で呼ばれていたMalau氏の亡父Mwero(1970年代中期に死去)によって開かれた屋敷である9。Pereの息子たちのうち5人は、いずれも一夫多妻婚によりそれぞれの屋敷と呼べるものをもっているが、父の死後もPereの屋敷というまとまりを保ち、その重要な長老層となっていた。
マラウ氏はその最長老であり、この人口100人を超える大きな屋敷の長であり、同時に憑依霊の施術師でもあった。
息子と二人で太鼓の皮張りをするマラウ氏(右の赤いシャツの老人)
しかし高齢で病気がちのため、実質的な屋敷のリーダー格は、彼の弟であるジャワ氏(Jawa wa Mwero)であった。
ジャワ氏と3人の妻
私は4番目の弟であるカリンボ(Kalimbo wa Mwero)氏(彼はこの屋敷に二人の妻と子供たちがいたが、生活のほとんどをキナンゴの町で送り、そこで古着を売りつつ、当時の支配政党であったKANU10のyouth wing(青年部、そんな若くないけど)のリーダーとして政治的な活動を行っていた)のつてで、彼の屋敷(Pereの屋敷が正式には健在であったので、その下位屋敷と呼ぶべきだろうが)にテントを張らせてもらっていた。私はキナンゴで知り合った最初の助手(というよりもドゥルマ語の先生)のカタナ君(当時25歳)とともに、この屋敷を拠点にフィールドワークを始めた。
カタナ君は熱心な(むしろ熱狂的な)キリスト教徒で、ドゥルマの伝統的な行事からは距離をおき、憑依霊の施術の場には同席できなかったので、この屋敷のジャワ氏の息子の一人であるムァエガ青年に、そうした施術の場への同行をお願いしていた。1983年の調査はドゥルマ語を知ることが中心課題であったため、ほとんどドゥルマ語を知らない私は当初、案内者なしには、何を言われてもわからずニコニコしているだけの路傍の石的存在だったので、ムァエガ君の同行と解説はとてもありがたかった。
カタナ君とムァエガ君には、私が英語もスワヒリ語もできないということにしてもらっていた。じゃないと、インタビューで質問された人が私にわかるようにとスワヒリ語や(若者の場合は英語のことも)で答えようとしちゃうので。前もって用意しておいたドゥルマ語の質問をして、その後は、わかってもわからなくてもニコニコしながら相打ちをうつという悲しき無能インタビュア。録音したインタビューや施術のテープは、カタナ君にドゥルマ語で書き起こして(ドゥルマ語の正書法などはなかったので、私が適当に考案したもので)もらった。早朝の農作業の手伝いの後は、なにか施術やインタビューが入っているとき以外は、もっぱら屋敷の木陰のテーブルで、書き起こしてもらったテキストの未知のドゥルマ語の単語について解説(解説は最初は英語とスワヒリ語のミックスで、そのうちにドゥルマ語中心になっていった)してもらうのに費やした。屋敷の子供たちもエラソーに私にドゥルマ語の単語を教えに群がっていた。アメもあげたけど。
このやり方は、言語習得にはきわめて効率的で、そのついでにドゥルマのさまざまな制度や慣習などについての知識も(耳学問的ではあるが)増えていくので、数カ月後には簡単なインタビューの受け答え程度なら、私自身がドゥルマ語でたどたどしくできるようになっていた。とは言え、まだまだ初歩的な知識であったため、実際の儀礼や施術の場では、何が進行しているのかほとんどわからず、帰宅後、テープの書き起こしを読みながら、カタナ君にいろいろ説明してもらって、やっとああ、そういうことを言ってたんだとわかる程度。ドゥルマ語の細かいニュアンスまである程度わかるようになるまでには1986~1987の家族で訪れた長期調査を待つことになる。

Katana & MWaega1983(left) M_Hamamoto1983(right)
私が「青い芯のトウモロコシ」地区を、それもペレの屋敷を最初の調査の滞在地にしようと選んだのには、月に照らされた屋敷の広場で焚き火を囲んだ男たち、忙しく立ち働き夕食を広場に運んでくる女性たち、その周囲で石蹴りのようなことをして遊んでいる子供たちを見ていて、一目惚れした(言うまでもなくその異世界みたいに見えた雰囲気に)!という以外に、ジャワ氏がBwana Mugangaと皆から呼ばれているのを聞いたことが大きい。Bwanaは英語で言うMr.でmugangaは施術師(当時、私は呪医と訳していた)。なんと屋敷に施術師がいるんだと勘違いしたのである。
その数日後、この屋敷にカタナ君ともども移動してきた後は、じっくりとドゥルマ語の語彙を集めるかたわら、ドゥルマ語もろくにできないのに、このジャワ氏相手にいろいろ祖先崇拝関連とか、病気治療の話とか聞き始めた。が、いまいち専門家ぽくない。その後わかったのだが、Bwana Mugangaはあだ名にすぎず、ジャワさんは施術師ではなかった。彼が生まれた日が、たまたま、植民地政府が時折実施していた医師の巡回診療で、西洋人の医師がこの屋敷を訪問していた日だったから、西洋人の医師を人々が敬意を込めて呼ぶBwana Muganga「お医者様」が生まれてきた子どもの呼び名になっていただけの話だったのだ。
ちょっとがっかりする私。だが幸運なことに、病気がちの最年長長老マラウ氏が本物の憑依霊の施術師であることが判明。その後マラウさんから、憑依霊や夢や妖術使いの不思議についていろいろ聞くことができた。ラッキー。このマラウさんの健康状態が、悪くなったのが7月の始めだった。8月の始めには一週間近く顔を見なかった。遠方(モンバサ街道沿いの町サンブルの後背地)に治療を受けに行っていたという。 マラウ氏の病状悪化は、こんな風に説明されていた。
(1983/08/07のフィールドノートより) 【Malau氏の病気】
ある時、一人の女性が彼に治療を求めにやってきた。彼はほんのわずかな料金を求めたが、彼女はお金を持っていなかった。 もしmuganga11が患者を無料で治療すれば、彼自身が彼のp'ep'o13によって病気にされる。 そしてMalau氏のp'ep'oは非常に強力だった。 しかし彼は彼女を治療することにした。彼女に同情したからでもあったが、彼女が彼の弟Jawa氏に文句をいうかもしれないと思ったからでもあった。彼女はJawa氏の近い親戚であったので。 それ以来、Malau氏は彼自身のもつp'ep'oに捕らえられ、病気になった。 Mugangaはけっして自分自身を治療することはできない。 彼がSamburu54まで別のmugangaの治療を求めにいったのはこういうわけである。
治療から帰宅した後も、健康状態は芳しくなかった。そして弟のジャワ氏は兄を治療するために、兄がもっている憑依霊たちに、なぜ彼を病気にしたのか尋ねてみることにしたらしい。というわけで、急遽カヤンバを開くことになった。そして私が調査地を離れる三日前の夜いきなり、今からカヤンバやるからおいで、との連絡が入った。
患者(muwele) Malau wa Mwero 施術師(muganga) Nyawa wa Jawa(Malauたちの分類上の息子、Mwamandi在住)56 Kayamba players 屋敷の若者たち
以下は4時間弱のカヤンバを90分テープ2本に収めた記録の書き起こしに基づいた日本語訳テキストである。書き起こしは、ウェブ化に際して、浜本自身が新たに行ったもの。すでに説明したように、調査地を出る直前に開催された「突然のカヤンバ(kayamba ra gafula)」であったため、現地での書き起こしの時間がとれず、肝心のドゥルマ語テキストを欠いた不完全なデータの状態が長くつづいていた。今回のウェブ化に際して、ようやく重い腰を上げて書き起こしをおこなったので、古い資料との対比の意味も込めて提出する。途中休憩中の雑談などは録音されておらず、また書き起こされた会話は、主に憑依霊と施術師らのやり取りが中心で、進行の段取りなどに関する会話などはフィールドノートの方に簡単に描写されているので、書き起こしてはいない。
この日本語訳を調査時に記録したフィールドノートの記述に組み込み直したものが以下のテキストである。1983年にバタバタと作成したテキストと、今回七転八倒しながら作成した書き起こしに基づくテキストで、共通している要素は当日にメモしたフィールドノートに登場する記述である。この部分はフォントの色を緑にして表示する。フォントが茶色の部分は、翌日以降のカタナ君とムァエガ君の解説をそのまま採用した部分(改めて書き起こす必要を感じなかった部分)である。重複がうるさいと感じる方もいるかもしれないが、フィールドノートの記述を現時点で改訂することは、ルール違反の気がするので、そのままにしておく(各セクションのタイトルやリンクはウェブ化に際してのもの)。
別のページに、1983年の調査後に現地で編集されたフィールドノートおよび今回浜本によって新たに作成された書き起こしテキスト全文を公開しているので、以下の記述と比較・対照していただけると幸いである。
(各セクションのタイトルをクリックすると対応するドゥルマ語書き起こしテキストに飛びます)
1983/08/28, 22:00
今からkayamba4を開くという連絡を受け、Bwana Muganga氏の前庭(muhala)に57。
集まっているのはほぼPereの屋敷の人々だけ。どうやら内輪のkayambaで、近隣には告げまわってはいなかった模様。
Malau氏、呪医(muganga11) Nyawa(Mwamandi)に、kayambaを開く旨p'ep'o13たちに唱えごと(ku-kokotera)してくれるよう依頼。
<カセット1A面スタート> 1. 開始の唱えごと (1983編集のフィールドノート該当箇所) <tape1a 0:0.0> Nyawa(施術師 Malau氏の分類上の父(or息子)にあたる。Mwamandi地区在住の施術師):
けっこうです。ああ、さて、全能のムルング58、ペーポー子神13、そして憑依霊バラワ人63、私は皆さまにお話しいたします。私たちはあなた方に祝福64をお与えします。祝福がこの場に戻りますように。さあ、お一人ずつ、お一人ずついらっしゃり、何か要求をお持ちの方は、それをお告げに来てください。それこそ、私たちが願っていることです。それこそ、私たちが願っていることです。皆さま、同時にいっしょに来ないでください。一人ずつ来て、踊り、そして話してください。そして病気は今、今日、放置してください。来て、この場にそれを置き去りにしてください。私は皆さまに祝福をお与えします。さあ、このように、しっかりお聞き届けください。どうか皆さま、おだやかに。 <tape1a 0:31.0>
<tape1a 0:32.0> Mwero wa Malau(Malauの長男):
私たちは皆さんがおいでになり、病気の問題をお話くださり、しっかりとお話くださるよう欲します。調えてもらった方は、去って行かれますように。要望をお持ちの方こそ、この場においでください。ご到来ください、咳の張本人の方、ご到来ください。ここにご到来ください。
(集まった人々のそこここで雑談, 書き起こさず(識別不可能なため))
<tape1a 1:06.0> Malau: (歌の一節を口ずさみ、演奏を促す)
ご傾聴ください、エエ、ご傾聴ください
カヤンバ演奏の若者たち:
はい。
演奏開始
Mwarabu
<tape1a 1:08.0>
憑依霊アラブ人の歌1
(solo)
ヨーヨー、ご傾聴ください、ヤー、匠のみなさん ご傾聴ください、ヤー、施術師の方々、ご傾聴ください ヨーヨー、ご傾聴ください、ヤー、匠のみなさん ご傾聴ください、ヤー、施術師の方々、ご傾聴ください 私は祖霊に、慈悲深いムルングに祈ります、ヤー、施術師の方々、ご傾聴ください ヨーヨー、ご傾聴ください、ヤー、匠のみなさん ご傾聴ください、ヤー、施術師の方々、ご傾聴ください (chorus) 上記を繰り返す
演奏ストップ。カヤンバ奏者一人遅れて到着のため。挨拶(書き起こし省略)
Man(カヤンバ奏者の一人):
さあ、歌行こうぜ。 <tape1a 2:52.0>
演奏再開。20秒後、マラウ右手を上げて演奏を止める。 <tape1a 3:11.0>
1曲の後、いったん休憩 22:20 makolousiku65で紅茶、マハムリ、肉スープがでる このタイミングで休憩が入るとは、やはり内輪のカヤンバならでは?66
Malau氏、Nyawaにvuoを用意する(ku-vuga vuo39)よう促す。まだ用意してなかったのか。 Mwero(wa Malau)Nyawaを手伝い、mihi28を水の中で揉み始める。唱えごと聞き取れず。 Malau、彼らを急がせる。追加の水を持ってこさせ、vuo完成。 Malau、続いてすべてのp'ep'oの名前を挙げていく。vuoに手を入れてすくい上げながら、vuoに向かって「mulungu67が来るよう願います」といった風に。ただよく聞き取れない。
<tape1a 7:27.0> 薬液の草木揉みの唱えごと ( 1983編集のフィールドノート該当箇所) Malau:(聞き取れた単語のみ)
...その後で...私はカルメンガラ68に...皆さん全員、歓迎です...天空のキツィンバカジ81、ペーポー・マレラ御本人124、...私たちは欲します...皆さまお打ちいたします(カヤンバを演奏して差し上げます)、...用件を語ること...憑依霊が御座す所どこも、良く聞いてくださるように。...(カヤンバを弄ぶ音のせいで全く聞こえない)...皆さま方、お解きほどきください...戸惑う...全員でのように...
<tape1a 9:55.0> Malau: (小声で)
さて今、私たちは薬液を手に入れました。お一人ずつやって来て、踊り、その用件をお話しください。今より彼らにカヤンバを打たせます。一人ひとりの憑依霊よ、アラブ人のようにやって来てください。
<tape1a 10:01.0> Mwero wa Malau(Malauの長男):
私たちは願います。お一人ずつ、お一人ずつ、足の爪の先まで。このように鶏冠(chitsembe)まで。
演奏: Mwarabu 2曲、mwana mulungu 3曲 いずれでもMalau氏身体を前後に揺らすが、踊っているというほどでもない。
<tape1a 10:09.0> 憑依霊アラブ人の歌1再開 kusuka~kutsanganya (同じku-suka125のリズムで始まり、途中からリズムはkutsanganya126に) (アラブ人の歌1から休止抜きでただちに歌2に続く) <tape1a 14:29.0> 憑依霊アラブ人の歌2 kutsanganya (solo)
憑依霊アラブ人、私は神に祈ります、エー 預言者の書 もしあなたなら、私は神に祈ります 預言者のアラブ人 憑依霊アラブ人は、神に祈ります、ヘー 預言者の書
(休みなくアラブ人の歌3に続く) <tape1a 17:06.0> 憑依霊アラブ人の歌3 kutsanganya (solo)
ヨーヨー、憑依霊アラブ人 マウラーナの護符33を縫ってもらいます ハー、ご覧なさい、アラブ人 マウラーナの護符を縫ってもらいます (chorus) ハー、ご覧なさい、アラブ人 マウラーナの護符を縫ってもらいます
<tape1a 18:03.0> <tape1a 18:04.0> ムルング子神の歌1 kusuka (solo)
池には、ムルング子神、ウェー 池には、お母さん、オー お母さんに、よしよし(pore127)と言われました、ウェー 癒しの術の、主ある池に踏み込みなさいと、ウェー ホーウェー、ムルング子神、ウェー 池にはお母さん、 お母さんに、よしよしと言われました、ウェー 癒しの術の池に、踏み込みなさいと、ウェー
(chorus)
ホーウェー、ムルング子神、ウェー 池にはお母さん、 お母さんに、よしよしと言われました、ウェー 癒しの術の池に、踏み込みなさいと、ウェー
(solo)
おだやかに!(2語識別不能)ヴリの大雨が叩きつけるように降って 私の身体を苛んだ 池には、ムルング子神、ウェー
(休みなくMwanamulungu02に続く) <tape1a 21:25.0> ムルング子神の歌2 kusuka (solo)
行きましょう、行きましょう、ムルング子神の池に 行きましょう、ウェー 急いで行きましょう、ムルング子神の池に 行きましょう、ウェー 池に 私は大きな森に呼ばれました(or 私は大きな森と呼ばれています) そう、カカムェの池 主のいる池は、足を踏み入れることはできません 施術師だけが、足を踏み入れます 行きましょう、行きましょう、ムルング子神の池に 行きましょう、ウェー 池に
(chorus) 上記を反復
(休みなくMwanamulungu03に続く) <tape1a 22:56.0> ムルング子神の歌3 kutsanganya (solo)
拾えよ拾え、言われた、言われた、いったい何をしたんだ、池を怒らせる者 私はできる、拾え、私は言われた、そこまでだ、カンエンガヤツリ草は池を怒らせる者
(chorus)
拾えよ拾え、私は言われた、いったい何をしたんだ、池を怒らせる者 今日、私は言われた、そこまでだ、カンエンガヤツリ草は池を怒らせる者、エエ
(注: この歌の翻訳について
カヤンバの歌の多くがそうであるように、意味不明な歌詞が多い。ここで「拾え」と訳したtsole という言葉はドゥルマ語にはない。強いて言えば、「拾い上げる、つまみ上げる」を意味する動詞 ku-tsola のsubjunctive formに見えるが、主格辞を伴っていないので文法的にはおかしい。単なる掛け声かとも思うが。さらにmunyet'eraは、「ひどい仕打ちをする、不当に扱う、侮辱する、怒らせる」などを意味する動詞 ku-nyet'a のprepositional form である ku-nyet'eraを名詞化して動作主を意味する言葉にしたもので、ここでは「池を怒らせる者」と訳したが、ムルング子神との結びつきが強いカンエンガヤツリ草(mukangaga128)やオヒシバ(chimbikaya129)が唱えごとのなかででてくる際の決まり文句、mukangaga munyet'era ziyaやchimbikaya munyet'era ziyaに関しては、私は普段は「池に蔓延るカンエンガヤツリ草」「池に蔓延るオヒシバ」と訳している。)
演奏突然中断。 <tape1a 27.01.0> やってきた一人の女性が人々に挨拶。 Nyawaは彼女に、なぜ"taireni130"という割り込みを 求める言葉をかけなかった(Heka kupigire taireni)のか問いただし、罰金10シリングを要求。彼女はそれに対して、言ったけれど聞こえなかったのかと返す。そしてNyawaにもう唱えごとは済ませたのかと尋ね、Nyawaは済ませたと応える。
太鼓に切り替えるため、太鼓準備。 Malauが「ちょっとkayambaは置いておいて、太鼓ngoma1でやりましょう。そして私が踊るかどうか見極めましょう」と提案。
kayambaは通常はMulunguから始まる。Mwarabuから始めるのはMalau独自の流儀であるらしい131。 Nyawaは、kayamba演奏者たちに、なぜMwarabuから始めたんだと尋ねている。kayamba奏者たちはMalauがそうしろと言ったからと答え、Nyawaはちょっと驚いている。
太鼓の準備ができるまで(皮の紐を引っ張って張りを出す作業)カヤンバ。
演奏
Mulungu 4曲目
この曲の書き起こしに関しては、他の曲以上に自信がない。いくつかの単語が聞き取れていない。
<tape1a 29:57.0>
ムルング子神の歌4 kutsanganya
(solo)
ヨーヨー、降り立て、ムルング子神 どうしたのですか、ムルング子神 ハー、ホーワ、私の癒し手(muganga)、ウェー お母さん、ムルング子神 ハー、ホーワ、私の癒し手、ウェー 私は尋ねます、ムルング子神、ハー、ホーワ 私の癒し手、ウェー
(chorus)
降り立て、ムルング子神、ウェー お母さん、ムルング子神 ハー、ホーワ、私の癒し手、ウェー 私は尋ねます、ムルング子神、ハー、ホーワ 私の癒し手、ウェー
<tape1a 31:28.0> Malauが踊らないため停止。 Malau氏 Nyawaが乳香 ubani132を持ってくるのを忘れたと文句を言う。ここではubaniは入手困難。だから霊(nyama15)がこないのだと。「私のnyamaは乳香を必要とする。」
演奏再開 <tape1a 32.27.0> mulunguをと指示されたのに、歌い出されたのはchitsimbakazi81。すぐに演奏を止められる。 <tape1a 32:49.0>
mulungu 5曲目 kutsanganya126→kubita133 <tape1a 32:51.0> ムルング子神の歌5 kutsanganya~kubit'a この歌の書き起こしは諦めた。有名な「今日のムルング mulungu wa rero」のバリエーションだが、歌詞は全く異なる。耳の良い方は書き起こしに挑戦してみて。 (solo)
.... ....
...... (chorus)
今日のムルングは私を憎んでいる、ウェー ああ、もう結構、あなたはおしゃべりさん ..... ......
停止 <tape1a 34:46.0> 踊らないムウェレにがっかり (1983編集のフィールドノート該当箇所) Man:
ムルングは何か話しに来るだろうよ。
Man2:
来ないよ。
(人々、ため息) Man2:
カヤンバが嫌いだって言ってる。
Man:
彼自身がね。太鼓じゃないとって。
Man2:
そう。太鼓じゃないと。ええ。 <tape1a 35:01.0>
(近隣の男性(屋敷外)が、おそらくはカヤンバの音が聞こえたからだろう、やって来て挨拶)
mulungu 6曲目 kubita <tape1a 35.14.0> ムルング子神の歌6 kubit'a 私の書き起こしには、何箇所か自信のない箇所あり。 (solo)
ハヤー、お父さんに言ってね。私はあなたの最初に生まれた相棒に会って、いっしょに帰ってきますって。
(chorus)
ハヤー、お父さんに言ってね。ンゲレンゲといっしょに帰ってきてねって。
(solo)
ハヤー、お父さんに言ってね。私は年長のあなたの相棒たちに会って、いっしょに帰ってきますって。
(chorus)
ハヤー、お父さんに言ってね。ンゲレンゲといっしょに帰ってきてねって。
2分ばかりで再び中止。 <tape1a 37:22.0>
太鼓の準備完了。Malauはplayerたちに、誰か mulunguの太鼓がちゃんと打てる奴はいるのかと問う。誰もいないと判明。 malauは太鼓を小屋の中に持ってこさせ、Luphandeの息子のBejaに教える。今か? なんだか段取り悪すぎ。が、すぐ終了
小屋の中で再開 <tape1a 39:03.0> mulungu 7曲目(太鼓のみで歌なし) Nyawaも演奏に参加。Malau踊り始める。 <tape1a 39.51.0>
太鼓での演奏終了。 <tape1a 40:21.0> 憑依霊とのやりとりかと思えば (1983編集のフィールドノート該当箇所) Nyawa:
どうしたんですか?捕らえあいましたか(繋がりましたか)?
Malau:
そいつが中にいるわけじゃないよ。何も起こっていないよ。私が痛い目にあっただけさ。
(人々、爆笑) Nyawa:
そいつが痛めつけていると。けっこうです。先に行きましょう。 もしこれで、はてさて、キリャンゴナ(chiryangona134)が終わったのなら、さて(カヤンバで)ムルング(の曲)を皆さん打ってください。
以後再びカヤンバ <tape1a 41:16.0> ムルング子神の歌8 kutsanganya~kubit'a (solo)
カンエンガヤツリ草? 池が見えるよ、ハー 睡蓮の池には不思議があるよ、エー カンエンガヤツリ草には不思議があるよ、池、アー 睡蓮の池には不思議があるよ、エー
(chorus)
カンエンガヤツリ草には不思議があるよ、エー 睡蓮の池には不思議があるよ、エー カンエンガヤツリ草には不思議があるよ、エー 睡蓮の池には不思議があるよ、エー
(solo)
癒しの術? チャー、癒しの術には問題があるよ、池、チャー 睡蓮の池には不思議があるよ、エー 癒しの術には、チャー、問題があるよ、池、チャー 睡蓮の池には不思議があるよ、エー
(chorus)
カンエンガヤツリ草には問題があるよ、池、エー 睡蓮の池には不思議があるよ、エー カンエンガヤツリ草には問題があるよ、池、エー 睡蓮の池には不思議があるよ、エー
(休みなくMwanamulungu09に続く) <tape1a 43:10.0> ムルング子神の歌9 kubit'a (solo)
私の布、ハー、布、布 さて私の布、エー、布、布 私の布、ハー、布、布 さて私の布、エー、布、布 おお主よ、ウェー、はて花の人々よ 私はどうすればいいんだろう、ウェー、私の布、エー ハー、私は傲慢ではありません、さて私の布、エー
(chorus)
私の布、エー、布、布 さて私の布、エー、布、布 私の布、エー、布 さて私の布、エー、布 あなたは憑依霊をもっている、ヤー、私の布、エー 私はどうすればいいんだろう、エー、私の布、エー どこに行きましょうか、お母さん、エー、私の布、エー (即興を入れつつ、何度も繰り返す)
<tape1a 46:01.0> いったん終了し、2秒後に次の曲がスタート <tape1a 46:03.0> ムルング子神の歌10 kubit'a (solo)
ラーイラー、イッラー、ムルング子神、ヨーヨー、池に踏み込め ハー、(ムルング子神が)癒しの術の池に戻ってくる ムルング子神、ヨーヨー、池に踏み込め ハー、癒しの術の池に戻ってくる
(chorus)
ムルング子神、ヨーヨー、池に踏み込め ハー、癒しの術の池に戻ってくる ムルング子神、ヨーヨー、池に踏み込め ハー、癒しの術の池に戻ってくる
<カセット1A面終了> <カセット1B面開始> ムルング子神の歌10、激しさを増すが、やがて停止。 Malau 相変わらず踊らない。演奏者の中には外に出る者も。室内は暑くてたまらないと不平を言い合う。 私、Mulunguの曲ばかり演奏されるが、なぜかと聞く。Malauはmulunguで憑依(golomokpwa135)するはずだからという。mulunguは彼のメインのnyamaなのだそうだ。mulunguでMalauが一向に踊らないので、もう一度Mwarabuに戻ることになる。
<tape1b 3:55.0> 憑依霊アラブ人の歌022 憑依霊アラブ人の歌2と歌詞はほぼ同じだが、メロディ、リズムは別物。 (solo)
憑依霊アラブ人、私は神に祈ります、ウェー 預言者の書 ムウェレ137は神に祈ります 預言者の書
(chorus)
憑依霊アラブ人、神に祈ります、ウェー 預言者の書 ムウェレは神に祈ります、ウェー 預言者の書
<tape1b 5:08.0> 憑依霊アラブ人からやり直したものの、Malauは相変わらず踊らない 演奏終了後、9秒後に憑依霊サンバラ人の演奏が始まる。
<tape1b 5:17.0> 憑依霊サンバラ人1 kutsanganya (solo)
サンバラ人、ええ、私は癒しの術を見る(alt.癒しの術を求める) 私は、あなたサンバラ人の、一族に伝わった癒しの術を見る 私は見る。それは目に見える。 癒しの術を私は捨ててしまうでしょう、ウェー
(chorus)
サンバラ人、エエ、私は癒しの術を見る。 私はヘビの瓢箪の癒しの術を見る 私は見る。それは目に見える。 サンバラ人、私は癒しの術を捨ててしまうでしょう、ウェー。
<tape1b 12:26.0> 曲が終わると、ほとんど間髪を入れず次の曲に入る。 <tape1b 12:27.0> 憑依霊サンバラ人2 kubit'a (solo)
サンバラ人、私は癒しの術を歌い、歌う141ように言われます サンバラ人、ウェー、私は癒しの術を、歌い、歌います サンバラ人、ああ悲しい、癒しの術を歌わせて サンバラ人、ウェー、私は癒しの術を、歌い、歌います
(chorus)
サンバラ人、私は癒しの術を歌い、歌うように言われます サンバラ人、ウェー、私は癒しの術を、歌い、歌います サンバラ人、ああ悲しい、癒しの術を歌わせて サンバラ人、ウェー、私は癒しの術を、歌い、歌います
<tape1b 14:51.0> ムウェレが踊らない問題 (1983編集のフィールドノート該当箇所) マラウは相変わらず踊らない。
Nyawa:
憑依霊サンバラ人は中にいませんね。でもいないという訳ではないのです。それ(憑依状態になること)を押さえつけているもの、それが憑依霊(shetani14)であれば、私たちには理解できませんね、そうでしょ。それとも他の何なのかも、知ることはできません。でも、こうしてあれらの憑依霊たち(nyama)は(カヤンバを)打ってあげたので、それらの者たち(邪魔をしている憑依霊たち)も、彼らの流儀で打ってあげることは可能です。ということで、まずは憑依霊ドゥルマ人を最初に打とうじゃないですか。その後で、それが済んだら、先に追い進んで、仲間たちの妨害をしている可能性がある者(憑依霊)たちを見ていくことにしましょう。
Jawa:
うーむ。
Nyawa:
そうですよ。だって、この人(マラウ氏)のいつもの振る舞いに鑑みると、この人は本来とってもよく踊れる人なんですよ。
Jawa:
まずは問題を引き起こす奴から入ろう。そもそも憑依霊カンバ人がいる。こいつは面倒を引き起こしてばかりの奴だ。おまけにとっても強力だ。
Beja(カヤンバ演奏者):
じゃあ、すぐ憑依霊カンバ人を打ちましょうか?
Jawa:
違う、違う。
Beja:
ええ?
Jawa:
この長老(Nyawaのこと)が最初に打とうと言っている憑依霊から始めよう。そうでしょ。
mudurumaの演奏始まるが、Jawa Mwero氏、人々に外で打つように言う。 人々小屋の外の前庭に移動。カヤンバ演奏開始。
muduruma 3曲連続(カヤンバで)
<tape1b 15:48.0> 憑依霊ドゥルマ人の歌1 kubit'a (solo)
泣き止みなさい、子供よ、ウェー、あなたは可愛く生まれました、ウェー ドゥルマ人、あなたは杵をつく、私は臼を挽く
(chorus)
泣き止みなさい、子供よ、あなたは可愛く生まれました ドゥルマ人、ウェー、あなたは杵をつく、私は臼を挽く
(以上、即興を加えつつ何度も繰り返し、最後は次の1フレーズを反復) (solo)
泣き止みなさい、子供よ、ウェー
(chorus)
あなたは可愛く生まれました、ウェー
<tape1b 19:01.0>
<tape1b 19:02.0> 憑依霊ドゥルマ人の歌2 聞き取れない言葉が多すぎて、書き起こしを断念。ただ断片的に聞き取れる"nauya hee", "ndauya kpwehu" etc.から判断して、下記のkasidi70の歌の一変異形であると思われる。耳の良い人、書き起こしに挑戦して!
参考:[DB 6894]ドゥルマ人(カシディ)の歌 (ハミシ・ルワ・ブンダによる書き起こし)
(solo)
私は戻ります、ヘー 私は実家に戻ります、エー 私は実家に参ります、エー あなたは言われます。ダマ・ンガラがやって来たよ、旅人だよ ダマ・ンガラがやって来た、ヘー 私はゾンボに参ります、ホー、ホ 旅人カシディです あなたは私に嘘を言う、お母さん、お戻りなさい
(chorus)
私は戻ります、ヘー 私は実家に戻るでしょう、エー 私はゾンボに参ります、カシディは私に嘘を言う、あなたは言う、戻りなさい 私は戻ります、ヘー 私は実家に戻ります、エー ゾンボに参ります
<tape1b 20:56.0> 憑依霊ドゥルマ人の歌3 カルメンガラの歌 kubit'a この曲は通常は kusuka125のリズムで演奏されるが、ここではkubit'a133で演奏されている (solo)
ヨー、エー、カルメンガラ、エー ヨー、エー、カルメンガラ、エー 外の問題を私は知っている、内の問題も私は知っている ヨー、エー、カルメンガラ、エー もしお前が男なら、やって来なさい
(chorus)
ヨー、ワー、カルメンガラ、エー ヨー、ワー、カルメンガラ、エー 外の問題を私は知っている、内の問題も私は知っている ヨー、ホワー、カルメンガラ 男、やって来なさい
<tape1b 22:48.0> 憑依霊ドゥルマ人の歌4 はっきりと聞き取れない箇所が多く、以下の書き起こしは不完全である。 (solo)
ドゥルマの子供は、貧しさを憎んでいます ドゥルマは癒しの仕事を憎んでいます ドゥルマは仕事のために出かけました お母さんの子供は、癒しの術のせいで私を憎んでいます ドゥルマ、ヘー、臼を挽く、こちらでは杵をつく
(chorus)
ドゥルマの子供は、貧しさを憎んでいます ドゥルマは癒しの仕事を憎んでいます ドゥルマ、ウェー、こちらで臼を挽き、杵をつく ドゥルマの子供は、尋ね始めました ドゥルマは癒しの仕事を憎んでいます ドゥルマ、ヘー、臼を挽き、こちらでは杵をつく お母さんの子供は、癒しの術のせいで私を憎んでいます ドゥルマ、ヘー、臼を挽き、こちらでは杵をつく
<tape1b 26:09.0>
憑依霊カンバ人(kaphele)を打とうか (1983編集のフィールドノート該当箇所) 憑依霊ドゥルマ人の歌では皆、けっこう盛り上がった。マラウ氏を除いて。彼は相変わらず踊らなかった。
<tape1b 26:16.0> Beja(カヤンバの歌い手):
ところで、彼の踊り具合はこんな感じだから、別のを打ちましょう。さて、例のカブェレ(kaphele142)を打つとしましょう。
カヤンバ演奏開始 憑依霊カンバ人の歌(kaphele)、カヤンバ演奏による (solo)
子安貝の護符と小さな矢筒...
<tape1b 26:17.0> すぐ停止。ngoma1で打つようにと
太鼓(ngoma)の打ち手の交代。大きなmbumbumbu1をNyawaが、chapuo1をBwana Muganga57が担当することになる。 mukamba (ngomaで)再開
<tape1b 29:30.0> カブェレ(憑依霊カンバ人の歌)、太鼓演奏による この歌の歌詞はほぼ聞き取れたのに、その単語がどれ一つとして理解できなかったので、カタナ氏に電話でアドバイスを求めたところ、歌詞がドゥルマ語ではなくカンバ語だと判明。カタナ氏は私の書き起こしを訂正してくれ、さらに歌詞の意味も説明してくれた。 (solo)
子安貝の護符(kaphele142)と小さな矢筒(karyaka143)、立派に作ってあげましょう、イトゥの息子さんよ (chorus) 子安貝の護符と小さな矢筒、立派に作ってあげましょう、イトゥの息子さんよ
ついにMalau踊りだす。 女性たちの笑い
<tape1b 34:26.0> 憑依霊カンバ人との交渉1 (1983編集のフィールドノート該当箇所) Nyawa:
さて、どうかお話しください、お話しください。なぜなら私たちはあなたをお呼びしようとしているのです、私たちは。今日このごろ、私たちは病気の問題に取り組んでいます。その病気はずいぶん以前に始まりました。そしてどうやら、それはあなたのせいだ、あなたカンバ人こそがこの者をつかみ、治らないようにしている張本人だ、あなたカンバ人が、と言われているのです。本当でしょうか?もしあなたの仕業なら、そしてあなた自身に、何か欲しいものがあって、それを私たちがまだ知らない、そういう理由をおもちなのでしたら、お願いします。私たちにわかるように説明してください。私たちは傾聴いたします。
Malau:
Mmn.(そのまま沈黙)
Nyawa:
その人(カンバ人)、中にいますか?
Malau:
そいつは封じることができるんじゃ、はては...(聞き取れない)
Man:
そいつ、とうに出ていっちゃてるよ、そいつ。(人々笑う) あとはその人...
Jawa:(その男が言い終わる前に被せて言う)
それとも、そいつをちゃんとカンバ風に扱ってやれば?
Man:
もう出て行っちゃった、てば。
Woman:
カンバ人、行っちゃった。
Jawa:
でも、カンバ語で話せばいい、違うか?そしたらそいつは、なんと...
Malau:
...(話し始めるが、あまりにも小声でほぼ聞き取れない)
ニャワとマラウの会話が続く。しかし、声が小さすぎてときおりの"unasikia"(「おい、聞いているか?」)以外には、かろうじて"muzungu wa keya"(「ケヤの白人」)が聞き取れた(後者は空耳かも)のみ。ほぼ何も聞き取れない。書き起こすのは諦めた。もちろん、ニャワ、マラウ、ジャワの3人は互いの言ったことを理解しているはず。
Jawa氏の隣りにいた彼の息子ムァエガ君によると、マラウは、「mukambaはここにいる。でも私はとくにしてほしいことはない。でもここにはもっと深刻な奴らがいる。奴らは自分たちの欲しい物がある。ケヤの白人(muzungu wa keya7)。それにDena99が新しい服を要求している。スボンとジャケット。」ただし、これは編集されたフィールド・ノートにあるように、翌日テープを再生しながらリビューした際に提供された情報である。
Jawa:
その大物144に手拍子で(歌を)打ってやることから始めては?彼自身が、私はカヤンバの方で行きたいと言うまで。その理由は、手拍子でやった月には、彼はとっても良く踊ったんだよ。まさに、やって来る憑依霊は誰も、もう踊る踊る。私たちが行ってそれをしたら、即だよ。私たち自身「今日は大仕事だね」と言ったほど。でも今は、彼が踊るのを邪魔している憑依霊が何者なのか、かなえてもらいたいどんな要求があるのか、私たちにはわからない。
Nyawa:
まさにそうですね。
Malau & Nyawa:(再びひそひそ声でやりとり)
....(約20秒間、まったく聞き取れない)...
Malau、自分の小屋に引き下がる。 Malau小屋に戻って、
マラウ氏を待ちながら ([1983編集のフィールドノート該当箇所なし])
Nyawa:(Jawaに向かって)
というわけで、あいつ(カンバ人)が言うには、最初にムミアニ(の白人145)を済ませなさいと。
Jawa:
ああ、そうだよね。
Nyawa:
じゃあ、ムミアニを扇ぎましょう146。
Jawa:
ふむ。
Nyawa:
そいつが過ぎたら、その先で、他の要求をすでに持っている者をね。
Jawa:
そういうことで、ね。
<tape1b 37:05.0> <tape1b 37:38.0> Nyawa:(カヤンバ演奏者たちに向かって)
さあさあ、going, going, going, ムミアニの白人を歌って!
<tape1b 37:39.0> Jawa:
最初はカヤンバで打ってやって、そう、しっかり聞かせてやりましょう。
Man:
うん。
Jawa:
そう。
<tape1b 37:44.0> 屋敷の若者たちは、カヤンバを弄びながら冗談を言いあっている(書き起こさず)。 やがてマラウ、小屋から灰色ズボンとワイシャツに着替え、豹の皮の帯を巻いたフェルトのつば広帽を被って現れる。Muzungu(白人)8である。
<tape1b 38:13.0> カヤンバ奏者1:
どんな風に始める?
カヤンバ奏者2:
まずは、ムミアニの白人を打つだけだろ、さっさと。
カヤンバ奏者1:
俺、歌を知らないんだよ。いや、思い出させてくれよ。
演奏再開 muzungu wa mumiani145 2曲演奏
<tape1b 38:19.0> ムミアニの白人の歌1 ソリストは時折"pesa"(お金)という単語を"pawa"(power「力」)に置き換えて歌い、合唱もそれに従う。 演奏中、マラウはトランス状態で踊っている風で、ジャワとニャワは彼に話しかけている(おそらく説得しようとしている)。しかし、マカヤンバの大きな音のため、彼らの言葉はほぼ聞き取れない。 (solo)
私は金が欲しい、エー 私は金が欲しい 私は金を欲しがることで知られています、エー 私は金が欲しい
(chorus)
私は金が欲しい、エー 私は金が欲しい 私は金を欲しがることで知られています、エー 私は金が欲しい アアー、ウォオー、オオー 以上が、さまざまに即興を加えて何度も繰り返される
(切れ目なく、次の曲につながる) <tape1b 45:11.0> ムミアニの白人の歌2 (solo)
遠いよ、エー、お母さん 遠いよ、行程は遠い 遠い、遠いよ、行程は遠い、行程は遠い
(chorus)
遠いよ、エー、お母さん 遠いよ、行程は遠い 遠い、遠いよ、お母さん、遠い、行程は遠い
(solo)
遠いよ、ウェー、ムミアニ 遠いよ、行程は遠い
(chorus)
遠いよ、ウェー、ムミアニ 遠いよ、行程は遠い
(solo)
遠いよ、ウェー、ムミアニ
(chorus)
遠いよ、行程は遠い
<カセット1B面終了>
(浜本注(August 30, 1983): Mumianiの途中でテープが終了していたのに気づかず、それに気づいて新しいテープに交換したときには muzungu wa keya の演奏は終了、さらにその直後の大騒ぎも未録音。録音は、以下の Du!Du!Du!の直前から。翌日、Katana氏、Mwaega君とでテープをレビューした際に、欠落した部分での会話のやり取りは記憶で補った。)
未録音部分についてのフィールドノートの記述 演奏 muzungu wa keya 1曲(Funga safari) 最初は手拍子で、次いでkayambaで (Mwaega君による、ケヤの歌詞) > Funga safari, funga safari > Safari, Funga safari > Shauli ya bwana, Shauli ya bwana > Shauli ya Keya7 > (訳) > 旅の支度をしろ、旅の支度をしろ > 旅、旅の支度をしろ > ご主人の勝手、ご主人の勝手 > ケヤの勝手
Malau 完全にgolomokpwa135し、分けの分からない言葉(英語風)で喚き始める。 Nyawaは演奏を止めるよう指示する。 Malauは、なにか怒っているような感じで喚きまくる。唯一聞き取れた英語の単語は"why!?"となぜか"20shilling!!" muganga Nyawa氏との「対話」が始まる。
Malauは、相変わらず理解不能な英語風の言葉を喋り続ける。それに対してNyawa氏は Yes! Yes!"の返答を繰り返す。珍妙な対話、そしてMalauにスワヒリ語でしゃべってくれるようお願いする。
(ここからのやり取りが記憶で再構成した部分) Nyawa: あなたの言葉は実に難しい。私たちがわかるようにどうかスワヒリ語で話してください。あなたはmuzungu wa keya7ですか。何が欲しいのですか。 Malau: (スワヒリ語に切り替え)私はmuzungu wa keyaだ。muzungu wa keyaだ。私は袋がほしい。背中に背負う袋(mufuko wa mgongoni)と鉄砲。ちゃんと聞いているか? Nyawa: 聞いていますとも。 Malau: 袋を手に入れたなら、そこには鉄砲も必要だ。袋の中にはすべてがそろってなければならない。鉄砲は本物じゃなくてもよい。木で作ったものでよい。背中に背負う袋を手に入れたら、盛大なkayambaを開かなければならない。そのとき人々はKeyaの兵隊のように振る舞わねばならない。Du!Du!Du! (以上のやりとりが私とMwaega君の記憶で再構成した部分)
<カセット2A面スタート> ケヤの白人との交渉 (1983編集のフィールドノート該当箇所) 以下のやり取りは主としてスワヒリ語(ときどきドゥルマ語表現が混じるが)。ドゥルマ語が用いられている文章はその都度示す。マラウは終始、囁くような小声で語り、聞き取りにくい。
Nyawa:
あなたは太鼓そのものを使ったンゴマを希望する。
Malau:
ドゥ!ドゥ!ドゥ!
Nyawa:
ドゥ!ドゥ!ドゥ!いわばケヤ(keya7)のあの行進みたいなね。
Malau:
バッ!バッ!バッ!(同じく行進の擬態語) 聞いているか?
Nyawa:
うむ。
(背景で女たちが会話に興じている)
Mwaega:
あなた方、お静かに。あなた方、世間話でもしているの...(ドゥルマ語)
Jawa:
ご婦人方、どうしてそんなに喧しいんだい。
Malau:
そして鉄砲。お前は(1語聞き取れない)全部といっしょに探してこい。それとあの大きなバッグ。それと、手に入れねばな。...の(バッグ)を。
Nyawa:
カーキ色の?
Malau:
Nyawa:
ヴィアシ・ヤーシ。
Malau:
そうじゃ。カーキ色のことはほっておけ。ちょうどこんな感じの。(ドゥルマ語)
Nyawa:
はい。
Malau:
じゃが、こっちの小さいバッグは、ここに下げる(肩を指して)。
そしてあの大きいバッグは、ここ背中に背負う。
Malau:
そうじゃ。ここ(背中)になければならん。そして石油缶(daba)も、ここ背中にな。聞いとるか?
Nyawa:
聞いています。(ドゥルマ語)
Malau:
なんとなれば、ここ背中じゃが、あいつ自身が言うには、不可能なほどの荷物があるんじゃとな。
Jawa:
その通りです。彼が言うには、彼は(苦痛を)感じる。当人が言うことには、ここ背中のところがとても痛いんだと。(ここからドゥルマ語での発話)というわけで、そのバッグが必要になる。どこに行くのも、このバッグを背中に背負って行かねばならない。ありとあらゆる物が中に入っている。ベッドだって中に入っている。そうじゃないかい。もし疲れたら、どこにいようとも彼はそこで眠る。
Malau:
ということで、あの大きなバッグを手に入れねばならん。手に入れねばな。あの大きいバッグ、まさにケヤのバッグを手に入れねばな。それとヴィアシ(viasi149)じゃ。
Nyawa:
ヴィアシ(viasi)、ヴィアシ、ヴィアシとは物、それとも151?
Jawa:
それは物だよ。つまり道具(vifaya, pl.of chifaya)というか、武器(silaha)というか...(スワヒリ語とドゥルマ語が混ざっている)
Man:
道具、武器... (ここから発話はもっぱらドゥルマ語になる)
Jawa:
つまり荷物みたいなもの。上に載せるものだよ。ヴィアシが目につくところにあると、盗まれちゃうだろ...
Man:
それはこんな風に中に入れておかないと。
Musoza(one of Malau's sons):
鉄砲だけど、模型でいいんだよね。木を削って作られたもの?
Jawa:
うむ。
Malau:(突然叫び出す)
ゴォア!
(人々、笑い) 本人の健康が先 (1983編集のフィールドノート該当箇所 Nyawa:
さて、今、私はこう言おうとしているのですが、よろしいですね。あなたこそが、この者がちゃんと息ができず(文字通りには少ない息)、腹が詰まり、咳がでる、それをもたらした張本人であろうと。ああ、結構、結構。オーケー!
Jawa: (興奮して、大声で、やや支離滅裂っぽい語りになっている)
そして今、私たちは何をすれば良いのでしょう?まさにあなたこそがその者であると、また彼に少しの回復をもたらしさえする者であると確認するためには。あなたのためにそのバッグを探してくれば、回復を目にすることができると?それとも今、あなたが...。そこでそのモノなんですが、あなた自身が行くことは可能でしょうか。あなたが腰をあげ、あなたは理解しているはずで、あなた自身で行って、選んでくる。あなた自身が、これこそがそうだと承知の上で。ねえ、体のなかは健康じゃないんですよ。ちゃんと本当のことをお話ください。
Nyawa:(先の発言に続いて、Malauに語り続けているのだが、Jawa氏の大声が被さっていて、よく聞き取れない)
...なぜならこの者は、咳のせいでできない、腹が詰まっているせいでできない、そしてできない...
Jawa:
しばしば、口をきくこと自体、彼にはできない。
Nyawa:
口をきくことすら、彼には難しい。
Jawa:
ええ、そうです。
Nyawa:
そういうわけで、私たちは改善が欲しい。もしかしたら、彼自身が行くことができるというくらいの持ち直しが。なぜなら、彼がすこし回復を感じたら...
Jawa:
彼が、身体の中になんの問題もないと感じるなら。
Malau:(彼自身もドゥルマ語で)
聞いとるか!
Nyawa:
はい。
Malau:(スワヒリ語まじりのドゥルマ語で)
お前!そいつはケヤの男だ。聞いとるか?そいつはケヤの白人だ。そいつがそんな風に欲しがっている本人だ。しかしな、ここには癒し手たち(あるいは施術師たち)がおる。
Nyawa:(スワヒリ語で。以下しばらくスワヒリ語のみのやりとり)
癒し手たちがいる?
Malau:
ンガイ(ngai152)のな。
Nyawa:
ンガイの癒し手たちがいる...。
Malau:
それにケヤの連中がおる。
Jawa:
ンガイっていうのは憑依霊カンバ人のことだ。
Nyawa:
癒し手たちというのは、彼らンガイの一族だ。
Malau:
わかるか?さて、あいつらが要求をもっとるんだ。要求と面倒事をもっとる。
Nyawa:
うむ。
<tape2a 2:58.0> Malau:
聞いとるか?言うとくが、こんな風に話されとる..(聞き取れない)...。さらに、あれらのバッグが手に入るじゃろう。じゃが、特に欲しがられとるのはあの大きいバッグじゃ。それこそ背中にな。
Nyawa:
それで、いよいよ彼は回復にむかえるのですか。
Malau:
品々をもっていない連中がみんな到来しとる。今じゃな、お前...(聞き取れない).. ...お前、さてここ(背中?)に大きいやつ(バッグ)があって...(ゲップと唸り声の他、聞き取れない)...
Nyawa:
あなた、あなたのあの荷物ですが、例の背中の真ん中の問題だけですか?それともあなたは、咳の張本人でもある、それとも腹詰まりの張本人でもあるのですか?というのも、もしあなたが背中の荷物の話ばかりして、でも腹は相変わらずで、咳も相変わらずだったら。人に咳をさせている者、腹も一杯にしている者についても、同じようにお話くださいよ、あなた。だって、私が思いますに、あなたは私の友人、これらについてお知りになることができる方です。もし、あなた一人(がそれらの張本人)だというのなら、そうおっしゃってください。そうすれば、私たちはあなたに、あなたが反論できる重要なお話(具体的な交渉の提案)をして差し上げましょう。私たちはそれを待っております。 <tape2a 4:10.0> (6秒間の沈黙) <tape2a 4:16.0> Nyawa: 息はかすか、腹は膨れ上がる...
Jawa:
そのとおりだ。
Nyawa:
彼は咳き込む。
Jawa:
そればかり!
Nyawa:
Jawa:
うむ。
Nyawa:
もしあなたが、これらの症状すべての張本人なら、バッグが理由で。もしそうなら、私一人のせいだと、ただ言ってください。今....(誰かの激しい咳の音で3語聞き取れない)。
<tape2a 4:30.0> Malau:
なぜなら。
Nyawa:
むむ。
(10秒沈黙(背景のささやき声での雑談を除く)) 白人、紙巻きタバコを欲しがる (1983編集のフィールドノート該当箇所) Malau:
ここに(沈黙2秒)、一つ物がある。(2語聞き取れず)わしがここに落ち着けるようにな。わしには紙巻きタバコがいるんじゃ。わしはケヤの男じゃから!
<tape2a 4:53.0> Jawa:
これらで良いか彼に尋ねてくれ。
Nyawa:
Jawa:
これらのタバコを彼に見せてやって。それで良いか聞いてくれ。もしそれらで良いなら、ちょうど、あちら(彼の小屋)に余分があるんだ。エンバシーだよ、これは153。あのスポーツマンみたいなものさ154。もしここに火があったら、味見できるだろうに。で、どんな具合いか彼に味わってもらう。余分をもってますよ。もし彼が嗅いでみるのなら。1箱、2箱だって彼に与えることができる。たとえ2箱でも彼はあちらで手に入れることができます。エンバシーだよ。
Nyawa:(Malauにタバコを一本示しながら)
エンバシー、エンバシー、エンバシー。
Jawa:
それで良いのかどうか、火に入れて感じてもらっても良い。その香りは、スポーツマンと同じだ。これがあなたの望んでいるものなのか、私にはわからないけど、でもこれらはまさに白人たちの紙巻きタバコだよ。 <tape2a 6:01.0>
白人たちは、荷物を背負うのが好きだ。そうして出発し、遠くへ行く。すごく痛い思いをしているのに、白人は荷物を降ろさない。(人々笑う。そのせいで2語ほど聞き取れない)
Man1:
それが白人たちのあり方だね。
Man2:
鉄だよ(手強い人々だよ)。(バッグの)中に家も入ってるんだぜ。
Nyawa:(スワヒリ語に戻って)
これはナンバーワン(namba wan)の紙巻きタバコだよ。この種の紙巻きタバコは、まさに長老たちが吸って、旅を続けるんだ。これだよ、このタバコではだめだと?
Jawa:
それでは、だめだと?
Nyawa:
スポーツマンが欲しいらしい。
Jawa:
スポーツマンでも結構だ、別に困らない。でも高価だけど。
Nyawa:
これを3回欲しいのかい、じゃあ、来てしっかり味わって。私はお尋ねします...
Jawa:
ときとして、私が彼に尋ねようと、尋ねると、すっかり口を閉ざしてしまう。
Nyawa:
ちがうよ。声が出ないんだよ。腹が詰まる、ぐったりする、息が少なくなる。さて、もしあなたのせいなら、スポーツマンを好む者よ、他に仲間もいないなら(彼が独りで病気を引き起こしたのなら)、ただ一言いってください。あなた、背中に背負う荷物を欲する者よ、さっとバッグの件を手に入れに行ってください。彼は言うでしょう。あなたこそ彼を捕まえていた者だと確認したと。あなたは言えばいいのです。私には何も言うことはありません。もう、誰も反対するものはいません。あなたが言えば、それだけです。あなたが、そのとおり私ですと言えば。私のせいですと言うだけ、それで終わりです。 <tape2a 7:15.0>
簡単には同意しない白人: 約束の詳細1 (1983編集のフィールドノート該当箇所) <tape2a 7:30.0> (突然、Malauは理解できない叫び声を上げ始める)
Nyawa:(笑いながら)
ワイ(why)?
(Malauは何やら「英語的」な何かを叫び続ける。そして最終的にはすすり泣き始める)
<tape2a 8:15.0> Nyawa: (周囲の若者たちもみな笑っている)
ハーッ、ハッハッハッ、ありがとう!ああ、あなた長老、もしお泣きになるなら、それはあなたの勝手です。でも私たちはあなたの返事を待ってるんです。いったい何年間を過ごされたのか、私は知りません。長老、あなたが家で眠ることなく、ブッシュで過ごされていたのか。はあ、さてもしあなたが、その人なら、妨害していた張本人があなたなら、私に説明してください。でもこんなふうな言葉で話さないでください。ヘッ、ヘッ、ヘ、ヘ。笑っているみたいでしょうが、苦々しいのです。なぜならこれは実に苦々しいからです。
<tape2a 8:41.0> Malau:
聞け。ところで、ケヤの男たちじゃ。
Nyawa:(相変わらず笑い続けながら)
ハッ、ハッ、ハッ。なんと!さあさあゆっくり説明してくださいな。ヘー、ヘッ、ヘッ。
結構。...(ほとんど聞き取れないが、途中で「クレメトゥ メタ(kulemetu meta)」と聞こえる箇所がある。これはケニアに駐留し、第二次世界大戦中に多くの写真を残したKings African RiflesのH.J.クレメンツ中尉(lieutenant H.J. Clements)の可能性がある)...
Nyawa:
なんとクレメトゥがいる?あの戦さの人たちじゃないか?ヤー、ヤー、ヤー、ヤー。ああ、ああ、ああ。お気の毒です、長老。
Jawa:
でも、あなたは遠くの森にいる。彼らのとっても大きな森があるんだ。白人はそこには暮らせない。砦(boma155)に住まねばならない。そして旅に戻る。でもその後はまたそちらの砦に戻ってくる。ゆっくりと旅をなさいな、あなた、私がそう願っているように。
(ここまで、ニャワは終始、笑い転げている)
<tape2a 9:17.0> Malau:(ほとんど叫ぶように)
聞いているか?
Nyawa:
うむう。
Malau:
もし、お前があの言葉(約束)を覚えとったら。
Nyawa:
うむう。
もし、お前が遠~くの荒~地に旅にでたら。じゃが、お前が行けば、たぶんこの病人は治るじゃろうからな。
Jawa:
ああ、そうとも。私たちもそう言っている。ああ、まさに私たちもそう言っている。
Malau:
そうすればその後に...(聞き取れない)...なぜなら、こいつは敵どもに打ち負かされるからじゃ。そいつも昔は問題なかった。そもそもここには、お前の憑依霊がたくさんおる。
Nyawa:
ううむ。
Malau:
しかしあの言葉(約束)....(数語、聞き取れない)...は全力でなされる必要がある。もし努力したら、成果は手に入るじゃろう。じゃから、この鉄砲も手に入る。
(このやり取りの間じゅう、女性たちが会話に興じており、そのせいでマラウのひそひそ声がとても聞き取りにくくなっている) <tape2a 10:18.0> Jawa:(女性たちに)
お黙りなさい、お黙りなさい。
(会話止まる。12秒の沈黙) <tape2a 10:30.0> Jawa:
私たちは何をするよう求められているのでしょう?
Nyawa:
あのバッグを手に入れるように。
Jawa:
ええ。
Nyawa:
それと鉄砲の模型(picha157)も手に入れないと。そうすれば、全てはうまくいくはず。
(10秒ほど沈黙) <tape2a 10:45.0> Malau:
さあ、....(はっきり聞き取れない)...仕事。
その鉄砲の模型だけど、人が必要なのか?それを削って作ってくれる人。それとも、鉄砲の模型はどんな種類の物を手に入れるのか?私は尋ねて欲しい。良い例が欲しい。鉄砲のような形に削った木の模型もある。彼本人が上に置いていた。そして歌(カヤンバ)が開かれ、彼自身がそれを手にとって、行進し、またそれを安置した。その時の彼の例は、鉄砲の形に木を削ったものだった。158
Malau: (小声で)
...の模型。
Nyawa:
木の。
Malau:
木の模型じゃ。あのムトゥンド(mutundo160)の木の。...(よく聞き取れない)...
Jawa:
ええ、まさに黒ムトゥンド(mutundo myeusi)。昔、キブィンゴ(地名161)で、この人(Malau)本人が削って作ったんだ。彼がその後それをどこに置いたのか、私は知らない。
(これを聞くや否や、そこにいた若者や子供たちが大声で笑い転げる。"amechonga"という言葉を何度もくりかえしては。私にはなにがそんなに面白いのか皆目見当もつかない。) <tape2a 11:33.0>
さて、私たちには何の不都合もございません。話していただいたことは、傾聴いたします。私は、あなた方のせいだと知っているのですから。私どもはするべきことはするつもりです。そしてこの者(Malau)も、頑張って歩いて行きます。なぜなら、人は、その要求に叶うものに満足することで、満足するものだからです。
Jawa:
そうとも、そこが重要だ。まずはそこで同意しあってください。
<tape2a 11:52.0> Nyawa:
もしあなたが知られていないなら、あなたは彼をとき解いて、例の品物を探しに行かせてください。こんな風におっしゃってください。「今、私は病気を彼から除去します。なぜなら、これまで私は、バッグを欲っしていることを知られていませんでした。また鉄砲を欲していることを知られていませんでした。こうして除去したら、人は知ります。私が病気を除去し、彼を解放したことを。ですが、もし彼がその約束を守らないなら、私は彼を二本の腕をもって捕らえ、二度と放さないでしょう」と。あなたがそんな風におっしゃれば、私がその示された道を辿らず、我々を驚き戸惑わせた病気をあなたに取り除かせないようにしたりするでしょうか。なぜならそれは私たちを驚き戸惑わせる病気だったのですから。明日の昼にでも、あるいは明後日の昼、あるいは明々後日の昼、あるいはそれ以降にでも...
<tape2a 12:27.0> Malau:(突然叫ぶ)
ゴルァ!
Nyawa:(慌てて早口になり)
彼(Malau)に問題がなければ、私たちも即、鉄砲を削る作業をし、バッグを調達しに参ります。彼の状態が、目覚めたら相変わらずで、明後日になっても相変わらずなら、そう私たちは間違っていたと知ることになるでしょう。私たちは別の憑依霊かを選ぶことになるでしょう。そして、なんと、あなた、長老を蔑ろにすることになります。でも、あなたが病気を彼から除去していれば、私たちも、あなた自身との約束だけに集中いたします。
Malau:(最初は聞き取れないほどの小声で、やがて理解不能な言葉で)
...結構...welcome.....hard ...
<tape2a 13:45.0> Nyawa:
この後は、どうかスワヒリ語を話してください。だって、その言葉は本当に難しいんですから、それは。
Jawa:
むん。あなた、スワヒリ語で説明してください。口にだされたそれらの言葉を、さあスワヒリ語で説明してください162。
<tape 2a 13:57.0> Malau:
ううう。....(よく聞き取れない)...それらの言葉(約束、問題)。
Nyawa:
私たちがすでにやった話には戻らないでください。
他の憑依霊たちもいる (1983編集のフィールドノート該当箇所) Malau:
なぜなら、ここには一人のやつがおるんじゃ。
Nyawa:
ふ、ふぅ。
Malau:(彼はひそひそ声で話している上、後ろでは女性たちが雑談に興じているため、彼の言葉はほとんど聞き取れない。)
このスディアーニ27...(聞き取れない)...この病気の...(聞き取れない)...風の冷たさ...(聞き取れない)...ある...(聞き取れない)...この旅、そいつはいる。じゃが、我々は、それらの歩みを変えんようにしよう。
<tape2a 14:37.0> Jawa:
いったい何人いるんですか。この問題を引き起こしている、あなた方のなかには。私たちはあの白人、ケヤの白人に耳を傾けました。
Malau:
やつら(憑依霊)カンバ人じゃ。
Jawa:
カンバ人なのか?
Nyawa:
そのカンバ人は何を欲しがってるんだ?
Malau:
そのカンバ人は癒しの術(uganga)を欲しがっとる。
Nyawa:
癒しの術を欲しがってる。
Malau:
そいつはわしらの椅子をまだもらってない。なぜなら、だから、子供らもおる。 切符(かなえてもらいたい要求を切符と呼んでいる)を欲しがっとる連中だ。でもこいつ、こいつは手に入れたがっとる。あの大きなバッグを手に入れたいと。そいつは、鉄砲は後でいい。じゃが、まず大きなバッグは手に入れねば。さて...
Jawa:
それで病気はなくなる?
Malau:
病気か、神がおるじゃろ。
約束の詳細2: 木の台とお椀と揚げパン (1983編集のフィールドノート該当箇所) Nyawa:
私たち、我々は日時を決めておきたいのです。日時を決めて、決めておきたい。なぜなら、とってもたくさんの物を買うんですから。なぜなら憑依霊(shetani)が多いんですから。だから今こうして、私たちが耳を傾けた問題について明らかにしましょう。日時を決めましょう。病人を御覧なさい。
Jawa:
そう。病人の状態を見ること。
Nyawa:
私たちがあなた方のことをきちんと忘れないように。日時を決めましょう。しかじかの日に、体力が本当にましになっていれば、私たちはあのバッグを探します。どうしてかって?
Jawa:
思うんだけど、キナンゴの町を探せば、そのバッグを見つけることができるんじゃないか。
Nyawa:(Jawaの言うことには取り合わず)
あなた方も私たちと同じく、言っていることはだいたい同じです。今日、日時を決めましょう。バッグを追い求める日時を。
Jawa:
あなたがあなたのバッグを手に入れられますように。でもまずは病人のいささかの回復を見届け、彼に何の問題もないと見届けないと。病気が立ち去り、彼が食事を食べれば満腹し、腸もとき解かれて、再び便秘になることもない。さて、あなたがそんなふうにしてくださると、あなたの道筋が順調にたどられるでしょう。あなたは、この人こそただ一人、王(mfalme)であるところの者(これらの症状を引き起こしていた張本人の憑依霊)だと知られることになります。そうですとも、あなたの道筋は順調に辿られるでしょう。
聞いとるか?...(よく聞き取れない)...卵...卵は調えてもらわねば、卵はその上で調えられねば。聞いとるか?小さい木の台(kaulingo)、こんな風な、こんな風な、を用意して。聞いとるか?そしてお椀(chibakuli)を一つ買っておかないと。さらに、わしのために揚げパン(mahamuri163)3個を買い、そこに置いておく。
(唐突に叫び声を上げる。アジョッ!ガァッ!)
Malau:
まだ...(聞き取れない)...そこで、大きな旅になるだろう、聞いとるか?
Nyawa:
ケヤ?旅というのはケヤの旅?
Malau:
違う!
Jawa:
そのお椀はいつ用意するのか?新品のお椀か?それともお椀なら何でも良いのか?この屋敷にあるようなやつで、(木をくり貫いて)作れるやつか?
Malau:
新品じゃ。
Jawa:
新品?
Nyawa:
ところでお椀のなかには揚げパンを3個入れるのでしょうか。
Malau:
うむ。
Nyawa:
ところで、そこで歌(wira3)も...
Jawa:
ちょっと待って。その場所は...
Nyawa:
場所と言っても、まあ本人のところとか...
Malau: (突然スワヒリ語で叫ぶ)
お前、わしを招待しろ!
(そのまま再び「英語」を叫び始める)
Nyawa:
はい、はい、はい。
Malau:(「英語」を喋り続ける。理解不能だが、ときおり例えば "yale keya apate kula kombe chini164"(と聞こえる気がしたり)とか、"25cents"とかが聞こえたりする)
Nyawa: (笑いながら)
何をおっしゃっているのやら、我が友よ。
Malau: (さらに数秒間「英語」で語ったのちに)
ところで、それは...例えば明日にでも作ること。
Nyawa:
例えば明日?おやおや。
<tape2a 18:53.0> <tape2a 18:57.0> Jawa:
そのお椀ならとりに行ける。私が探しに行ける。揚げパンといっしょに探しに行く。手に入れられるだろうよ。もう少しちゃんと説明してくれ。
Malau:
(はっきり聞き取れない)...なぜならキナンゴは遠い。
Nyawa:
うーむ。うむ。
Malau:
(お椀は)キナンゴにある。なぜならただのプラスチック製(lailoni)のやつ。それみたいな。
Nyawa:
色は何色?
Malau:
色は...(聞き取れない)
Jawa:
プラスチック、プラスチックだよ、あれみたいな。青(緑を含む)chibitsi bitsi165色だよ。ねえ友よ(私に向かって)、あのお椀(私が所持している青い洗面器を指しているのか)の予備はもってないかい?
Hamamoto:
予備はありません。そもそも私のあれはお椀じゃないです。洗顔用の小さい洗面器ですよ。ところで、どんな色のお椀がいるのですか(chibitsiという色名を理解していない)?
Jawa:
ああ、もういいよ。もし持ってないなら、結構だよ。
Malau:
ああ、そこまでじゃ。一つあればいいんじゃ。一つ手に入ったら、その上に置いておけ。
Nyawa:
揚げパンは?
3つじゃ。そして彼ら上の連中に、食事を与えろ。あいつらケヤに。祖霊たちが、彼を上手に促してくれたらな。...(よく聞き取れない)...そんな風に食べ、食べ、ンゴマじゃ。病気は治まるじゃろう、扇がれて、治まるじゃろう。(白人)本人たちは上空を旅する。聞いとるか?マシーン(Machine)じゃ。それらの荷物も。
Nyawa:
うーむ。
Malau:
もしお前が遅れたらな、そいつ(白人?)は、怒るじゃろうな。あいつらのバッグのことで。 <tape2a 20:30.0>
<tape2a 20:41.0> Jawa:
では、説明してください。バッグはキナンゴで手に入れることができるのかどうか。もし、彼自身が...
Malau:
ないぞ。
Jawa:
ない?モンバサかマリアカーニまで行く必要があるのか?
Malau:
そちらで手に入る。
Jawa:
バッグ、この私の友人(=Hamamoto)は、あちらにもっていないかな、バッグはもっていないかな、大きいやつ。
Mwaega:
例えばどんな種類の?
Jawa:
少しこんな色をした種類の。このカーキの少しグリーンに近いみたいな。
Mwaega:
ああ、彼はもってません。
Hamamoto:
私はもってません。
Mwaega:
マンダラがもっているような?
Jawa:
いいや、マンダラがもっているやつは、何というか、プラスチックのだろ、あれは。色も赤(褐色)だし、お前。うちの(Jawaの長男の)ムエロがもっているようなのじゃないだろうか?うん、私が思うに、あれ(マンダラの)は違う。ちょうどこの種の蚊帳(chandalua166)みたいな(色)のが欲しいんだ。
Malau:
そのとおりじゃ。
Jawa:
そしてそれは大きい必要がある。(白人たちが背負う)バッグ167みたいなね。そう、どでかいバッグ(dzibegi168)を欲しがっている。そうでしょ?
Nyawa:
さて、その通りでしたら、事は実に結構です。しかしながら、私たちはこの者が、自分であれらの物を探しに行けるだろうとわかるほどの改善を得るよう、欲しているのです。この者の身体に余裕ができるように。なぜなら、現在、この者は口を開こうとすると、もう咳き込んでしまい、肋骨が握られて息が少ししかできず、腹は詰まり、食事もとらない。さて、あなたが「その通り」というその言葉を口にされたとすれば、私たちは異論はございません。しかし...
<tape2a 22:25.0> Jawa:
さて、ちょっと合意しましょう。すでに申した約束の日時ですが、明日にでも...
Nyawa:
それは不可能ですよ。だって、お椀もあちら(キナンゴ)で見つける必要があるんだから。
Jawa:
そうだね。お椀を見つける必要がある、そうだね。
Nyawa:
はい。
<tape2a 22:38.0> Jawa:
それに例のバッグ。あのバッグも。
Malau:(スワヒリ語で、以下マラウとニャワのやり取りはスワヒリ語)
それ。ちゃんと聞いているか?もし手に入るのなら、例のバッグとあのお椀だと言っておくぞ。バッグをしかと手に入れたら、それこそ私が一番欲していることだ。
Nyawa:
ええ。
Malau:
さて、彼がバッグを手に入れたら、私は(さらに)言葉(約束)が欲しい。
Nyawa:
あなたは手に入れるでしょう。
Malau:
さて、そうすると、彼に(約束を果たすために)歩き回る体力を得させよう。彼がここで出会う言葉はとてもたくさんある。じゃが、(1語聞き取れない)は厳しい。...(聞き取れない)..彼は全く歩き回ることができない。
Jawa:(ドゥルマ語)
ところで例のバッグはマリアカーニで手に入るだろうか。
Nyawa:(ドゥルマ語)
それは探してみないと。確証はありませんよ。
Malau:(スワヒリ語)
聞いとるか?さあ、お前が話すんじゃ。
Nyawa:(ドゥルマ語)
バッグは探してまいります。バッグは探してまいります。私たちはそれの在り処について確かなことは知らないからです。キナンゴに見に行って、見つからなければ、マリアカーニに見に行きます。見つからなかったら、モンバサで求めます。という訳であなたがバッグを手に入れる明確な日時は約束できません。でも私たちはバッグを探しに行きますし...
Jawa: (ニャワが言い終わる前に、割り込んで発言、ドゥルマ語)
ところで、ところで、ところでそのお椀だけど、明日にでもそれを求めに行くことはできます、明日にでも。
Nyawa:(ドゥルマ語)
お椀の約束についても、お椀は手に入るでしょう。お椀をまず手に入れましょうか、それとも難しい問題を先にして、バッグをまずなんとかしましょうか。それともそれらの物は、まずほっておいて、バッグといっしょにやって来させましょうか。
Malau:(スワヒリ語)
バッグ、わしはケヤのバッグは、中身をきちんと詰めて欲しい、さらにはその弾薬(viasi)もすっかりすっかり。後は人々に歌わせる、あれら歌の数々を。
Nyawa:(ドゥルマ語)
そしてケヤのお椀(chibakulingbwa169)もここに。
Malau:
そうじゃ。
Nyawa:(ドゥルマ語)
全ては申し分なし。
Malau:(スワヒリ語)
けっこう。そのとおり。
Nyawa:
けっこう、けっこう。
Malau:(スワヒリ語)
(ンゴマの)日を計画しろ。あの連中(憑依霊たち)を歓迎してやるんじゃ。
Nyawa:(ドゥルマ語)
今、私たちはあなたに日時を与えることはできません。だって、(品物を)探しにいかないとならないから。
Malau:
じゃあ。
最後の説得: 患者自身が自分で買いに行けるほど健康になること (1983編集のフィールドノート該当箇所) Nyawa:(ドゥルマ語)
私たちはあなたに嘘をつきたくありません、私の友よ。でも、私たちは品物をあなたに行って探してほしいのです。ラー、イラーヒ(アラーの他に神なし)。だから彼に体力を与えてください。満腹をもたらす食事を、そして良い息を彼にもたらす...
Malau:(叫ぶ)
ゴアッー!
Nyawa:(ドゥルマ語)
あなたが私たちと理解し合えたと知ることは、結構なことです。私たちはあなたがバッグを欲しがっておられることを理解しました。そしてお椀も来て、あなたの御要望を上々に調えます。こうした品々すべては、お探しして手に入れます。でも、この者にも余力をお与えください。なぜなら今、彼は立ち尽くし、つまり驚き困惑しているのです。彼に余力をお与えください。咳き込むこともなし、腹が詰まることもなし、なしです。そうすれば彼は知ることになります。「なんと私の友が、私を本当にとき解いてくれた。後は私が頑張って彼との約束を果たそう」と。彼は嘘つきではありません。争いははるか以前に始まりました。でも今...
<tape2a 24:56.0> Jawa:(Nyawaが話し終える前に、Jawaはそれを遮り喋りだす、ドゥルマ語)
さあ、こんな風に彼に言ってください、こんな風に。あなたは彼に体力を与え、彼自身が自分で出発し、モンバサへ行き、品物を探しに行き、手に入れて...
(Jawaが言い終わらないうちに、Malauは叫び、「英語」でまくし立て始める。直ちにNyawaが割って入り、彼を説得し始める)
Nyawa:(ドゥルマ語)
あなた自身が行って、あなた自身で探すことは可能ですか?あなた自身が見れば、私の品はこれだとわかる。だって、もし人を遣わしたら、その人はあなたに、あなたの意に沿わぬものを持って来るかもしれません。でもあなた自身が行けば、そこでは「私はこれを買うだろうと、わかる」だってあなたなんだから。
Jawa:(ドゥルマ語)
彼に言ってください。明日にでも彼が体力を手に入れることができ、力を燃やして、明日バスに乗って出発するようにと。
Nyawa:(ドゥルマ語)
明日、あなたは行くことができますか、私の友よ。なぜならあなたの真のお目当ての問題なんですから。それによって、彼も小康を得るのですから。あなた、行けますよね?
(Malauはずっと「英語」を話し続けている) Nyawa:
(彼がしゃべる)激しい(怒っているような)言葉のあるものは、私にもわからない。
Jawa:
彼はどうやら拒絶しているようだね。
Nyawa:(スワヒリ語で)
明日、それを探せるでしょうか?明後日ならできますか、行くことができますか?キナンゴに行って、それで駄目なら、マリアカーニ、そこでも駄目なら、モンバサ。あなたがそのバッグを握るまで。
<tape2a 26:02.0> 数秒の間 <tape2a 26:08.0> Nyawa:(スワヒリ語で)
はー。わかるでしょう。子供たちにそのバッグを買うことができますか?
Jawa:(スワヒリ語で)
彼らはそれを知りません。そもそも、子供たちは別のものを買ってしまうかもしれない。そして彼が連れてこられ、やって来たら、(あなたは)その子に(買ってきましたよと)言われる。で見てみると、それじゃない(自分が欲しいと思っていた物とは違う)。本人が「私が行ってきます」と言うようにした方が、良いでしょう。
Nyawa:(スワヒリ語で)
さあ、明後日、彼が小康を得たら、彼に行って彼のバッグを見てもらいましょう、彼が見つけるまで。明後日です。
Jawa:(スワヒリ語)
彼が出かけているあいだに、木の台(ulingo)は用意されて、きちんと設置されます。というのも、ここでは私は子供たちを捕らえて、木の台を設置するべき場所を彼らに示すことができるから。あなたは人々に木の台を用意させるのに、どの場所を確保しますか。あちらの小屋の後ろでしょうか、あの小屋の?ええ?
Malau:
そうじゃ。
Nyawa:(ドゥルマ語)
さてさて、私たちの問題はそれで落着です。
Jawa:(ドゥルマ語)
正確にどの日にするかは、彼に任せましょう。私が思うに。彼に余力がある、まさにそんな日。
<tape2a 27:04.0>
<tape2a 27:15.0> Nyawa:
ああ、月が上ってきた。月は夜の時間を欲したんだな。
Jawa:
ああ、(月は)何時間もかけて行くよ。あちらの方に帰って行くまでね。
<tape2a 27:28.0> Mwaega:
もう7時(午前1時)だ170。
Man:
7時か。もうすぐ夜明けだな(夜明けまで5時間たらず)。
<tape2a 27:51.0> Malau:(突然叫ぶ、その後は静かに話す、スワヒリ語)
ガァヨッ!聞け。神に祈ろう。明日の日、明後日、明々後日(この単語のみドゥルマ語)、もし神がおるのなら、この者はわずかながら歩く力を手に入れる。(その力が)弱まらなければ、さあ、彼は行くじゃろう。
Jawa:(Nyawaに向かって)
はっきりさせてください、あなた。彼に聞いてください。その当日(そろった品物を憑依霊に献上するンゴマの日)ですが、そこでは太鼓そのものが必要とされているのか、それとも今のようにカヤンバだけでも結構なのか。
Nyawa:
彼は、カシャカシャ(wayawaya =カヤンバを鳴らす音の擬音語)など知らんと言ってます。
Jawa:
なるほど、太鼓が必要とされているんですね。
Nyawa:(スワヒリ語)
太鼓そのものが求められています。
<tape2a 28:45.0> Jawa:(スワヒリ語)
あの彼がここを出る(バッグを自分で手に入れるために)その日に、太鼓(複数)をしっかり探して、準備を調えておくべきだろうか、ええ?
Nyawa:(ドゥルマ語)
彼は太鼓そのものを使ったンゴマ1だと言ってます。
Jawa:(ドゥルマ語)
そうだね。言いに行かないと。これらのことを皆に周知したいんだよ。
Nyawa:
でも、当人は明日、あるいは明後日、明々後日つまり3日目の昼間に、遠方に出かける体力が手に入るだろうと言っています。本人がそう言ってます。
Jawa:
ええ、そこは問題ありません。問題ありません。
スディアニ導師を呼ぶ (1983編集のフィールドノート該当箇所) Malau:(スワヒリ語で)
私はお前に言ったはずじゃ。スディアニは要求をもっている連中じゃと。憑依霊ソマリ人も要求をもっている連中じゃと。
(赤ちゃんが激しく泣き出したためマラウとニャワのひそひそ話は聞こえなくなってしまう。) <tape2a 29:32.0> Nyawa:
さあさあ、若者たち!皮張りの太鼓を!スディアニ、スディアニ、ただちに。
Jawa:
それに憑依霊ソマリ人。はあ、詰めて詰めて。お前さんたち、カヤンバをにぎって、彼のために打ってあげなさい。
(スディアニの歌が始まる。最初の歌はマラウの合図で途中で中断される。若い男が2番目の歌を歌い始めるが、これもメインの演奏が始まる前に止められる。最終的に、演奏する曲はマラウ自身が指定する。) <tape2a 29:32.0> すぐに中断されたスディアニの歌 1 (solo)
彼らの家に行きます、エエ ヘー、ワー、彼らの家に行きます、エエ (1語不明)スディアニ (1語不明)、エエ、イイ、エエ
(chorus)
彼らの家に行きます 彼らの家に行きます (1語不明)スディアニ 彼らの家に行きます、オオ、オオ、オオ
<tape2a 30:39.0> すぐに中断されたスディアニの歌 2 いきなりkubit'aのリズムで演奏開始 歌詞は、スディアニの歌5と同じ
Man1:
カヤンバ、速すぎるぜ。
Man2:
あいつら速いのが好きなんだよ。
(kutsanganyaのリズムに変えて打ち始めるが、歌が始まる前に制止される。 Man1:
なに?この人、歌について何か言ってる。じゃあ、ちょっと歌ってみせてください。
Malau:
(小声で)ジャラジャラヨー、昔の道程
Kayamba Players:
はいはい
<tape2a 31:21.0> スディアニの歌 3 (solo)
ジャラジャラ、ヨー、昔の道程 ジャラジャラ、ヨー、昔の道程 マウラナ(主よ)、ウェー
(chorus)
ジャラジャラ、ヨー、昔の道程 ジャラジャラ、ヨー、昔の道程 マウラナ(主よ)
(途切れずに、次の曲に) <tape2a 33.58.0> スディアニの歌 4 (solo)
アラーフ アクバル、アラーフ アクバル
(chorus)
アラーフ アクバル、アラーフ アクバル
(solo)
アラーフ スワラ
(chorus)
アクバル アラーフ アクバル
(途切れずに、次の曲に) <tape2a 42:11.0> スディアニの歌 5 (solo)
スディアニ、ウェー、嘘つきだ171 スディアニ、ウェー、嘘つきだ ナイライラー、アクバル、ウェー アラブ人がいるよ、ウェー 予言の書を語るよ スディアニ、ウェー、嘘つきだ
(chorus) 上と同じを繰り返す
Malau 無反応 スディアニはいない (1983編集のフィールドノート該当箇所) Man1:
ああ、ああ、ああ、スディアニは全然いない。
Nyawa:
イスラム教徒たちは今日は来ないようだ。憑依霊ソマリ人も放っておこう。
Jawa:
ふむ。
Nyawa:
さあ、デナ、デナ。もうデナを打ってくださいな。
演奏 Dena4曲 (歌の書き起こしと翻訳には時間がかかりすぎるので、もう止め。デナの歌のうち、すでに知っていたのは5番目の一番カンタンなやつのみ。それだけ歌詞を示す。)
<tape2b 1:42.0> デナの歌1
<tape2b 3:32.0> デナの歌2
<tape2b 5:26.0> デナの歌3
<tape2b 7:10.0> デナの歌4
デナとの交渉1 (1983編集のフィールドノート該当箇所) Malau は再び憑依状態に(yugolomokpwa)。Nyawa演奏停止の指示。 <tape2b 8:41.0> Kayamba player1:
わあ。素面だよ。
Kayamba player2:
デナは(Malauの)中にいないのかい?
(何人もが同時に喋っているので書き起こしは困難。カヤンバ演奏の若者たちは、懸命に演奏してMalauを踊らせたのに、憑依霊がすでにマラウから出てしまったと思って、不満そう。もう帰って眠りたいなどという声も聞こえる) Jawa:(Nyawaに向かって)
まずは、彼(Malau)にちょっと尋ねてみてよ、あなた。
kayamba player1:
もう出てしまってるよ。
(この発言に、人々笑う) Jawa:
いや、いや。
Mwaega:
(Malauは)驚き戸惑っているみたいだよ。
Nyawa:(Malauに)
どんな具合いですか、まるでもっと歌を打ってほしいみたいに震えているその人は。ギリアマ人の長老さんですか、歌を打ってもらいたい人は?
Malau:
...(ほとんど聞き取れない。私には "Atu ile gani"と聞こえるような気がする箇所がある。カタナ君によると(翌日のレビューの際の)Malauはギリアマ語を喋っているという。)
Man:
彼、なんて言っているんだい?
Nyawa:
「ここにいるお前ら、まったくうまく行かないぞ」と言ってます。
演奏再開 Dena <tape2b 9:30.0> デナの歌5 kubit'a (カヤンバ奏者たち、別のデナの歌の演奏を開始する。) (solo)
ああ、お母さん、もう震えている お母さん、もう震えている ここに布がある (chorus) ああ、お母さん、もう震えている お母さん、もう震えている
Malau 右手で制してすぐに止めさせる。
<tape2b 11:14.0> Malau:
ここの女たちは...(ほとんど聞き取れない)...
デナとの交渉2 (1983編集のフィールドノート該当箇所) <tape2b 11:23.0> Nyawa:
私はこう尋ねているのですよ。そのギリアマの長老こそ、火の張本人なのですか。デナなのですか。身体を熱くしている張本人なのですか、と。
Malau:
わしらが、わかるじゃろ、それをしとると言われとる。あいつはそれに敵わないんじゃ。
Nyawa:
あなた方がそれをしでかした。いったいあなた方がどんな酷い仕打ちをされたからというのですか172。
(しばし沈黙) <tape2b 11:44.0> Malau:
見ろよ。わしは一切何ももらっとらん。
Nyawa:
何も一切手に入れていない?
<tape2b 12:01.0> Malau:
わしのズボンは破れてしもうた。
Nyawa:
あなたはズボンそのものが欲しい。ふう、なるほど。
Malau:
この問題は、ずっと放っておかれとった。
Nyawa:
ふむ、ふむ。
Malau:
それが欲しかったんじゃ。
Nyawa:
あなたは、ズボンそのものが欲しかった。
Jawa:
どんな種類のズボンですか?
Malau:
黒だよ。(聞き取れない)..それ..(聞き取れない)
Nyawa:
黒の?
Malau:
わしはそれをずっと履き続けとったんじゃが、いつの年だったかのう、それは。madamada173に行ったときに、そこで駄目になったんじゃ(そこで死んだ)。
Jawa:(Musoza(Malauの息子の一人)に向かって)
お前のズボンはだめになった(yasira)んじゃなかったけ。確か黒いやつだったんじゃ?
Musoza:
なんの話かわかりません。
Woman(Malauの妻の一人):
(現在Malauはズボンは)もってないわ。だめになったわ。
Jawa:
だめになった?
Nyawa:(Malauに向かって)
あなたは火(熱 moho)がありました。あなた方はそれを消したくない。客人はずっと放っておかれていた。つまり知られていない。
<tape2b 12:50.0> Malau:
わしらはずいぶん以前にやって来たんじゃが、放っておかれていた。わしらはずいぶん以前にやって来てたんじゃ。
Jawa:
じゃあ、彼にその発熱がお前一人のせいなのか、お前の友人のせいなのか、聞いてくれ。だってこうして言葉を交わして、問題が十分に明らかになるんだから。
Nyawa:
ところで、あなたは身体のなかに火があり、ズボンがないという理由から、火がそのままでいいと思っているのか、それともあなたの仲間たちがいて、彼らが火を掻き立てて再度燃え上がらせているのか、どちらなんですか。
Malau:
わしの友人は、言われたんじゃ。
Nyawa:
そいつは何と言ったんですか?
わしは、彼が誰に言われたのかは知らんがな、それによると、彼が行くとそこは焚き火のある広い前庭(rome174)で、彼がそいつ(火をかき立てようとしている者)を咎めて、そいつを追い立てると、そいつはさっといなくなる。じゃが、別のやつがやって来て、また火を掻き立てるんじゃ。 聞いとるか? さて、火は去る(消え去る)じゃろう。でもちょっと時間がかかる。でも火は去るじゃろう。
Jawa:
まさに、火は立ち去るように願います。だって、今や、あなたの衣服の要望は、承りましたから。さらにあなた方には歌も差し上げます。太鼓そのものによる本格的なンゴマが打たれますよ。
Malau:
お前の場所じゅうに、やって来て混ざり合っている、と言うんじゃ。
Jawa:
ええ、そうでしょうね。
Malau:
やつらの焚き火広場(rome174)で、自分らは全員混ざり合っているとな。
Jawa:
そうでしょうね。
Malau:
お前に一回だけ言ってやるぞ。お前に言うぞ。この問題を放置するがいい。この問題が火をどんどん燃やすぞ、ここで。わしらが火をつけているなどと陰口をたたいてはいかん。聞いとるか?
Nyawa:
ふうむ。
Malau:
なぜならな、友よ、あそこにおるのは一人だけじゃないんじゃ。あいつらカンバ人もおる。聞いとるか?
Nyawa:
聞いてます。
Malau:
こいつ白人もそこにおる。
Nyawa:
ええ。
Malau:
聞いとるか?
Nyawa:
聞いてます。
Malau:
それならいい。
Jawa:
Malau:
ムミアニの白人じゃ。
Jawa:
ムミアニのですか? 石油缶を欲しがるやつですか?
Malau:
うう。
Jawa:
おお!そいつが、このデナといっしょになって、発熱を引き起こす張本人なのですか?
Nyawa:
全員がですよ。つまり全員ずっと、焚き火広場に集っているんですから。
Jawa:
彼はそう言ってるよね。
Nyawa:
そして男の子がそこにやって来て火を集めて勢いづけるんだ。そしてそこにはいない...(それを止める者は、と続くはず)
Jawa:
ところで、そこには子供たちを叱る大人はいないのですか?「おい、お前、そこで何をしようというんだ」みたいな言葉をかけて。
Malau:
調停役の人間じゃな、ちょうど我らみたいな。
Jawa:
そうじゃないですか。まさに私が言っているのはそれです。
Malau:
ああ、でも、おまえ、お前が私のことを知らないのなら。
Jawa:
ああ、今では、私たちはあなたのことを知るでしょう、今なら。今ですらですね、私はそれを望んでいます。私たちはあなたに何と申し上げたでしょうか?
Man1:
あなたは彼の衣服のことで同意しあいましたね。
Man2:
衣服の要望があるのかい?寒いときにまとう布、それともズボンだっけ?
Man1:
ああ、シャツと布だろ。
Nyawa:
その長老はズボンを欲しているんですよ。
Jawa:(Nyawaに向かって)
さて、彼にこう聞いてください、あなた。あなた方が、子供たちを鎮めることができる長老なのかと。子供がもしそちらに行きそうになったら、あなたは来てこう言う「おい、お前、火に触れるな。火を集めて火勢を強めちゃだめだ」と。さて子供たちをこう鎮めるのは、誰でしょう?あなた方長老です。 今、ここで合意しあおうじゃないですか、友よ。ンゴマ(ngoma1)も差し上げます。問題の火が、この病人から離れ、燃え上がりませんように。二度と燃え上がりませんように。
Nyawa:(Malauに)
私たちに力いっぱい太鼓を打たせてください。
Jawa:(Malauに)
私たちで打ちましょう。あなたには(そうする)体力がおありでしょう。ええ?
<tape2b 16:27.0> Malau:
言わんかったかな、我が友よ。こいつが、とても面倒なやつなんじゃ。こいつカンバ人が。こいつは物事を紛糾させてばかりいる(milingo175)んじゃよ、あんた。
Nyawa:
そいつは事態をややこしくするやつ。
Malau:
まずこいつの問題を片付けた方がいい。そいつのやり方で調えてやれ。そいつを、きちんと置いてやるんじゃ。...(以下、よく聞き取れない)
Jawa:(Nyawaに)
彼にこんな風に言ってくれ。約束の日時(mbara)は明日ということになるが、さて、この明日という約束期日と、先程ここで合意した私たちの約束期日は重なり合ってよいのか、それともどうしたらいいのだろう。この点、しっかりと合意しておきましょう。というのも、私たちは明日という約束期日がある。あなたはまず出発し、あちらのカンバ人(を治療する施術師)のところへ行き、はあ、さて、カンバ人をそいつのやり方で調えてもらう、最後まで。はあ、ここに先ほど、私たちは例のケヤの白人との約束の期日も置いていました。
Malau:
お前たちは、まず最初は、そいつの要望の品を探してやらんとな。
Jawa:
ケヤの白人かい?
Malau:
あの荷物(mizigo)を欲しがっている者。
Jawa:
そういうことなら、問題ありません。というのも、私は合意しておきたいのです。だって、(ケヤの白人のための)品々を探す旅を、あなたが(自分とは別の憑依霊の要求を優先させたことに怒って)捕らえてしまい、その結果、あなたが病気をさらに重くしてしまうとしたら、それはよくないでしょう。だから、ちゃんと合意をしておきたいのです。
Jawa: (Nyawaに向かって)
では、あなた、続けてください。彼に、子供たち(が火で遊んで、火勢を強めてしまわないように)を止めるように、彼の子供たち、孫たちを鎮めるように、言ってください。
Malau:
聞いているか?
Nyawa:
聞いています。
Malau:
友よ。わしは本物の長老じゃ。
Nyawa:
長老。
Malau:
じゃが、黒い巨人(dzitu iru144)はまったく人に知られておらん。
Jawa:
今や、あなたはとても良く知られることになるでしょう。
Malau: (ひそひそ声であるうえに、背後で赤ん坊が泣いていて、ほとんど聞き取れない(「...」は聞き取れていない部分))
...この男は、面倒なやつじゃ。良き人のところには......(2語ほど不明)がやって来る。...同じようにその場を立ち去って、友よ、なあ、お前は...(1語不明)あちらの仕事の場所には、行き着かんじゃろうな。...結果、なんと歌も歌われんじゃろう。じゃが、そいつには、わしらは歌を手に入れるじゃろうと言っておきなさいな。
Nyawa:(上の語りのなかで、なんども「ふ、むん」と相槌を打っている)
Malau:
わしはあちらの裂け目176で寝とったがな、そこでは彼は別のバッグを手に入れることはできんぞ。
Nyawa:
たしかに。
Malau:
じゃが、わしは...(1語不明)寝る。
Nyawa:
私どもも、あなたに嘘をつくことはできませんよ。
Jawa:
私たちはあなたにけっして嘘をつきません。
Nyawa:
もし私があなたを騙すとしたら、それは私どもの過ちです。でも私たちはあなたがあの火を鎮めてくださることを願っています。そちら(焚き火)に近づく子供を見たら、その子を鎮めるよう、さらに努めてください。それでこそ、私どもは、あなたが重要な言葉を実行されるのだと知り、さらには御本人も、「なんと、私は仲間の長老たちから知られるようになったぞ」とおわかりになるでしょう。でも、もしあなたが子供が火のところに近づくのを見ても、「さあ、もっともっと火を掻き立てなさいな」とおっしゃる。そんな風に振る舞うなら、その人は我々を驚き戸惑わせることになります。なぜなら私たちは、この者が小康状態を得るようになってこそ、屋敷でも、あなたの要望を「私たちも、この長老に調えて差し上げよう」ということになるのに、長老の方は突然、愚かさの度を強めて、「さあ、もっと火を掻き立てなさい」などとおっしゃるのですから。
<tape2b 19:13.0> Jawa:(Nyawaに)
彼にこんな風に尋ねてください。あのあなたの衣服、さてあのズボンですが、あなたはモンバサにズボンを探しに行くことができ、それは手に入るでしょうか。彼は、彼のズボンを手に入れることができるでしょうか、それをすっかり。
Nyawa: (ニャワが話し始めるとすぐにジャワも同時に話し始め、声が重なり合って内容もほとんど同じなので、聞き取りづらい上に、別々に区別しつつ書くのは煩雑である。ここではニャワの発言のみを書き起こす。)
ケヤの白人のバッグを探しに行くための旅で、彼はそれ(ズボン)を手に入れられるかもしれません。もしそれが見つかれば、そのことで(憑依霊の要求を一つ満たすことで)問題(utu)を一つ取り除くことになります。それによって問題(utu、病気)を減少させたいのですから。こうして病気が減らせるなら、本人もさらなる課題(utu、憑依霊が要求しているモノ)を探しに行く余力を手に入れるのです177。
Jawa:
さあ、今度はあの品(miyo)を探しに行こうと。
Nyawa:
さて、今もしあなた方がこの者を...
Malau:(部分的にギリアマ語の単語を織り交ぜながら)
私の友よ、あちらではそんなふうに問題を語るがよろしい、でも(今は)そんな風に語るのはなしじゃ。なぜなら、もし施術なら、そんな風に語るがよろしい、お語りなさい。でもその後でこの憑依霊ガラ人とマサイ人に、あなた方はそれぞれ時間をもつんじゃぞ。
Jawa:
それは問題ないです。私は喜んでそこにおります。そもそも、お別れを告げるだけのこと。私は声がでませんが、彼らに今、カヤンバを打ってあげたいところです。我々はこのように人数も少ないですが。
Nyawa:
はい、私どもも、しっかりお聞き届けしました。それらの方々にも私たちは祝福を差し上げます。ですが屋敷から、火が取り除かれますよう、皆さん178。ここには怠惰な者(憑依霊との約束を怠る者)はいません。いませんとも。
Jawa:
いません。
Nyawa:
言わば、私たちは驚き戸惑っているのです。こんな風にどこを握ってもらっても、私たちは(その握った人に)わかってもらえる。どこにも良いところはないと。でも、あなたがお話しくださったように、もしあなたが私たちに光をもたらしてくださるのなら、私たちがあなた方の(が示された)道筋にしっかり従うということはおわかりでしょう。
<tape2b 20:53.0> Malau:(周囲の人々はてんでに会話に興じており、ある者はカヤンバをいじって音を立てていたりするので、マラウの押し殺した声はほとんど聞き取れない)
なぜなら、私の友よ、...(よく聞き取れない)ムシパ(mushipa179)がある。ところで誰もがムシパの病をもっておる。ムシパはけっして治すことはできん。...(よく聞き取れない)どんな薬もそこには届かない。
Nyawa:
そこには届かない。
Malau:
まったく届かない。
Nyawa:
はい、ええ、大丈夫です。私たちも、そうした施術をし、もしそれが首尾よく目的にかない、あなたが小康状態を得る。そうすればあなたも品物を求めに行く余力が手に入ります。私たちもあなた方に歌を差し上げに参ります。そして私たちもしっかりと乞い願います。そして力を合わせて、私たちはムシパも治すことになるでしょう。さらにあなたは、ムシパも治すことができるとお知りになり、私たちが手付だけを行った約束の残りを、あなたに調えて差し上げるでしょう。
Jawa:
そのとおりです。
Nyawa:
でも、この者をとき解いてください。彼は「御主人様!」と申して(あなた方の前にひれ伏して)おります。彼はあなた方(の要望)を調えます。彼は後ずさりしません。この者をとき解いてください。息が、ちゃんとした息としてやってきますように。さらに彼に、咳き込まない余力を手に入れさせてください。食事を食べれば、よい排便が得られますように。これこそ普通のことです。彼は知ることになるでしょう。「ええ、そうだ。なんとあなた方は私をとき解いてくれた、ええ、そうだ。私の方でもあなた方のためにしっかり調えて差し上げましょう」と。さて、彼は「御主人様!」と申しております。彼はあなた方の要望をお調えします。どうか友よ、この者をとき解いて、互いに仲直りしてください。この争いはずっと以前に始まったものです、これは。
<tape2b 22:34.0> Nyawa:(カヤンバ奏者の若者たちに向かって)
さあ、長老の皆さん、憑依霊マサイ人を打ちましょう。その後で、憑依霊ガラ人で締めくくりましょう。
演奏 masai3曲
<tape2b 22:38.0> 憑依霊マサイ人の歌1 kusuka (solo)
ハヤー、ライラ、内陸部、ハヤー、ライラ、内陸部 ハヤー、ライラ、内陸部、ハヤー、ライラ、内陸部
(chorus)
ハヤー、ライラ、内陸部、ハヤー、ライラ、内陸部 ハヤー、ライラ、内陸部、ハヤー、ライラ、内陸部
(solo) ....聞き取れない (chorus)
ハヤー、ライラ、内陸部、ハヤー、ライラ、内陸部 ハヤー、ライラ、内陸部、ハヤー、ライラ、内陸部
切れ目なく次の歌に続く <tape2b 26:48.0> 憑依霊マサイ人の歌2 kutsanganya (solo)
内陸部のときの声、池
(chorus)
ハー、池
(何度も繰り返し)
切れ目なく次の歌に続く <tape2b 28:07.0> 憑依霊マサイ人の歌3 kutsanganya この曲は憑依霊マサイの歌として知られた"rero ni kondo"(今日は争い)の一つのバージョンと思われるが、歌詞を書き起こすのは困難
切れ目なく次の歌に続く <tape2b 28:33.0> 憑依霊マサイ人の歌4 kubit'a おそらく"zumo ra chimasai"の一つのバージョンだろう
切れ目なく次の歌に続く <tape2b 30:30.0> 憑依霊マサイ人の歌5 kubit'a (solo)
マイェー、マサイは眠らない マイェー、マサイは眠らない ムベガ(mbega180)の毛皮をユサユサさせながら、徹夜で踊る
(chorus)
マイェー、マサイは眠らない マイェー、マサイは眠らない (足首につけた)ンズガ(nzuga182)をカチャカチャ鳴らしながら、徹夜で踊る
マサイはいないようだ ([1983編集のフィールドノート該当箇所]なし) <tape2b 32:12.0> Jawa:
(なかにはマサイ人は)いないな。
Nyawa:
じゃあ、ガラ人、ガラ人、ガラ人。
演奏 mugala <tape2b 32:14.0> 憑依霊ガラ人の歌1 kutsanganya (solo)
もし私が寝ていたら、お母さんに歌を乞います ハヤー、ガラ人を偵察しに行っておいで
(chorus)
もし今日なら、私は乞うかもしれません ハヤー、ガラ人を偵察しなさい
ケヤの白人との最後の交渉 (1983編集のフィールドノート該当箇所) 突然Malauは再び理解不可能な英語風の言葉を喚き出す。 <tape2b 36:38.0> Malauは再び「英語」を喋りだし、憑依霊ガラ人の歌は止まる。彼の「英語」によるスピーチは1分以上続いた。
<tape2b 37:56.0> Nyawa:
私の言葉は、極上のドゥルマ語でお話しいたします。というのも私たちは、この者が病気であることに、驚き戸惑っているのです。私たちは彼の争いのもとが、バッグと鉄砲だと聞かされました。それらが求められているのだと。
Malau:
ヤー(Yah)。
Nyawa:
さて、私たちは、拒みませんでした。でも私たちはこの者が、彼自らがバッグを求めに行き、これこそ私のバッグだと認め、買うというところまで、健康を取り戻してほしいのです。 彼がバッグを持って来くれば、私たちは、盛大で極上の歌とともに、あなた方にそのバッグを差し上げに参ります。ですが、私たちは彼が小康を見せてほしいのです。それが私たちがここでお伝えしたいことです。 というのも、この者は、咳と、腹部の膨満と、排便が得られないことに驚き、途方に暮れているからです。 もしあなたが本当に彼を捕らえている方なのでしたら、彼に小康状態を得させ、例のバッグを探しに行かせてください。なぜならもし人を遣わしたとしたら、その者が間違ったバッグを買ってきてしまうだろうからです。 でも彼が自分で行けば、あなたにとっても、彼がバッグを手に入れて、「私の友人が、私のために正しいバッグを手に入れてくれている」とおわかりになるでしょう。
Malau:(咳き込みながら)
問題ない。見ろ、見ろ。神に祈るぞ。
Nyawa:
うむ。
Malau:
(もし神が)望むなら、その病気は順調に去るだろう。
Nyawa:
その病気が徹底的に去ってほしいです。順調そのものに。
Jawa:
みんな、すっかり疲れ果ててます。
Malau:(スワヒリ語で)
さて、聞け。こんな風に和やかに別れを告げることなら、私も言っておこう。あの咳こそが、病気なんじゃ。
Nyawa:
まったく。息が切れ切れです。
Malau:(スワヒリ語で)
喉が小さく小さくなっとる。息がちょっとしか[通らん]のじゃ183。そうなんじゃ。
Nyawa:
それと腹が詰まっていて、便がでない。また高熱も立ち去らない。そして身体の痺れ。夜毎、夜毎、彼は身体を包むシーツを握ることもできない。あなた、私の友よ、これらこそあなたがなさっていることです。だから私はあなたがとき解いてくださり、彼にバスに乗って探しに行けるだけの、体力の余裕が手に入るよう願います。バスが(モンバサに)入り、彼がバッグを求めて、手に入れますように。さらにあのお椀も手に入りますように。さらにあの石油缶も手に入るなら、同じように持ってこれますように。 あなたはこれらの品々を、歌とともに与えられます、我が友よ。どうか身体をしっかりとき解いて、お仕事をなさってください。なぜなら、歌は、あなたが(癒しの術の)仕事をなさる人だと知っております。
Jawa:
彼、憑依霊ソマリ人、彼ソマリ人にも話してください、ソマリ人にも。彼に言ってください。もし行ってナイフを見つけたら、そのナイフを、(次に)行ったときに簡単に見つけられるように、どこかに置いておかせましょう。このナイフも、強く手に入れる必要があるものなんですよ。そいつはあなたのナイフを手に入れることになる。これで(憑依霊)ソマリ人と揉めているのです(争いがある)。私たちはこの問題をこのまま放置したくない。問題(の解決)に行かないことで、その言葉(問題)は、後々に厄介事をもたらしかねないから。そうした品が手に入るのなら、それを目にしたのなら、私たちはそれがほしい。持って帰りたい。憑依霊ソマリ人は、自分のナイフを要望しているのです。しばしば彼こそがトゲ(激しく突き刺すような痛み)の張本人なのです。そしてあの咳込みも、しばしばあなたソマリ人が張本人なのです。
Nyawa:
争いはバッグです。争いはバッグです。バッグこそがまさに問題なのです。
Jawa:
ええ。
Nyawa:
あの鉄砲ですら、まずは保留です。でも彼のバッグだけは。
Jawa:
じゃあ、鉄砲は、まずはゆっくり調えることにしましょう。あとでゆっくり丁寧に美しく彫ればいい。まず彼本人が健康を取り戻したらね。
Nyawa:
さて、私たちは、つつがなきことこそ、私たちが欲していることです。彼自身が自分で行って、自分で行って、必要な品物すべてを探し、それをその手にしっかり握るまで。でも、人を遣わすのは駄目です。それはお金を意味なく無駄にすることです、そして品物も、不適切な品物が持ってこられます。でもあなた自身が行けば、あなたも「ああ、御覧なさい、私は私の意に沿った品物を手に入れた」と知ることができます。 さあ、素晴らしいモノを、あなたは極上そのものの歌とともにお受け取りになります。ですが、今はこの者はなにも良いコトを感じていません。
Jawa:
まずは咳込みが去りますように、息が...
Nyawa:(Jawaの語りを遮るように)
咳き込みよ、去れ、彼の息よ、良くあれ、腹が詰まることなかれ、身体が痺れることなかれ、食事を取れば、満腹、それでこそ彼は力を得ます。食べ物を食べないドゥルマ人、彼はどこから力を手に入れられましょうか。
Malau:
そのとおり。
Nyawa:
彼をとき解いてください、彼をとき解いてください、私の友よ、彼をとき解いてください。
<tape2b 41:52.0>
<tape2b 41:56.0> Jawa:
祝福を欲しがっている(カヤンバで自分の歌を演奏してもらいたがっている)別の憑依霊がいるに違いないね、そうじゃないかい?
Nyawa:
いやいや。私が見るに、彼が最後です。ごらんなさい、彼ら(カヤンバ奏者の若者たち)もう休んでいますよ。 (若者たち、「もういいよ」みたいな感じの不満声) Jawa: わかりました。
Man(カヤンバ奏者の一人):
8時10分(午前2時10分)だよ、もう。
<tape2b 42:10.0> Nyawa: (改まった調子で)
さようなら、私の友よ! 上々に。あなたはバッグを手に入れられます。あなたの紙巻きタバコ・スポーツマンもしっかりとその場にあるでしょう。
Malau:
紙巻きタバコは明日手に入るだろうか?
Jawa:
明日行って、ここに持ってきます。
<tape2b 42:26.0> Nyawa:
彼をとき解いてください。なぜなら、あなたが彼をとき解くだけで、彼は「ああ彼こそは、調えて差し上げるべき私の友人だ」と知ることになります。でも今は彼は驚き途方に暮れています。彼には尋ねる言葉すらありません。
木の台(ulingo)についての補足(1983編集のフィールドノート該当箇所) (皆がやれやれ終わったと思っただろうとき、ジャワさんが、また別の話題を振ってくる!) <tape2b 42:34.0> Jawa:
あの木の台(ulingo)だけど、だいたい、ちょっと高めがいいのかな、それとも木の台は、人が寝る際に自分の持ち物をそこに置いて、ちゃんとあるのが確認できるくらいの、およそそんな高さかな。
Nyawa:
ああ、人が座ったら、ちょうど...
Jawa:
その人が見える...
Malau:
ちょっとよじ登るくらいの木の台。
Nyawa:
よじ登るくらいの高さの木の台?
Malau:
人の身長くらいの(高さの)木の台だよ。
(人々、どっと笑う) Nyawa:
人の背丈?
Malau:
それよりちょっと高い。7フィートほど。
Jawa:(スワヒリ語で)
人が少し進み出て、さてこんな風に(腕を伸ばして)木の台の一番上部をしっかりとつかむ。こんな風に手でつかんで、人の身長がもし届いていたら。そう。それで問題ないね。
Malau:
たいして大きな物じゃない。なぜなら人がここ下に立って、そうすれば(手を伸ばしてつかんで登れば)、その上に着ける。
彼らが戦闘するために、木の台が必要となる。上るんだ。
Jawa & others:
なるほど。わかります。
Man:
あの白人たちが、好きそうなことだ。
Jawa:
それについては問題はありません。
施術師ニャワ氏による締めの言葉 (1983編集のフィールドノート該当箇所) <tape2b 43:31.0> Nyawa:(改まった口調で)
さて、ありがとうございます。私の友よ。彼をとき解いてください。そして子供たちが火を掻き立てることがないように、彼らをお鎮めください。
<tape2b 43:40.0> Malau:(Nyawaの語りを遮って話し出すが、その声はほとんど聞こえない)
(よく聞き取れない)...わかったか?
Nyawa:
わかったかですって?
Malau:(マラウはほとんど聞き取れないほどのささやき声で話す。彼の声は、後ろで若い男たちが互いに話す声や、カヤンバをいじっる音にかき消されてしまう。)
私には神の裁決についてはわからないし、他の問題についても知らない。私たちにとって言えることは、しかしながら...(聞き取れない)...言葉(問題)...なぜならば...
Nyawa:
ああ、知り得ないことについては、私たちは、それについて話すことはできません。
Malau:
(聞き取れない)...知ること、私はお前に話してやろう。でも私は知らない。(聞き取れない)私は話してあげよう。もしおりおりに手に入れたなら、お前に話してやろう。
<tape2b 44:23.0> transcribed Duruma text of this paragraph Nyawa:
さて、けっこうです。私たちはケヤのバッグについての言葉はお聞きしました。十分お聞きしました。私は、バッグを求めに行ける体力を彼が得て、バッグが手に入るよう、そしてあなたが、極上の歌とともにそれをお受け取りになるよう、願います。さらにケヤのお椀も手に入るよう、さらに石油缶もまた行って手に入り、購入されるよう、そしてすべてのモノがこの場にやって来て、そこにあるよう(願います)。なぜなら、あなたご自身、私たちには後ろ向きになること(約束を違えようとする姿勢)はなく、また、あなたの方でも後ろ向きにことをなしたりなさらない(とわかるからです)。ああ、この争いはずいぶん以前に始まりました。そしてもしそれがあなたのせいだとしても、私たちはかつてはそのことを知らなかったのです。でも、今日、私たちはあなたのせいだったのだと、しかとわかりました。 彼が回復すれば、彼はあなたの要望を調えてくれます。彼は、疲れているのです。だから彼をとき解いてください。彼は、ご主人様と申しております。彼をとき解いてください。腹が小さくなり、息は美しく来たり、咳は去り、健康になり、あなたが欲しいと望むあなたの品物の数々を探しに行く体力をつけますように。
<tape2b 45:11.0> <tape2b 45:18.0> Nyawa:
あなた方、デナの皆さま方全員、あなた方、そのときには、全員、心ゆくまで踊ってください。
Jawa:
彼らが、もう十分と思えるまで踊りますように。
Nyawa:
まさに上々な踊りを。でも今は、彼をとき解いて、この火を取り去り、彼に多くの不思議を見せないでください、多くの症状を見せないでください、そして彼に道を導いてください。正しい道のみをしっかりと導いて、つつがなきことを私どもに示し、彼にあなた方の品々を見つけさせてください。彼はけっして怠け者ではありません。彼はただ驚き途方に暮れているのです。
<tabe2b 45:43.0> <tape2b 45:47.0> Nyawa:
さあ、申し上げることはこれだけです。
Jawa:
問題は小さくなりました。
Man:
問題は減少しました。
<tape2b 46:17.0> ジャワ氏による締めの言葉 (1983編集のフィールドノート該当箇所) Jawa:
さて皆さん、私はカヤンバを開いたほうが良いのではないかと申しました。(憑依霊の)皆さん、どうかおいで下さい、もしいらっしゃるのなら、見てもらってくださいと。あるいは場所を得られず、来なかったり、ただ通り過ぎていく方も。でも、御覧なさい。こうして問題は外に出てまいりました。上々に!そうです。結果は良好でした。良好に、私たちは約束を交わしました。上々の終わりでした。 (1983/08/29 02:20AM 終了)
私自身の書き起こしに基づく日本語訳と、現地でテープレコーダーを聞きながら、ドゥルマ語と英語を交えつつなされた説明をもとにした日本語訳が違っているのは当然のことである。
現地ではテープレコーダーの貧弱なスピーカーに耳をつけんばかりにして聞いたが、よく聞こえない部分も多かったし、短い相槌などはいちいち取り上げられなかった。2日で全部説明してね!という私の無理っぽい要望に一所懸命に応えてくれたが、なにしろ急ぎの仕事だ。完璧とはいかないだろう。一方、日本ではテープの内容をPCに取り込み、フリーではあるがそれなりの機能(部分的音量増幅とかそれなりのノイズ除去とか)を供えたソフトで操作しつつ、それなりに高性能のヘッドフォンで聞き取ったので、情報量はこちらの方が圧倒的に多かったに違いない。
他方、特定の言語を母語としている者には正弦波イリュージョンのように、脳がノイズを補完して言語音として聞き取るという機能が働くので、私にはほとんどノイズにしか聞こえないもののなかにドゥルマ語母語者は文や単語を読み取ることができる。というわけで、私が最新設備でも聞き取れなかった単語が、当時のカタナ君たちにはちゃんと聞き取れていたということもありうる。私にもときどきそれが起きる。何度聞いても意味不明の音声だったものが、ある瞬間に知っている単語に変化する!でもそんなことを当てにして何度も聞いていたら一本のテープの書き起こしに何か月もかかってしまいそう。
自分で書き起こしをしてみるまでは、もしかしたらすごくデータの質が上がって、なにか発見があるかも、などと期待していたが、労力の割にはさほどの収穫はなかったような気がする。ただ、面白い傾向がわかった。
実際に書き起こしたテキストのなかには憑依霊(p'ep'o)という言葉は、それが憑依霊の名前の一部になっている場合(例えば mwana p'ep'o=憑依霊アラブ人の別名のように)を除いては一箇所も出てこないのだが、私のフィールドノートや、カタナ・ムァエガ版テキストには何度も繰り返し出てくる。
例えば薬液(vuo)を作成した際のMweroの唱えごとには、一こともp'ep'oと言う言葉が使われていないにもかかわらず、「すべての霊(p'ep'o)よ」と呼びかけられたことになっている、など。あるいは単に憑依霊に対して「あなた」と呼びかけられているところを、わざわざ「あなたp'ep'o」としているなど、枚挙にいとまがない。これは「誤り」にしては多すぎる。むしろ、まだドゥルマ語が不自由で、憑依の問題について良くわかっていない素人の私に忖度して、わかりやすく「呼びかけられているのが人ではないよ」と強調してくれているのだろうと思う。
事実、カタナ・ムァエガ版テキストは、私自身の書き起こしからの日本語訳よりも、圧倒的にわかりやすい。たとえば、カヤンバの締めくくりにニャワ氏が行った「白人」に対するスピーチだが、カタナ・ムァエガ版(その英語での解説)と、私が自分で書き起こしたドゥルマ語テキストから日本語訳したものを読み比べてみると、カタナ・ムァエガ版も短時間の作業だったにしては、ちゃんと大事なところは押さえられていて、書き起こし翻訳版と比べて、十分資料としても通用するような気がする。おまけに前者の方が圧倒的に簡潔でわかりやすい。私のがドゥルマ語の語り口に引っ張られて、こなれていない日本語になってしまっているのに対して、カタナ・ムァエガ版は、最初からわかりやすい英語なので、それを日本語に直すのに苦労しないという違いもあるだろう。が、それ以上にカタナ・ムァエガ君の解説が、私というアホな日本人の聞き手に配慮したものになっているということも大きな要因。他にもカタナ・ムァエガ版は、もとの語りにはなかった単語が付け加わっていたり、わかりやすさに工夫が凝らされている。
という訳で、私の「通訳なんて有害さ」原理主義は、おおいに揺らいでしまったわけだが、 元の語りに忠実であることは、必ずしも悪いことじゃないので、わかりにくさは少々あっても、しばらくはこれで行くことにする。でも通訳の使用もそんなに悪いことじゃないかも。私はこれからもしないけど。
これは私が憑依霊の「白人(muzungu8)」に出会った初めての経験だった。「ケヤの白人(muzungu wa keya7)」、そいつは冗談みたいなやつだ。ケヤとはイギリスのアフリカ植民地軍(King's African Rifles)の略称KARなのだが、人々的にはケヤ(keya)と発音する。兵士であり、銃を担いで常にブッシュを行進し回っている。そいつが宿主を病気にしているというのである。背中の中央部が重苦しい、咳が出て、息が苦しい、腹づまりで排便がちゃんとできない。それもこれも単に背中に背負うリュックサックというか背嚢というかと、木を削って作った鉄砲の模型が欲しかったからと。ついでに揚げパンを食べるためのプラスチックのお椀とか、それを人の背丈くらいある木の台の上で食べたいとか。そうそう紙巻きタバコも必需品だ。銘柄も「スポーツマン154」ご指定だ。
なんだか妙にパチモンくさい「白人」である。よく怒鳴る、というか叫ぶ。そして英語を喋るのだが、とても英語とは思えない代物で、ときおりwelcomeとかtwenty shillingsとか25centsといった単語が脈絡なく出てくるので、笑うしかない。私がそう思っているだけではなく、施術師ニャワ氏などは、思わず吹き出してしまって、「笑っているみたいでしょうが、苦々しいのです。なぜならこれは実に苦々しいからです。」と苦しい言い訳をする始末。周りの女性や若者たちも笑っている。
別の機会に、憑依霊アラブ人がなんちゃってアラビア語をしゃべっていた時のエピソードを思い出す。モンバサ在住の敬虔な(きっとそうに違いない)ムスリムの商人が、妖術による災いの治療をムリナ氏のところで受けていたのだが、その途中で--よくあることなのだが--ムリナ氏がアラブ人の霊に憑依されてしまったのだった。「あれアラビア語じゃないですよね」と私は無粋な質問をしたのだが、返って来たのは、同意の目配せでも皮肉めいた笑いでもなく、真面目な顔で、あれは憑依霊のアラビア語なので私たちには理解できないのは当たり前だという答えであった。アラブ人の霊だからといって、なぜわざわざ専用言語をしゃべるのか(アラビア語っぽい)、普通にアラビア語を喋ればよいのにと思うのは素人の浅はかさだろうか。(そもそも喋れる訳がないじゃないか、などと無粋なことは言わないで。霊が存在すると前提しての理屈です。)
「ケヤの白人」にしても、もしかしたらKing's African Riflesの実在のクレメント中尉のいる部隊にいたみたいなことを言いながら、しゃべる言葉は英語に似て非なる憑依霊の英語だし、欲しがる銃は木を削って作った模型でいいという。
ちなみに憑依霊の「白人」には「ムミアニの白人」というのもおり、こちらは女性の憑依霊だと言われ、白いワンピース(というか長衣で、赤と青のラインが縫い付けられている)や、石油缶、ナイフ、メガネなどを欲しがる。現地の人々を捕らえてその血を抜き(石油缶は血を入れておくのに必要)、その血を材料にして薬を作っているらしい。そんな白人など現実にはいないぞ、と思いきや、海岸地方では植民地時代から何回かにわたりムミアニの白人出現のパニックが起きているという。植民地行政官の記録にも記されているし、1939年に編まれたJohsonのStandard Swahili-English Dictionaryにもmumiani殺人を恐れる現地の人々についての記載がある。1986年から1987年にかけての私の調査の時点でも、この現地人の血を奪う白人の噂が再燃していた。詳しくは別項で。
この「白人」の霊に見られるパチモンくささ、ズレまくりに対する私の当時の違和感を、猪口才な理論的語りに変えたのが1985年の、憑依霊についての私の恥論文だった。その違和感の源泉は、私自身の霊観念の基本構図が、ケニア海岸部のそれとは単に違っていることに起因するものだった。だって、日本人にとってどこかの南洋の島に日本兵の霊が出ると聞いたら、それはそこで戦死した日本兵のまさに亡霊だろう。その亡霊が片言の日本語を喋ったりしたら嫌である。おもちゃの銃を担いで行進したりしたら嫌である。だってそれらの霊は、実際の日本兵が死後変化した存在だからだ。日本兵という実質が連続しているはずである。私はその論文のなかで、そうした霊表象を「換喩的霊表象」と呼んだ。それに対してケニア海岸部の白人の霊は、けっして実在したKing's African Riflesの兵士が変容することによって誕生した霊、死ぬことで生まれた霊ではない。私はそれを指示対象が時間的に変容したものとして造形された換喩ではなく、実質の相違を前提としてそこに等価性を打ち立てようとする隠喩的表象操作に基づく霊表象、「隠喩的霊表象」と呼び、ケニア海岸部の霊表象を産んだ表象生産が、換喩ではなく隠喩であると主張した。
まあいいけど、話はもっと簡単なのかもしれない。人間を構成する一要素であるキブリについて人々が、それを影、水面や瞳に映し出された像、ピチャ(picha)、コピーであると語っていたように、オリジナルと何の実質の連続性ももたない模像のようなものとしての霊。それらが実体として大暴れするそうした模像たちの世界が、霊の世界なのだろう。だから銃だってpicha、模型でいいのだし、言語だってそれらしい模像でいい、当然本体の霊自身も模像。しかし厄介なことに、こうした模像たちが、実世界に介入して実際に人を病気にしたりするのだ。
霊は動き回っている。しかしその過程でいくつもの停留場所(chituo184)をもっている。霊が人に憑依するということには、さまざまな意味があるが、第一にはその人の身体が霊にとってお気に入りの停留場所の一つになるということである。人の方で何もしなければ、霊は気に入った人の身体の中に腰を下ろしてしまう。霊に腰を下ろされてしまうと、その部位に人は苦痛を感じる。それゆえ、霊が引き起こした病気の最初の対処は、霊に腰を下ろす椅子を与えてやることである。それがンガタ、ピング、パンデなどの一連の私が護符という訳をとりあえず与えたモノの役割である。
こうして多くの霊たちの停留場所になった身体は、しばしば霊たちの「砦ngome」であると語られる。霊が去って他の場所に赴くことで病気は軽快する。しかしまた霊たちが戻ってくると病気が再発する。もちろんなにか具体的な要求をもっている霊は、その要求をかなえてもらうために患者の身体の上に居座ってしまうかもしれない。
「ケヤの白人」の場合も、この同じ語り口が見られる。ケヤの白人は兵士なので、ブッシュからブッシュへと移動を繰り返している。でも必ず、彼らの基地(boma)に戻ってこなければならない。そしてまたそこから、新たな旅にでる。ケヤの白人にとっては休息のための帰還なのだが、患者にとっては「白人」の帰還は病気の回帰でもある。
「白人」が背中に背負うバッグ(袋(mufuko))にこだわる理由も、これに関係がある。あまりにも運ぶべき荷物が多いので、「白人」は背中が痛い。だから背中に背負う大きなバッグが必要なのだと。まるでバッグがあれば苦痛がなくなるとでも言っているようだが、実際、人々がそう考えている節もある。なぜなら「白人」はバッグの要求をかなえるために患者の背中の真ん中が重苦しくなる苦痛をあたえているのだとされているのだから。
バッグがあれば「白人」は長くゆっくり旅をつづけることができる。砦(患者の身体)に頻繁に帰ってくる必要がない。「白人」自身が「遠~くの荒~地に旅にでたら、...たぶんこの病人は治るじゃろう」と言っている(ちょっと人称が混乱している気がしないでもないが)。
「白人」自身が自らの苦痛を緩和するために大きなバッグを必要としているが、それでゆっくり長旅が可能になることが、患者の病気が治ることにつながっているという、ある意味、一貫したロジックが見て取れるのが面白い。
憑依霊に気に入られてしまうことは、人間の側から見るとただただ迷惑なことなのだが、憑依霊の要望に応えることが、憑依霊を「砦」つまり患者の身体から長期遠ざけることを可能にする。それにしても憑依霊、迷惑すぎです。シェラであれ、憑依霊ドゥルマ人であれ、「白人」であれ、すべての憑依霊についての語りの基本イディオムである。
これも1985年の恥論文で指摘したことだが、現物の白人についての人々の理解(誤解)と、「白人」が人々につきつける要求やその振る舞いについての理解は、反射的に形成されている。白人が紙巻きタバコを好むように「白人」も紙巻きタバコを要求する。でも彼は高級なエンバシーよりも廉価のスポーツマンを好む。なぜかこちらこそ白人のタバコらしい。
「白人」の要求を理解するために、白人に対する(必ずしも正しくない)理解が、頻繁に持ち出される。例えば「白人は荷物を背負うのが好きだ」みたいな。荷物のせいで痛い思いをしているのに、それを下ろしたがらない(笑い)?みたいな。
霊の要求が、想像していたものとおそらくずれていたら、白人についての別の理解ですぐ、修正される。「白人」木の台(ulingo)を作って、そこに卵、プラスチックのお椀、揚げパンを用意しろ、といったときおそらく人々は(私も)テーブルで食事する白人の習慣を思い浮かべていたに違いない。上空をマシーン(飛行機か)で旅する仲間にそこで食事を与えて、ンゴマを演奏する、と言われても、同じ理解の範囲内だ。だが、最後にその木の台の高さが人の身長よりも高く、よじ登らなければならないものだと明かされたとき、テーブルでの食事モデルは、直ちに修正される。ケヤの白人は兵隊であり、戦闘では木の台(おそらく監視のための?)が必要になる、で皆なっとく。「あの白人たちが好きそうなことだ」で一件落着。
まさに本体とピチャ(picha)=picture「像」の関係である。像は本体の理解の手がかりであり、本体の理解が像を基礎づける。相互の反射関係である。
この夜の「憑依霊を見るカヤンバ」でケヤの白人と並んで、交渉の相手となった「ギリアマ人の長老」デナ(dena)は、私が注釈用に作った説明では、以下のような存在。
デナ(dena)。憑依霊の一種。ギリアマ人の長老であるとされるが、8つの頭をもった大蛇という姿もとる。
8つの頭をもつ蛇の姿で描かれたデナ ギリアマ老人としてはヤシ酒と牛乳を好む。別名マクンバ(makumbaまたはmwakumba)。突然の旋風に打たれると、デナが人に「触れ(richimukumba mutu)」、その人はその場で倒れ、身体のあちこちが「壊れる」のだという。瓢箪子供に入れる「血」はヒマの油ではなく、バター(mafuha ga ng'ombe)とハチミツで、これはマサイの瓢箪子供と同じ(ハチミツのみでバターは入れないという施術師もいる)。症状:発狂、木の葉を食べる、腹が腫れる、脚が腫れる、脚の痛みなど、ニャリ(nyari100)との共通性あり。治療はアフリカン・ブラックウッド(muphingo)ムヴモ(muvumo/Premna chrysoclada)ミドリサンゴノキ(chitudwi/Euphorbia tirucalli)の護符(pande30)と鍋。ニャリの治療もかねる。要求:鍋、赤い布、嗅ぎ出し(ku-zuza)の仕事。ニャリといっしょに出現し、ニャリたちの代弁者として振る舞う。ニャリも人の姿と蛇の姿をもつが、施術師によっては、ニャリは蛇なので言葉を喋れない。そこでデナがニャリたちの代弁者となると説明する人もいる。でもデナも蛇なんですが。
という訳で、それなりに独特の存在なのだが、この日のカヤンバにおいては、「わしは誰からも知られておらんのじゃ」みたいな地味なキャラ。おまけに、要求しているのが黒いズボン。これまで履いていたのが、擦り切れてだめになったからと。
しかし、さすが、憑依霊たちの一大派閥ニャリ系の代弁者長老デナ。ここではマラウ氏の身体に集まってきている憑依霊たちの状態を、人々に的確に描写して見せている。一般には「砦」、ケヤの白人にとっては基地・要塞である患者の身体は、デナによると一つの屋敷とされる。屋敷の人びと、つまり患者の身体に寄っている憑依霊たちは屋敷の真ん中の広場(rome)に焚かれた大きな焚き火の周りに集まっている。この燃え盛る焚き火が、マラウ氏の発熱の症状である。その火を鎮めねばならない。でもあまりにも多くの霊たちが、ごちゃまぜになっているのだ。そこにはカンバ人も、白人(ムミアニの白人)も、ガラ人やマサイ人までいる。そして誰かが火を掻き立てているのを見咎めて、注意し、そいつが立ち去っても、別のやつがやって来て、火を掻き立てる。この描写が、やがて屋敷のガキどもが火で遊んでいるのだとされ、そこでいよいよ、ニャワ氏は、デナに対して、長老ならガキどもをちゃんとコントロールしろよ、と迫るのである。そうすれば、あなたは真の長老として皆に知られることになるだろうと。
屋敷の比喩が、鮮明なイメージでマラウの病状を説明し、長老が頑張って屋敷の子供たちをコントロールすることで治癒がもたらされるという希望が、大きな説得力を人々に対してもつだろうことは疑いの余地がない。
私がここで強調したいのは、この長老による屋敷のコントロールという語りが、憑依霊の病気について行われたのは、私の経験では、これが最初で最後だったということである。わずか数時間の、「突然のカヤンバ」のなかで憑依霊の病気とその解消についての創発的なイメージが、憑依霊と施術師、周りの人々によって作り出されたのである。
カヤンバにおいては、患者の姿の上に立ち現れる憑依霊(たち)と、人々との間に即興的な、まるで何幕かの舞台を見ているかのようなドラマが繰り広げられる。自分の要求を満たしてくれるよう執拗に迫る憑依霊、それに対して、それを約束しつつ、でもその前に病人の状態を軽快してほしいと交渉する人々。憑依霊は病人を先に健康にすることに同意せず、ただ自分の要求をかなえるよう繰り返し迫る。一見、コミカルなやり取りだが、病人の親族も施術師も真剣そのものである。
深刻かつコミカル、激しい音楽と人々(特に女性たち)の踊り、娯楽の場であり、厳しい交渉の場でもあるというカヤンバの一端が、短時間であるがゆえに、凝縮して味わえる機会であった。
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tsovyaの別名とされる「内陸部のスディアニ」の絵 ↩
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chipheleの一例 E.O. Orchardson, 1986,A Socio-historical Perspective of the Art and Material Culture of the Mijikenda of Kenya(Phd.dissertation, SOAS)よりfig.22 ↩ ↩
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