(Sept. 23, 1992のMwasamaniの屋敷でのmupembaの「鍋」に続く)
(from diary) Sept. 6(Sun), 1992, kurimaphiri
朝7時、チャリの家へ向かう。キラボ1のあるマサマニ2のところでuganga3。朝早く行けばキラボが見られるという言葉を信じて早起きしたのに、...(中略)。しかしその間に、nzongo4対策やらを見ることができた。新生児に対する。こうしたちょこちょことした施術は偶然現場に出くわさないとわからないものだ。11:30やっとマサマニのところへ。ただのnyungu5とchiza6を据えるだけのugangaかと思ったら、カヤンバまで動員するけっこう派手なugangaだった。チャリが今年から始めた新機軸chiza cha photsiが中心。これがすむと今度はMenandaのところでShera7のnyunguを据える。こちらは若干手抜き。マサマニのところではさすがに80シルものfungu12をもらう。対照的にMenandaの方は、金が出せず、jamvi13がfunguがわり。しかしMenandaは顔は不細工だが気持ちのいいおばさん。サツマイモをお土産にもらう。
1992年、調査地についた私を待っていたのはムリナとチャリの夫婦が、新しい土地に転居したという知らせだった。昨年の近隣との妖術を巡るトラブルは、夫婦が土地を追い出されるという残念な形で終止符をうったらしい。もう一つのお知らせは、チャリが新しい治療法を夢で手に入れたという話。地面のキザ(chiza cha photsi)といって、搗き臼やアルミの容器を「池ziya」に見立ててそこに薬液を入れるかわりに、実際に地面に穴を掘り、その周りに葦などを差して、リアルな池にするという趣向。実際にやってみるとバケツで水をいれてもすぐ地面に吸い込まれてしまうので、あ、これはダメかもと思ったが、案の定、数年後には姿を消してしまった。 この日の施術は、この「地面のキザ」とムルングの鍋の設置。施術の背景については、フィールドノートより転記。
(from fieldnote Sep. 06,1992)
【Mwasamaniの屋敷でのnyungu & chiza cha photsi】 patient: Mejumaa(mukaza Maguta) 今日はmwanamulungu14のnyungu, laika21とmwamunyika42 (=mwanamulungu)のchiza6を据える
chamuno43 身体各部の不調: 頭痛、chizungu[^chizungu]、耳鳴り、動悸、胸が締め付けられる、peho44、 食欲不振、腹痛、足腰の痛み
顕著な問題としては、患者の見る夢 男と寝る夢、ヤギと寝る夢 ウシに追いかけられる 家の屋根に上る 象に追いかけられて木の上に上る madzini45に行く
患者の悩み 夜夢の中に男がやってきて彼女と寝る まる一ヶ月見なかったが、また見るようになった
夢にやって来る男はChariによると、p'ep'o mulume46=Sudiani(male)47 ngata41(25シリング)が必要
なお、この日のムルングの鍋がおわったら、後日イスラム系の憑依霊の鍋と大皿を差し出すことになっていた。 Sept. 23, 1992のMwasamaniの屋敷でのmupembaの「鍋」
(Sept. 06, 1992のフィールドノートより転記) 例によってフィールドノートをほぼそのまま転記したテキストをそのまま貼り付ける。ナンバリングは転記の際に付与。フィールドノートの記述内容に手を加えないため、現地語なども注釈の形で補足説明することにしている。(DB...)は後にフィールドノートに紐づけた書き起こしテキストの、該当箇所を示す番号。植物名の同定はフィールドではできず、文献に基づく事後的な補筆である。
途中で採集したmihi(Shera専用は除く51) murindaziya(Sesbania bispinosa) mukangaga(Cyperus exaltatus) chilongozi(pistia stratiotes, water lettuce) mukunguma musindaalume...bok'oのためのmuhiだが、mulunguのnyunguにも使用
nyungu と chiza cha nyumbani を用意52
chiza cha photsiの準備 これを夢でチャリに教えたのは mwamunyika42(mulungu wa pindiだという) 地面に直径40センチくらいの穴を掘って、水を入れる(すぐに吸い込まれてしまう) 穴の周りにmikangagaを5箇所差し、chilongozi53を3箇所に差す muwele54はvuri56の方向を向いて座る(mukongo alole ko endako nyama)
ngata41 ya laikaの準備 chilongoziの根とmavumba ga shera57(madukani & matoro) 各mwana wa ndonga58 の中身少しずつ
mulunguのnyunguとchiza cha nyumbaniの提示 小屋の中に患者を座らせる
開始のことば ドゥルマ語テキスト カヤンバ開始 mulungu (DB 5090) ドゥルマ語テキスト mulungu no response
続いて muduruma muduruma no response (DB 5091) ドゥルマ語テキスト 中断
再度 mulungu mwana wa ndongaの口を患者の耳etcに当て、吹き込む mulungu 再開(vunzarereから) (DB 5094) ドゥルマ語テキスト 来ない、来ないと皆がぶつぶつ文句を言っていると、muwele突然golomokpwa59 泣きながら歌いだす チャリ、カヤンバを打たせながら語りかけるが患者は応答しない チャリ、そのままマココテリ60に移る (DB 5098) ドゥルマ語テキスト
世界の住人全体に対する マココテリ。最後のところでは、チャリ患者と握手を繰り返す (DB 5101) ドゥルマ語テキスト
最後に mwarabu (DB 5104) ドゥルマ語テキスト
なぜMwarabu?=mulunguとmwarabuはmutu na nduguye61だから ムリナ,ubani62を燃やしながら、例の変体アラビア語で語りかける 患者反応なし matso mafu genye63 と言い捨てる(ムリナ)
以上で屋内のkayamba終了
「地面のキザ」を差し出す
戸外のchiza cha photsi64 vuriに向かって患者を座らせ、chizaの薬液をnjerejere65を上げつつ患者の頭に 注ぎ、makokoteri60 (DB 5106) ドゥルマ語テキスト
chari地面に寝転びchizaの水を飲む 再度makokoteri (DB 5107-5109) ドゥルマ語テキスト
その後chizaの水で患者の頭を洗う 次いでlaikaのngataを患者の左腕に巻いてやる
5089 (小屋の中で鍋をkayambaの演奏とともに憑依霊に示す) (憑依霊たちをkayambaに招待する唱えごと)
Chari(C): (途中から録音)...私は人(憑依霊)がやって来て、お話ししに来ていただきたい。私は、ところで、子神ムルングをお呼びします。私は子神ムルングの鍋を差し出したいのです。 Murina(Mu):(Maguta氏にカヤンバ(楽器)の件で) もし(これらが)あなたのカヤンバ楽器じゃないのなら、彼(演奏者・歌い手)がそれを思い出して、自分の楽器(複数)を本人が取って来たんですよ。 C: そしてこうして彼を招待しているのですから、ムルング子神に来ていただきたいのです。病気という争いがあります。私たちは誰が苦しみを引き起こしているのか知りません。どんな過ちがあったのか、私たちは知りません。私たちは、人が苦しみ、もはや健康な身体を持っていないということはわかっています。こうして今日、私たちは争いの主が現れて、来て話してくれることを望んでいます。 (唱えごと終了) W1: (施術に関係ない内輪の会話) C: カヤンバ(楽器)はどこにあるの? Maguta(Ma): ほら、ここに。 C: 打ち板がついてないじゃない。 Ma: 私によこしな。その小壺のところに。 W1: そこに捨てたの? C: (天井裏に積んであるカヤンバを指して)ああ、あの上に。あれから一つ取り出したら、あの上から。 W1: (私に向かって)あなた座らないの? Ma: すわって、あちらに、あちらに。
5090 (カヤンバ開始)
Chari: (甲高い嬌声とともにキザの液を患者の頭に注ぐ) ヒリリリリ、ヒリリリリ、...ヒリリリリ(計7回)。これでよかったけ? W1: 施術師さん、どっか行っちゃってたの?(チャリが回数を数え忘れたのをからかっている66) C: 施術師は(昼食で出された)いんげん豆のスープで酔っ払ったのよ。 W1: (キナンゴの町の)古着市のことでも考えてたんでしょ? C: さあ、さあ、若者たち。彼ら何を売ってるの? Mu: また、古着だろ。古着商売もちょっとした仕事。 C: 仕事は歌ですよ、我が子たち。 (ムルング子神の歌、開始) (独唱) ムルング子神、 ウェー ハイ ウェー ほら、池に 私は怖いよ ウェー ほら なんと ムルング 池に ムルングがやってくる (合唱) 上記の歌詞を繰り返す
5091 (憑依霊ドゥルマ人の曲を数曲演奏した後に)
Murina: (スワヒリ語で)ドゥルマ人、あなたがたはどこにいなくなったのでしょう? Woman2(W2): (同じく少し文法的におかしいスワヒリ語で)ドゥルマはドゥルマ去った。ドゥルマ、ディゴ行った。ディゴ行った、ドゥルマ。 Mu: (ブロークン・スワヒリ語で)いいえ。ドゥルマ、ここいる。 C: あら、これは誰かのコップ(空き缶の)。
(Chari、瓢箪子供の栓を抜いて、患者の女性の耳、目、鼻と吹きかけていく。患者とくに反応なくじっとしている。この作業の間も、女性たちこの状況を冗談めかして話している)
W2: え、あなた彼女には憑依霊ドゥルマ人がいる、おとなしくなさいって言わなかったっけ。 W1: なんと、(女性の憑依霊ドゥルマ人カシディじゃなくて)ザーニ(zani67)なんだ。お前さん。 W2: 今さっきここで踊ったじゃない、ドゥルマ人が? C: 本人、もういなくなったのかな、それともまだここにいて待ってる... W2: ああ、いなくなったよ。 Woman3(W3): ああ、それどころか近くじゃないよ。 W2: コーラン学校(madarasa)へ行っちゃたとか。 W1: あいつら煙を噴き出してる(忙しくせわしない様子)。鍋があるのに、学校(madarasa)にいかなくっちゃ、みたいな。 W3: さて、何をお祈りしようというのやら。 W1: ドゥルマ人はまずやって来て鍋を与えられ、それからモスク(musikitini)へでも行けばいい。 W4: 締めくくりの曲がまずかったんじゃない? W2: 学校(chuwo)に行きな、学校に行きな。
5092
Man2: (半開きに開いている入口を指して)その扉、どうなってるんだ。 W1: サイディだよ、そこにいるのは。お前、ムァナミシ行きなさい、さあ。 C: (患者について)もしかして、彼女の実家の方に施術上の母(ameye wa chiganga)がいます? W2: 私も知りませんよ。 C: 誰にカヤンバを扇いでもらった(主宰してもらった)の68? W1: ねえ、ムラム69のアリーさんの人たちに扇いでもらったんじゃなかったけ? C: 女性の施術師は呼んでもらわなかったの。アリーだけだったの? W1: 薬液(vuo)を好むのは女性じゃない?男たちはとっととカヤンバを打たせろって。 5092-l10 C: 要するに、カヤンバは開かれたけど、施術師はいなかったてことね。 W1: そう、ただ打ってもらっただけね。 C: ちゃんとした施術師はいないと。 W1: そう。いないわ。 C: もし彼女に治療上の母がいるのなら、そんなふうにやったら、うまくいかない。そいつ(憑依霊)のことを知らない人に歌ってもらう、これもうまくいかない。 W1: そもそも、(霊が)やってきて、もし喋ったとしても、いったい私は誰に呼ばれたんだって言うだろうね。 C: で(霊が言うには)、私はお前のことを知らないぞって。 W1: そうそう。 C: こんなことしたら、結局その人(憑依霊)は無駄にそれをされた(呼び出された)ってことよ。 W1: そうね。
5093
Chari: 私までびっくりしたわ。すっかり。 Murina: うむ。たしかにびっくりだね。 W2: どういう意味? Mu: 彼女がこれまで見たことがなかったことってこと。 W2: あなたの仲間たちが治ったのだから、あなたは驚かないでよ。 Mu: その人たちは、その彼らを治すもの(癒しの術)で、いわば無理やり治されている。 C: あのね、彼はそれ(自分の癒しの術)が癒やすと知っている。でもそのことがムルングを縛りつけてしまうの。 W1: そんな。あなたは彼女を妊娠させた。そこからどこへ行くの? Mu: 瓢箪子供のこと?そうじゃないよ。 W1: (戸口にいる子供に)お父さんのところにいたいの?外へお行き。 Mu: 名前はムルングだけど、そのムルングはまだほどけていない。卵のまま。 C: そこでムルングを縛り付けたその人は... W4: あなたはその人にまだ会ったことがない? C: いいえ、会ったわ。でも問題はムルング本人よ。 Mu:それを必死に引っぱっても、きりがないんだよ。 W1: ムルングが?
この一連の会話は理解しがたい要素を含んでいるので、少し解説したい。最後にムリナ氏がした発言「それを必死に引っぱっても、きりがないんだよ」は、ムルングはヘビだという知識に基づいたちょっとしたジョーク。巨大なヘビなので引っ張り出そうとしても、あまりに長くてきりがないくらいだ、と。憑依霊と施術師が、密接な関係にならないと治療が難しいことを述べている。下手な施術師(あるいはその心得すらない者に呼び出された憑依霊は、ちゃんとした施術師が後で対応しようとしても、なかなか交渉ができなくなる。今チャリたちが直面している問題はそれである。それでもチャリはムルングとじっくり腰を据えて交渉しようとする。
5094 (チャリ、ムルングの歌を再び自ら歌い出す。ゆっくりの「呼び出し ku-suka」の歌。カヤンバそれに続く)
(独唱) ヴンザレレ(vunzarere70) ヴンザレレ そいつは 大きなヘビ 背後をよくご覧なさい ムゼレ(mudzele71) (合唱) ヴンザレレ ヴンザレレ そいつは 大きなヘビ 背後をよくご覧なさい ムゼレ
(患者、いきなり憑依状態に)
P: あああ エヘイェ ウェー ヘー ヘー ヘー
(ムルングの別の歌に変更)
(合唱) わたし見られているわ、お仲間さん 池にムルングがやって来た ホォウェー
Chari: まだ彼女は見てなかった。
5095 (ムリナ歌に参入)
(ムリナ独唱) ムルング子神 ほら ウェー なんと池に ムルング子神 私はムルングを畏れるわ ハイ ウェー 池に ムルングがやって来た
(患者自身も歌い始める)
(患者の独唱) ムルング子神 ほら ウェー ヘー 池には ムルングがいる ムルング子神 あんた 母さん あんた 池に ムルングがやって来た
Mu: あんた、ムルングあんた、もし私がお前の居場所を知っていたら、お前を切り刻んでやったのに。
(歌続く。患者は独唱パートを歌う。そして泣き出す)
Chari: しずまって、しずまって、しずまって、我が子よ。しずまって、我が子よ、しずまって。私たちはあなたをお呼びしています。私たちは知りたいのです。人の子が苦しんでおり、私たちは何がこの子を苦しめているのかわかりません。わたしたちはそれを知りたくてあなたをお呼びしているのです。
5096 (患者、なおも歌い続ける)
(患者の独唱) ムルング子神 ああそうなの ええ、お母さんの池 ムルング子神 ええ お母さん、池に問題がやって来た(現在完了形)
(合唱は普通の歌詞を繰り返す(略)) (患者の独唱)
ムルング子神 ああそうなの 私は眠らない ムルング子神 ムルング子神 お母さん、あなた 池に問題がやって来た(過去形)
(チャリ、歌唱に加わる。独唱パートを歌う)
私は驚いた だって あんた だって 池に 私は ああそうなの ムルングを畏れるの 池に問題がやって来た(現在完了形) (合唱) さて、ムルング子神 ウェー だって 池に ムルングがいる 私は畏れる あなたがたのお仲間 池に問題がやって来た(現在完了形)
(以上ゆっくりの「呼び出し ku-suka」の歌) W2: 降りてこい、降りてこい、降りてこい
5097 (歌は速いリズムの「落とす ku-bita」に切り替わる)
(Woman1による独唱) 私は喋らない ムルング子神 お母さん 狂気(あるいは夢)を煮る人 あなたは言われる 解(ほど)いてくださいと ウェー なぜなら、あなたは問われた あなたが解かれますようにと (合唱) 喋って 喋って ムルング子神 お母さん 封じた方は こう言われる 解きなさいと ウェー
(チャリ、舌足らずの砕けた調子のドゥルマ語で患者に語りかける)
C: 私は田舎者なのよ、あんた。私に言ってちょうだい。私はあんたの友達だけど、あんたは私のことを嫌ってるね、友よ。私はあんたに、とっても美味しい美味しい良いものを持ってきたのよ。 W2: あなた、おしゃべりなさりたくないのね。そいつは喋らないよ。 W1: まあやって来たんだから、それ(鍋)は見えているよね。 Murina: (文の途中からスワヒリ語に)そいつはそこにいるよ。ムルングは自分からやって来た。 W1: 呼ばれたからでしょ。 Mu: いいや。いつの話だよ? C: 最初に始めた歌でしょ。 Mu: (まだスワヒリ語で)その時にはムルングはまだだった。その端っこ72があっただけ。
C: (患者=ムルングに向かってドゥルマ語で)まあ、なんと、まだ故郷の池にいらっしゃったのですか。そこを早くお発ちになって、早くも上ってこられたわけですね。で、今やって来たと。 Mu: 話ししたくないんだよ。 C: 話したくない。 W2: きっと子供たちの食事を作ってたんでしょうよ。蓋をして、だって... C: (患者=ムルングに向かってドゥルマ語で)さてさて、私のお友だち。だってムルング本人は本当は完全にとことんドゥルマ人ですから。ムルングはドゥルマ人です。私はあの鍋とキザを持ってまいりました。それとムァムニィカMwamunyikaの地面のキザそのものです。私は言われているのですが、本当でしょうか。子供を苦しめているのは、あなたなのだと、あなた。私はこの問題をかかえて、ここに参りました。ねえ、私たちは病気を目にしています。私の友よ。とっても重い病気そのものです、あなた。そしてこの病気はこう言われているのです。本当でしょうか。あなたが、あなたこそが、争いの主なのだと、あなた。あなたが騙され続けてきた(約束を破られ続けてきた)というのか、私は知りません。いったい何が理由なのか、私は知りません、あなた。私は何も知りません、私の友よ。もしあなたが騙され続けてきたとしたら、あなたを騙してきたのは私ではありません。今日、私はあなたに差し出しに参りました。私は一昨日来、お約束いたしてきました、あなた。そして今、今日、私はあなたに持って参ったのです。あなたのための、あれなるvibuto(バチャバチャ水をはねるもの=キザのこと)、そしてあなたのためのmwachivuche(少しの湯気をたてる子供=鍋のこと)です。さらにあれなる大いなる地面のキザ(chiza cha photsi)、ムァムニィカのキザです。ムァムニィカ、他ならぬあなたヴンザレレ、あなた大いなる蛇のことです。あなたこそがこの人間の身体を苦しめている、苦しめている者にほかならないと言われております。そして砦はあなたのもの、あなた。それをあなたは壊しに壊していらっしゃる。
5099
W2: こっちを持って。 W3: 彼女疲れてるんだよ、身体の持ち主の方。 W2: 薬液(小屋の中のキザの)を浴びせられた。 Murina: ほら、彼女(ムルング)池に去っていくよ。 W2: そらそら、彼女山を上っていくよ。 Man2: 自分の棲み家に帰っていくんだよ。 Chari:(唱えごとが続く)くわえて、立ち去りあれなる鍋をご覧になるなら、あれなる鍋が病気を治しますように。(その病気について)もう再び耳にしたくはございません。あれなる鍋が病気を治し、病みたる筋肉を一筋一筋辿りますよう。鍋が病気を癒やしますよう。腹が痛むことも、また腹がトゲに刺されることもなし。腎臓が噛み潰されることもなく、頭が痛むことも、悪寒もなし。私たちは人の身体が失われていくのを見、この者を食らっているのが何であるのかもわかりません。今日は、私はいったい誰なのか、あるいはなんの過ちが犯されたのか、それを知りたかったのです。あなたが騙されているのならそう教えて下さい。今日は、それなる鍋、これなる薬液と、本物の大いなる地面のキザです。あなたムァムニィカのキザです。あなたは地面で水浴びするのが習性ですよね。そして問題を話していただければ、それはしかるべく対処され、たしかに調えられます。なぜなら、あなたムルングは、あなた、まったくまったくドゥルマ人だからです。そしてあなたこそが完全なる人、砦の主にほかなりません。今、砦は壊され、身体は失われています。私たちは、何に間違いがあったのかわからないのです。
5100 (チャリの唱えごとは続く)
C: 立ち去ること、鍋を見ること。鍋は熱気を出し、別の鍋(別の憑依霊に対する)が話題に上るまでに、この者が水場にも行き、野草摘みにも行き、薪とりにも行き、トウモロコシを臼で搗くこともこなす、そんな風であってほしいものです。そもそもこの鍋ですが、彼女に薪を持ってきてくれる人は、いったい誰だというのでしょう。彼女に水を持ってきてくれる人は、誰でしょう。だって、人が鍋の湯気に当たるというとき、その人自身が薪を集めに行き、来て彼女の鍋を煮る、その人自身が水場に行き、来て彼女の鍋を煮るものなのです。そして(トウモロコシを)臼で搗いて、石臼で挽く。湯気に当たるのが終わったら、トウモロコシの練り粥が欲しいものです。 今、今日、私は鍋を置きに参りました。そしてそれなる鍋が、病気を癒すようにと願います。もしかしたらあのドゥルマ人たちが来て、その鍋を置きに来ることになるとしても、そのときには、この病人が外に出られるようになっておりますように。外にでて、それも申し分なく、人間らしい健全な身体をもって。 W2: あんた、もしムルングが遠いところ、ムァマンディ(地名)あたりにいるんだとしたら、ここに来る途中で、疲れてしまうことでしょうね。 C: 人間とはこの世に腰を落ち着ける者、食事をすれば、食べ物は心臓に調和する。なのになぜあなたがたはこの者から食べることを奪うのですか。彼女はそもそも食べない。(トウモロコシの練り粥の)一握りすら、腹の中にとどまらない。腹が痛み続けるだけ。ああ、御主人様、もしそれが皆さまのせいならば。 (チャリ、世界の住人全体への唱えごとに移行)
Chari: 穏やかに、皆さま全員に、私はお願いいたします。北の皆さま(a kpwa vuri)に、南(a kpwa mwaka)の皆さまに、東(mulairo wa dzuwa)の皆さまに、西(mutserero wa dzuwa)の皆さまに、ブグブグ(bugubugu73)の方々に、ニェンゼ74の小池の方々に。私はまた、子神ドゥガ(mwanaduga75)、子神トロ(mwanatoro76)、子神マユンゲ(mwanamayunge77)、子神ムカンガガ(mwanamukangaga78)、キンビカヤ(chimbikaya79)、あなたがた池を蹂躙する皆さまに、そして子神ムルング・マレラ(mwanamulungu marera80)、そして子神サンバラ人(mwana musambala81)とともにおられる子神ムルングジ(mwanamulungu mulunguzi82)、皆さまにお祈りいたします。 私は皆さまにお祈り申します。ジャビジャビ(Jabijabi)の池の方がた、ングラとングラ(ngura na ngura83)、お母さんの場所ゾンボ(Dzombo84)、ムガマーニ(Mugamani85)のサンブル(Samburu、地名[^samburu])で争っておられる皆さま、ンディマ(ndima86)を見ようと、皆さまが家に帰ると、なんとポングェのカヤ(kaya Pongbwe87)が壊されている。それは皆さまがた(憑依霊の皆さま)のせいだというのです。どうかおだやかに。 おだやかに、あなたムルング子神。ペーポー子神(mwana p'ep'o88)、バラワ人(mubarawa89)、サンズア(sanzua90)、ムクヮビ人(mukpwaphi91)、天空のキツィンバカジ(chitsimbakazi22 cha mbinguni)、池のキツィンバカジ(chitsimbakazi cha ziyani)、地下のペーポーコマ(p'ep'o k'oma92 wa kuzimu)、池のペーポーコマ(p'ep'o k'oma wa ziyani)の皆さまとごいっしょに。あなたガラ人(mugala93)、ボニ人(muboni94)、ダハロ人(mudahalo95)、コロンゴ人(mukorongo96)、あなたコロメア人(mukoromea98)、ドゥングマレ(dungumale101)、ジム(zimu102)、キズカ(chizuka103)、スンドゥジ(sunduzi104)、ドエ人(mudoe105)。あなたドエ人、またの名をムリマンガオ(murimangao106)。あなた奴隷(mutumwa107)、またの名をンギンドゥ人(mungindo97)。このなかには、あなたデナ(dena36)とニャリ(nyari37)、キユガアガンガ(chiyugaaganga108)、ルキ(luki109)、ムビリキモ(mbilichimo39)、カレ(kare110)とガーシャ(gasha111)、レロニレロ(rero ni rero112)、あなたプンガヘワ(pungahewa114)子神。
5102
Chari: イキリク(11)とともにディゴ人(mudigo115)もいます。あなたジネ・バラ・ワ・キマサイ(jine bara wa chimasai116)もいます。あなたゴロゴシ(117)、またの名をンガイ(ngai118)もいます。ンガイまたの名をカンバ人(mukamba119)、カヴィロンド人(mukavirondo100)、マウィヤ人(mawiya120)、ナンディ人(munandi99)、ムマニェマ人(mumanyema123)。私は皆さま方におだやかにと申します。私は皆さま方におだやかにと申します。あなたムビリキモもいます。ムビリキモ、いつもディゴゼーとつるんでいるのは、あなたムビリキモ。私はあなたがたにおしずまりくださいと申します。私はおしずまりくださいと申します。あなたライカ(laika21)、ライカ・ムェンド(laika mwendo25)、風とともに進むライカ(laika mwenda na upepo)、ライカ・キグェンゴ(laika chigbwengo124)、ライカ・ムカンガガ(laika mukangaga78)。ライカ・ヌフシ(laika nuhusi125)もいます。あなたヌフシ、またの名をパガオ(pagao126)、そのまたの名はあなたムズカ(muzuka23)。ライカ・ムァニョーカ(laika mwanyoka29)、ライカ・マフィラ(laika mwafira28)、ライカ・ズズ(laika zuzu127)、ライカ・ドンド(laika dondo31)。ライカ・トブェ(laika tophe27)もいます。あなたライカ・トブェ、またの名をライカ・キフォフォ(laika chifofo30)。私は皆さまにおだやかにともうします。ライカ・マジャロ(laika majaro128)もいます。 ご主人の皆様どうか、私たちは皆さまの足元に身を投げ出しています。私は癒し手(muganga)ではございません。癒し手はムルングです。私がすることといえば、乞い願い、祝福の手を置いて、小指の爪をとり、そこに行って腰を下ろしじっとしているだけです。争い合うものは二人、三人目がやって来ると、争いを鎮めます。今日、私は仲裁者。争いをしずめます。 私が、治療するとすれば、なぜするのでしょう。私はムルングに祈っているのです。(患者の)一族の祖霊と、私たちの祖霊がともに力を合わせ、ムルングもまたこの者が治るように、受け止めてくださる。この世にいる人間で、つねに寝台にいるような者はいません。
5103
Chari: 私は穏やかに、さらにおしずまりくださいと申します。もう、頭(が痛むこと)はありません。目眩もありません。背中(が重苦しいこと)も、悪寒もありません。肋骨が押しつぶされることも、腎臓が噛み潰されることも、下腹部が重苦しいことも、心臓が破裂することも、心臓が速く打つことも、腰が折れることも、脚が折られることもありません。もし物が全然握れないとしたら、いったい何事でしょう。耳鳴り、食欲が奪われること。私は皆さま方に、おしずまりくださいと申します。そして「おしずまりください」の言葉には耳を傾けるものです。皆さま、どうか砦をほどいてください、そしてそれを健全にしてください、私の兄弟の皆さま。 人間とは歩くように生まれてきています。ずっと寝台に寝ているようには生まれついていません。もし、なんとあなたがたが扇がれる(カヤンバ儀礼を開いてもらう)ことをお望みだというのなら、兄弟よ、私はあれなる鍋を差し出させていただきました。鍋が病人を癒やしますように。そしてかりにさらに別の鍋も来て置かれることになろうとも、これらの鍋は、私たちは喜びを手に入れられるようにと望んで置きに参るのです。病人が自分で外に出て、薪を集め、水を汲み、トウモロコシを搗いて、挽く。(そうなれば)ンゴマすら、私たちは開催することになるでしょう。でも、今は、いま私たちが扇いだところで、それにどんな美味しさ(喜び)があるというのですか。皆さま方、穏やかに。どうか御主人様方、私たちは皆さまの足元に身を投げ出しています。今はもう争いはございません。穏やかに。今は、この者をどうかお構いにならないでください。この者にちゃんと食欲と、ちゃんとした便通をお与えください。腹が唸り音、あるいはいかなる徴も出さぬよう、皆さま。腹が燃えることもない、腹が刺されるように痛むこともない、腹が膨満することもない、腰が折れることもない、脚が燃えることもない、脚が折れ潰れることもない。どうか皆さま、私たちは皆さまの足元に身を投げ出しております。穏やかに、穏やかに、世界の住人の皆さま。胸が燃えることもない、どうか皆さま。背中に石が打ちつけられることもない。どうかおしずまりください。私たちはこのように哀願いたしております。目が暗闇に閉ざされることもない。どうか皆さま!!
W3:(泣いている赤ん坊について)ちょっと、この子を連れてってよ。連れてってしまってよ。この子は厄介なのよ。クワレ(地名)に着くまで私は眠れないわ。 W2: 誰? W1: もう最後よ。だって、ここではそいつ(患者に憑いている憑依霊)と面識のない人に扇がれているんだから。 Chari: おまけに、そいつも私のことを全然知らないんだものね。 W1: これからお互いに知り合うんじゃないの。あなたは言わば、あなたのムワレ(muwale=共同耕作でその人に割り当てられた耕作地)に、最初のあなたの一鍬を入れたところ。これからお互いに知り合いになるのよ。 W2: 痩せた女性が見えるだけよ。 W1: ちがうよ。そいつの方でもあなたを知るようになるのよ。 W4: 古着市からやって来たって知るだけ。 W2: そいつはあなたが古着市からやって来たのを知る。 Murina: やってきたのは、なんとアラブ人かも。 W1: お互いに知り合うだろうよ。さあさあ、仕事してくださいな。
(憑依霊アラブ人の歌を数曲続けざまに演奏)
Mu: C: そして、踊っている。 W2: そうね、踊っている。 W4: 私は、それが誰だかわからないわ。みなさん。 C: 私は速いカヤンバ(演奏)は無理だわ。「混ぜ合わせる(kumutsanganya)129」んだったらね。でも、ああ!まるで機関車そのものみたいに、ヴァガ、ヴァガ、ヴァガ。 W2: (浜本に)ねえ、カリンボ。あの人(患者)のこと、いっしょに治療なさいな。 H: うう。無理です。
5105
Murina: (スワヒリ語で)ねえ、乳香をここに置いてよ。もし(憑依霊の)アラブ人なら、私は、アラブ人がいるのがすぐにわかる。もしいるんなら、私が彼を一発でかき立ててやろう(nitachafua=make dirty, disturbed130)。ここに乳香を置いてよ。 W2: 彼をつかむだろう。 Mu: 私は彼のことがとっても気に入っているんだ。もしアラブ人がいれば、私にはわかるだろう。もし別の人(憑依霊)がいるとしても、同じように対面するだけのこと。ここでは私は畏れられている。 W2: ここでは畏れられている。 Mu: 私はここでは敬意を持たれている。もし本当にアラブ人がいるとしたら、私には彼が見える。 C: この布ときたら、この。彼女は座ることもできないわ。 Mu: 私は、本物のアラビア語そのものを話そう。
(ムリナは「アラビア語」で唱えごとを始める。しかし患者は憑依する気配を見せない。ムリナは「完全に素面だmatso mafu genye」と言い捨て、唱えごとを止める。)
5106 (戸外の「地面のキザ」で患者の頭に薬液をかけつつ唱えごと)
Chari: ヒリリリ、ヒリリリ..... ビスミラーイ ラフマーニ ラヒーム アウドゥビラーヒ ミナシェトワーニ ワヤカナブドゥ.... うう。さて穏やかに、おだやかに、世界の住人の皆さま。世界の住人の皆さま、私はお話しいたします。こんな時間にお話しするつもりではありませんでした。私がお話しするとすれば、私は...
(周りの人々に)
C: この女性の名前は?メジュマー? さて私はこんな時間にお話しするつもりではありませんでした。私がお話するとすれば、メジュマーのためです。メジュマーは父と母のあいだに産まれた人です。ですが、苦しんでいます。彼女の苦しみは、いったい何でしょうか。病気の苦しみです。人が苦痛を感じるのは普通のことです。でも人間は、今日熱を出したとしても、明日、あるいは明後日には外に出てきます。どうしてこの者は、(小屋の中に)こんな風にずっといつづけようとしているのでしょうか。
Chari: さて、おだやかに。私は癒し手ではございません。癒し手はムルングです。私はムルングに祈ります。私は皆さまにお祈り申し上げます。北の皆さま(a kpwa vuri)に、南(a kpwa mwaka)の皆さまに、東(mulairo wa dzuwa)の皆さまに、西(mutserero wa dzuwa)の皆さまに、ブグブグ(bugubugu73)の方々に、ニェンゼ74の小池の方々に。私はまた、子神ドゥガ(mwanaduga)、子神トロ(mwanatoro)、子神マユンゲ(mwanamayunge)、子神ムカンガガ(mwanamukangaga)、キンビカヤ(chimbikaya)、あなたがた池を蹂躙する皆さまに、そして子神ムルング・マレラ(mwanamulungu marera)、そして子神サンバラ人(mwana musambala)とともにおられる子神ムルングジ(mwanamulungu mulunguzi)、皆さまにお祈りいたします。あなたヴンザレレ、大いなる蛇。私は皆さまにお祈り申します。ジャビジャビ(Jabijabi)の池の方がた、ングラとングラ(ngura na ngura)、お母さんの場所ゾンボ(Dzombo)、ムガマーニ(Mugamani)のサンブル(Samburu、地名)で争っておられる皆さま、ンディマ(ndima)を見ようと、皆さまが家に帰ると、なんとポングェのカヤ(kaya Pongbwe)が壊されている。それは皆さまがた(憑依霊の皆さま)のせいだというのです。どうかおだやかに。 おだやかに。キンガンギーニ(Ching'ang'ini 池の名前)の方々、キグルフュラ(Chigulu fyula 池の名前)の、キンベーブォ(Chimbepho 池の名前)の、マレレ(Marere 淵の名前)の、ゾンボ山(Chirima cha dzombo)の、高い木々の、皆さますべて、皆さま方におしずまりくださいと申します。おだやかに、皆さまに穏やかにともうします、あなたムルング子神、ペーポー子神(mwana p'ep'o)、バラワ人(mubarawa)、サンズア(sanzua)、ブルシ人(bulushi バルーチ人)、ムクヮビ人(mukpwaphi)、天空のキツィンバカジ(chitsimbakazi cha mbinguni)、池のキツィンバカジ(chitsimbakazi cha ziyani)、地下のペーポーコマ(p'ep'o k'oma wa kuzimu)、池のペーポーコマ(p'ep'o k'oma wa ziyani)。あなたガラ人(mugala)、ボニ人(muboni)、ダハロ人(mudahalo)、コロンゴ人(mukorongo)、あなたコロメア人(mukoromea)、ドゥングマレ(dungumale)、ジム(zimu)、キズカ(chizuka)、スンドゥジ(sunduzi)、ドエ人(mudoe)。あなたドエ人、またの名をムリマンガオ(murimangao)。あなた奴隷(mutumwa)、またの名をンギンドゥ人(mungindo)。このなかには、あなたデナ(dena)とニャリ(nyari)、キユガアガンガ(chiyugaaganga)、ルキ(luki)、ムビリキモ(mbilichimo)、カレ(kare)とガーシャ(gasha)、レロニレロ(rero ni rero)、あなたプンガヘワ(pungahewa)子神。
5108
Chari: イキリク(ichiliku)とともにディゴ人(mudigo)もいます。私はあなたがたにおしずまりくださいと申します。あなたジネ・バラ・ワ・キマサイ(jine bara wa chimasai)もいます。あなたゴロゴシ(gologoshi)、またの名をンガイ(ngai)もいます。ンガイまたの名をカンバ人(mukamba)、カヴィロンド人(mukavirondo)、マウィヤ人(mawiya)、ナンディ人(munandi)、ムマニェマ人(mumanyema)。私は皆さま方におだやかにと申します。あなたディゴゼー(digozee)、ムビリキモ(mbilichimo)ともども。おだやかに、私の兄弟たち。 私は癒し手ではありません。私は祖霊とムルングに祈ります。この身体ある私本人の望みは、私が病人のために祖霊にこのようにお祈りすることが、ちょうど、かつて同じように病に苦しんだ私自身が、私の治療上の母フピ・ンゴメ(Fupi wa Ngome)とマシュディ・マンガーレ(Mashudi wa Mangale)に、そしてバンジュ・ムレマ(Banju wa Murema)とメズマ(Mezuma)によって、私のために祈ってもらえたのと同じ(ように患者を癒すこと)であることです。この私は、もし私が私の草木の束(vanda)をこの者に試みれば、この者が治り、治って仕事ができるようになることです。私は皆さまに穏やかにと申し上げます。 おだやかに、あなたライカ(laika)、ライカ・ムェンド(laika mwendo)、風とともに進むライカ(laika mwenda na upepo)、ライカ・キグェンゴ(laika chigbwengo)、ライカ・ムカンガガ(laika mukangaga)。ライカ・ヌフシ(laika nuhusi)もいます。あなたヌフシ、またの名をパガオ(pagao)、そのまたの名はあなたムズカ(muzuka)。ライカ・ムァニョーカ(laika mwanyoka)、ライカ・マフィラ(laika mwafira)、ライカ・ズズ(laika zuzu)、ライカ・ドンド(laika dondo)、ライカ・キフォフォ(laika chifofo)。あなたライカ・キフォフォ、またの名をライカ・トブェ(laika tophe)。 私はあなたに、おだやかにと申します。あなたムァムニィカ(mwamunyika42)。ムァムニィカはあなたヴンザレレ70、大いなる蛇、あなたこそ地面のキザの主です。さて、多くの人が無くなって年月が経ちました。(こんにちの)人々はキザといえば、シェラどものキザしか知りません。ミルング(milungu131)のキザの存在は、すっかり忘れ去られてしまいました。私は祖父の癒やしの術を与えられましたが、その祖父は今の人ではなく、大昔の人間です。私はそれ(その祖父の癒やしの術)を手に握りました。というのもその祖父の施術師の袋(ムコバmukoba132)を与えられたからです。祖父のムコバをあたえられたとすれば、私が自ら発狂したからです。私は薬を人に教えられたりしませんでした。発狂したことで、ムコバを与えられたのです。ですが、その発狂は、私自身でしたことでした。
5109
Chari: 私は人から癒やしの術を授けられたのではありません。こうして今、私はムルングの鍋とムルングのキザ、そして地面のキザを設置しました。地面のキザ、それはあなたムァムニィカ、あなた大いなる蛇、あなたヴンザレレです。私はつつがなきことを欲します。つつがなきこと。頭(が痛むこと)もない。くらくらすることもない。背中や肺が重苦しいこともない。腰が断たれることもない。脚が折れ潰れることもない。心臓が速く打つこともない、食欲がなくなることもない。どうか御主人様。腹が唸ることもない、腹が突き刺されることもない、腎臓が噛み潰されることもない。下腹部が重苦しいこともない。この者には全身、良いところがありません。私は断言します。こうした問題は、水辺のナピアグラス133のごとく、清らかなれ、どうか御主人様。
(チャリは地面のキザの水を患者の頭に繰り返し掛ける)
C: ヒリリリリ(甲高い嬌声)、ヒリリリリ、ヒリリリリ.さあ、降りてきてください、あなた大いなる蛇、あなたヴンザレレ。ヒリリリリ、あなた大いなるムルング、ヒリリリリ。 穏やかに、私の兄弟たち。あなたがたが振るった鞭を、彼女は身にしみています。私はお話ししますので、どうか皆さまお聞き届けください。私は癒し手ではありません。私はムルングによって力を与えられているだけです。お話しなら、私はお話しします。でもムルングがそれをお望みになる限りのことです。ムルングがお望みになるなら、皆さま、私にターバンを身に着けさせてください134。私の一族の祖霊たちと、この患者の一族の祖霊たち、一ところで静かに眠れ。どうか御主人様方。穏やかに、私の兄弟たちよ。この者は人間、ムルングの被造物(chumbe cha mulungu)、ムルングの奴隷(muja)、皆さま方の人間なのです。穏やかに!