(from diary) Nov. 28, 1991, Thu, kpwisha
午後3時、MurinaとChari1が来て、Dunia11のnyungu9を据えに行くというので同行する。Ngonzini23のduka24の少し手前で左に入った屋敷。先日来ていた目の不自由な女性に対するもの。訪問してnyunguを用意していると、いきなり歌うようにninafa25と泣き出し、Chariがベッドに座って彼女の頭を撫でながらmakokoteri26。Chariは私に「Kasidi17の仕事を見たかい?」と面白そうに尋ねる。Kasidiでgolomokpwa27していたのだ。その後は女性はごく普通に機嫌よく振舞う。Murina戸外で女性を水でkogeshaしながらmakokoteri(なんちゃってアラブ語)。女性が、うなり声を上げているので、yugolomokpwa?と尋ねるが、違う、水が冷たいからだと。なんだ。大げさな女性なのだ。 すべてが終わり、fungu28の代わりに(お金がなかった)赤いjogolo29をもって帰る。この女性、機嫌よく見送りにやってきたが、途中でまた泣き出し、自分は死ぬと歌う。Chari 再びKasidiに対してmakokoteri。泣き止む。
目の不自由なこの女性、および彼女の母はかつてMurinaとChariの「治療上の子供」30だった。しばらく疎遠になっていたが、今回のMejumaaの病気で再び治療状の親子関係にたつことになった。Mejumaa 自身が姉妹に手を引かれてChariのもとを訪れて窮状を訴えた。その2つの問題症状、Mejumaaの目が見えなくなったこと、脚が痛くて歩けないほどであることは、妖術のせいだとも考えられており、今回は妖術の治療(施術師Bemureziが従事している)と並行して、MurinaとChariによる憑依霊に対する治療が行われることになった。占い(mburuga31)を介さない形で、治療のための鍋が行われたケースになる。
MurinaとChari夫妻が鍋9とキザ10設置を行う。世界導師(Mwalimu Dunia)はイスラムと内陸部の非イスラムの2つの属性をもつので、イスラム系の憑依霊の施術も世界導師の治療には含まれる。Murinaは他の施術師(治療上の父、及び母)の手によって正式に憑依霊の施術師になったわけではないが、彼の言い方によると、憑依霊の方から彼の頭にやってきて必要な知識をすべて入れてくれたので、人間の施術師によって「外に出される ku-laviwa konze(nze)」されるまでもないのだそうだ3。Chariは、自らの死にかけたほどの重病のなかで世界導師の治療を受け、その後正式に「外に出され」ている。
(1991年11月28日のフィールドノートより) 例によってフィールドノートをほぼそのまま転記したテキストをそのまま貼り付ける。ナンバリングはフィールドノートにおけるもの。フィールドノートそのものの記述に手を加えないため、現地語なども注釈の形で補足説明することにしている。(DB...)は後にフィールドノートに紐づけた書き起こしテキストの、該当箇所を示す番号。植物名の同定はフィールドではできず、文献に基づく事後的な補筆である。
musanduku(ユーカリ)使用! 7日間朝夕 kudzifukiza32
<屋内での施術> (1)Murina、mitsanga ya funguni(砂浜の砂)を nyungu9 に入れる (2)次いで、mihi ya pwani33(乾燥したもの)を入れて、簡単なkugomba34 mukoko 葉(Rhizophora mucorata) mukungu (Terminalia catappa) mukungamvula mudazimbuu (cf. mudaziweru=Encephalartos hildebrandtii mukandaa mutswi (Avicennia marina) (3)Murina、mavumba6の材料(buba35、kafuri36 etc)をchinu37に入れてkuphonda38 (4)Chari, mihi ya bara39 を入れる まず mubambakofi(Afzelia quanzensis) を握って kugomba (DB 4248-4257) ドゥルマ語テクスト (5)Chari, mavumba6を入れ、次いで、musanduku を入れる 次いで、Murina、mubambakofi を持って「アラビア語」でmakokoteri26開始 (DB 4253-4254 his "arabic" was not transcribed.) 患者、泣きはじめ kulaga40 し始めたので、Chari、患者の横に座って makokoteri どうやらkasidi17に憑依されている様子 (DB 4253-4255) ドゥルマ語テクスト (6)Murina、muzyondoherangulwe(同じく muhi wa bara)を入れて スワヒリ語も 混じえて makokoteri (DB 4254, 4256-4257) ドゥルマ語テクスト 続いて他のmihi ya baraを加える mbulushi mutomoko mukanju musanduku mubibo mupera (7)最後に再び mavumba を入れ、kafuri を一片加える
<屋外での施術> (8)chizaの準備 nyunguに用いたmihi + mulungu41、laika47 などその他のp'ep'oのmihi のミックス (9)小屋の外に出て、Murina、患者の右耳をつかんでmakokoteri、バケツ一杯の水 でMejumaaを洗う(Mejumaa悲鳴) (DB 4258-4259) ドゥルマ語テクスト (10)Chari、右手を患者の頭に置いて makokoteri arumwengu osi に対してkokoteraした後、患者の右手を握手しながら kasidiに対して、adzomba65 の nyunguを据えることに対する許しを乞う (DB 4260-4265) ドゥルマ語テクスト (11)その間、Murina はubani66でnyunguをkufukiza67 (12)Murina、患者の頭に右手を置いて makokoteri 患者は脚を開いて投げ出してすわり、脚の間にnyunguを挟んでいる (DB 4266-4269) ドゥルマ語テクスト (13)madzi ga pwani68 を50ccほどnyunguに入れる (14)ryale69(4シル、8シル)をnyunguをkujita70してくれる人に手渡す。 これなしでnyunguをkujitaすることはできない。 (15)患者の母に対してmakokoteri (DB 4270-4271) ドゥルマ語テクスト 患者の母がnyunguをkujitaし、患者をkufukizaしてやる この患者の母にryaleを渡す。そうしないとnyamaが嫉妬して母を病気 にするかもしれないから。 (これについては DB 4631 も参照のこと)
別れ際、ここまで機嫌良かったMejumaaは再度golomokpwaし、頭が金槌で殴られたように痛い、もう自分は死ぬと泣く。Chariがmakokoteriして泣き止む。 (DB 4272-4274) ドゥルマ語テクスト
Chari、bambakofiを握って唱えごと (DB 4248-4257) 4248
ビスミラーイ、ラハマーニ、ラヒーム...(略) さて、私はお話します。こんな時間にお話するつもりはありませんでした。私がお話するとすれば、私はメジュマーのためにお話いたします。この子供は病気です。彼女の病気はと言うと、ずっと以前に始まったものです。昨日始まったものではありません。私は彼女を長いあいだ治療しました。でも、その後お互いに音信は途絶えてしまいました。今、この子供は病気です。彼女の病気は周りの人を困惑させるものでした。 まず第一に頭です。頭が耐えられないほど痛い、そして間がまったく見えない。この私の子供は、出かけるにも誰か介助者がいるほど目が見えないのです。まるでとても小さな子どもみたいに。でも、そのときにはまだ目は完全に殺されてはいなかったんですね。もう今では、目は死んでしまいました。私たちにはそれが妖術のせいなのかわかりません。憑依霊のせいなのかもわかりません。でも憑依霊たちのせいでおこりうることだとは言えます。
4249
わたしたちは、鍋を置きに来たほうがよかろうと思いました。というのも、昨日、昨日でしたっけ?彼女に手をおいて唱えごとをいたしました。というのも、彼女がツォガ(皮膚をカミソリで切りそこにムハソ(muhaso薬)を擦り込む妖術治療の施術クツォザkutsodza)をしっかり受けることになったとしても(良いように)。(この病気が)妖術のせいだということで、彼女が妖術のクブェンドゥラ71を受けることになる。さらには彼女にクツォザを施される必要があると言われることになるかもしれない。そうなると彼女が、(憑依霊の)みなさま方によって打倒されてしまうことになる72。というわけで私たちは知っておいた方が良い。なるほど彼女の目は見えないが、なんと憑依霊が彼女を煩わしていたんだ(ということなのかどうかを)。 私たちは日程の約束をして、私たちは木曜の日に参りますと言いました。そして今日がその木曜日です。ずっと先の日を約束しなかったのも、この病気は少ない病気ではないからです。だって人は歩いていくとき、目がみえるんじゃないと!さらに頭痛はとても我慢出来ないほど。 このように、私たちは参りました。鍋を置きに参りました。誰の鍋ですか。バラナプワニ(bara na pwani=内陸部と海岸部、世界導師mwalimu duniaの別名)の鍋です。ジャンバ導師と一緒におわします世界導師です。
4250
いま私たちはこの鍋を置きに参りました。わたしたちはこの人がひどい目にあっていると見ています。身体はどうしようもないほど、いっぱいになっています(何かが詰まって膨満している)。彼女が私は病気ですと言っても、誰も同意しないでしょう。でも事実病気なのです。しかし私たちはこうした症状は、あなたジャンバ・スディアーニ(ジャンバのスディアニ Sudiani Jamba)とあなたドゥニア(Dunia=世界、世界導師の別名)によって引き起こされるのだと申します。いま、私たちはあなたがたのためにこの鍋をお置きいたします。いま私たちは欲します。目は、(壁に開いた大きな)割れ目のごとく、見えよと。身体は(中の水が抜けて)小さくなり、頭は冷えよと。いま私たちが願うのは、つつがなきことです。この子供を私たちが治療すれば、この鍋、私たちがあなたがたのためにお置きするこの鍋、この鍋は何をしてくれるのですか?病気を取り除いてくれるのです。 病気は(水辺の)ナピアグラス(elephant grass73)のごとく、清らかなれ!脚は、家の支柱(nguzo)のごとく、しっかと立て!目は、(壁の)割れ目(nanda)のごとく、見えよ。 世界導師よ。私はあなたを盗んではおりません。私自身の苦しみと困難です。私自身、病気に苦しみました。自分はもう治ることはないだろうと思ったほどです。
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私はムルング(mulungu)の癒やしの術(uganga)を外に出してもらいました(憑依霊ムルングの施術師に正式になりました)。でもなんと、それでは十分ではなかったのです。さらに世界導師の癒やしの術が求められていたのです。あなた世界導師です。あなた自身がわたしに癒やしの術を授けてくださいました。人から与えられたのではありません。たしかに私は(私の治療上の母と父である)フピ・ンゴメとマスディ・マンガレの二人から世界導師の瓢箪を授かりました。たしかに私は(二人から)授かりました。でもあなた世界導師さまご自身こそが、わたしに癒やしの術をくださったのです。そして今に至るまで、あなたはいまも私を導いてくださっています。 そういうわけで、私は世界導師の瓢箪を手に入れ、こうして私は友のために鍋を据えたいと願っているだけです。私が彼女を治療し、彼女が元気になるようにと。どうかみなさま方(私の言葉を)お聞き届けください。 いま、今日、私はこの鍋を置きます。この鍋を私は誰といっしょに置くのでしょう。平安(amani)とともにです。アマニ(平安)というのはこの人(Chariの夫Murina)のことです。というのはこれはこの人の名前、憑依霊名(dzina ra shetani)だからです。この人はアマニと申します。憑依霊名です。いま、つつがなきことこそ私たちが願うことです。この子供の。
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私たちが願うのは、わたしたちがこの鍋を据えたなら、病気は(水辺の)ナピアグラスのごとく、清らかなれ!どうか御主人様方、私の兄弟たち。皆さまがたはこの者を鞭打ってこられました。それはなんとみなさま方のことが(彼らに)知られていないからだったのですね。でもそれは昨日、一昨日のこと(もう過ぎたこと)です。いま、現在、私たちが望んでいるのは、つつがなきこと。あなた、バラナプワニ(bara na pwani=内陸部と海岸部、世界導師の別名)、あなたは、イスラム教徒でありながらドゥルマ人。あなたはドゥルマ語も理解する。あらゆる部族語を理解する。あなた、部族を守り導く者よ。 (チャリのムバンバコフィの唱えごと終了)
4253 (ムリナ、ムバンバコフィの木を手に持って唱えごと開始)
アラー、ヤカナ...(ムリナの「アラビア語」書き起こし不可能と書き起こし係の判断) (少し後、メジュマー(患者)突然泣き出す。ムリナの唱えごとはそのまま続いている。) Mejumaa:お母さん、ええ、ええ、私は死んじゃう、ええ。死ぬよ。お母さん、私死んじゃう。 Chari: 我が子よ、お前は死なないよ。死なないよ!我が子よ! Mej: 死んじゃうよ。お母さん。私死んじゃうよ、私、ええ、ええ。 C: 我が子よ、お前は死なないよ。お前は死なないよ。女の子は死ぬもんですか。わたしゃ、赤ちゃんの我が子を手に入れたよ。なあ、我が子よ。お前は死んだりしないよ。子供が母親を見たら、嬉しくなるもんじゃないかい。なのに今、あなたがたはこの子を殺そうという。どうしてこの子を殺すのですか。もしあなたがカシディ(kasidi17、女性の憑依霊ドゥルマ人)ならば。あなたカシディ、あなたドゥルマ人15。今、頭痛が軽減しますよう、私は願います。あなたがたがもし私がここに来ることをお望みなら、さあ、まずは頭痛を軽くしてください。あの今置こうとしている鍋は、トラブル抜きで湯気を浴びてもらいたいのです。こうした頭痛を感じたりしないように。
4254
C: 私としては、この鍋が終わったら。何日もかかる鍋ではありません、この鍋は。私は今度は皆さまの鍋を置きに参るつもりです。あなた、カシディ17、あなたドゥルマ人15、内側の問題もご存知、外側の問題もご存知と言われるあなたカルメンガラ(kalumengala16)。私はあなたにおしずまりくださいと申します。そして「おしずまりください」と申しましたら、私のその言葉をお聞き届けください。私の友人よ。あなたカリマンジャロ(karimanjaro74)、あなたの住んでいる所は、サカケなのか、ニョンゴロなのか、ルカカーニなのか。それともゴブォなのか。私の望みは、この子供のつつがなきことです。もし私がやってきて、この子が死ぬなんてことがあったら、いったい私はどうしたらよいのでしょう。 (メジュマー泣きじゃくっている。ムリナの唱えごと終了。続いてムリナ、ムジョンドヘラングルウェを手にとってスワヒリ語混在の唱えごとを開始するが、その内容本体については、チャリとメジュマーのやり取りの書き起こしのあとに記す) M: ビスミラーイ、ラハマーニ、ラヒーム....(「アラビア語」部分書き起こされず)... C: さあ、おしずまりくださいな、あなた。私はあなたのことはよく知っています。あなたの(振る舞い)はカシディ(kasidi17)です。今は、このカシディが消え去ることを願います。 (ムリナ、アラビア語の唱えごとを中断して) M: なにごとも一つずつだよ。 C: なにごとも一つずつです。さて、もし皆さま方が香料のこの臭いをお感じになって、彼女を殺そうとなさっているのでしたら、どうかおしずまりください、と申します。
4255
C: ところであなたは私が真剣だってご存知ですね。わたしにあなたの鍋を置きに参らせてください。もうしっかりと鍋をお置きしますよ。だからあちら(世界導師)を先に行かせてやってください。あなたの鍋は12日間の鍋ですよ。さらに私は、あの目が見えるようにと願います、あの目が。私がドゥルマ人の鍋を置きに来たら、すでに目が見えるようになっていますように。どうして今、私がやって来たと思ったら、あなたがたは私の子供を殺そうとなさるんですか。いったいなんのために彼女を殺そうとなさるんですか。ああ、おしずまりください、あなた。さあ、おしずまりください、私の子供を死なせないでください。なぜですか。この子供は、もし母に会ったら、喜ぶもの。なのにこの子はその母に会って、死にそうになる。子供には父がおり、母がいるものです。事を急いでいるあいつら(世界導師ら)も鍋を与えられますが、あのろくでもない奴らのことは、かまわないでください。だってあいつらは腐った連中ですから。彼らの(鍋の)日数なんて数えるほどのものです。今日、もしあなたがこの者を殺そうとなさっているなら、この者には手を出さず、まずは私にあなたのあの鍋、12日間の鍋を置かしてください。香料(ドゥルマ人の好む内陸部の草木の香料)もしっかりお入れします。まずは私の言うことをお聞き届けください。さあ、しずまってしずまって私の子供。
4256 チャリとメジュマに憑いているカシディとのやり取りの途中で開始された、ムリナの唱えごと。
Murina: ビスミラーイ、ラハマーニ、ラヒーム...(以下書き起こされず) スワヒリ語にスィッチ M: さて私はあなたジャブジャブ(jabu jabu)にお話しします。水の上におわすライオン(simba mukalia maji)よ。あなたジネバハリ(jine bahari75)、またの名を(以下、数語聞き取れない)...ああ?私はコーランのアラブ人(mwarabu kuruwani)にお話しします。私はペンバ人のアラブ人(mwarabu mupemba)にお話しします。私はアラビアのアラブ人(mwarabu manga76)に、ロハニ(rohani77)にお話しします。私はマスカット(オマーンの首都)のアラブ人にお話します。私はジャバレ(jabale=大岩、入道雲)のペンバ人のアラブ人(mwarabu mupemba jabale)にお話しします。私はジネ(jine=ジン)・ムァンバ(mwamba=サンゴ礁)のアラブ人(mwarabu jine mwamba78)にお話しします。ジネ・ムァンバまたの名をジウェ(jiwe=石)。7と70。 私はこの鍋をお置きします。私はこの鍋を、王ジャバレ(mufalume jabale; jabale=大岩,入道雲)、空におわします王(mfalme mukalia anga)に、王ペンバ人(mfalme mupemba4)に、空洞(vungu)のペンバ人(vungu mupemba)、白亜(chaki)のペンバ人(chaki mupemba79)に、アウトリガー船(ngarawa(ドゥルマ語)=galawa(スワヒリ語))のペンバ人(ngarawa mupemba)に、お置きいたします。汝イディティ(iditi=不明)よ。水の畑(konde la maji=水田か?)の方々、血の湖(ziwa la damu)の方々、みなさま方に私は、皆さんご注目ください、と申し上げます。私は皆さまにこの鍋を差し上げます。皆さま平安の鍋をどうかお受け取りください。私、自らも平安とともにあります。
4257
M: 今、今日、私は平安の鍋をお差し出しいたします。お聞きください。私は人を欺くことはできません。この癒やしの術を、私は喜んで手に入れはいたしませんでした。またそれを盗みもいたしませんでした。私はそれを、みなさま方首長の皆様、高貴なる皆さまに、みなさま方ご自身によって手に入れたのです。7と70。全能の神の御慈悲を私にお開きください。私の兄弟の皆さま、この鍋は、いうなれば敬意を込めたご挨拶の鍋です。サラーム・ワレイクム、ワレイクム・サラーム。 ムリナ再び彼の書き起こし不能な「アラビア語」にスィッチ。しばらく後に、スワヒリ語に戻る。 M: 私の兄弟の皆さま、シャイルーラ80、そこにいらっしゃるジネ・バハリ(jine bahari=海)、そこにいらっしゃるサンゴ礁におわします高きジネ(jine mukuu mukalia mwamba)、そこにいらっしゃるイリム・ドゥニア(ilimu dunia=世界の知識、ムリナによると世界導師 mwalimu duniaに同じ。ilimu=elimu=知識、学12)、そこにいらっしゃる、あなた天空におわしますジャバレ(jabale mukalia anga)、そこにいらっしゃるジネ・シンバ(jine simba[^jine_tsimba]; simba=ライオン)、そこにいらっしゃるメッカのスディアニ導師(malimu sudiani makka)、そこにいらっしゃるペンバ人(mupemba4)、ヴヴのペンバ人(vuvu mupemba, vuvu=不明、おそらく地名)、白亜のペンバ人(chaki mupemba79)、アウトリガー船のペンバ人(ngarawa mupemba)、タコノキ(mikadi81)、そこにいらっしゃる、あなたマノワリ(manowari=戦士, (英語)man of warより)、そこにいらっしゃる、あなた内陸部のジネ(jine wa bara)、7と70。 みなさま方に申し上げます。どうか全能の神の御慈悲によって7と70の扉をお開きください。シャイルラーニ80、そしてご注目ください。ご注目くださいと申し上げることは、人を押し倒すことではございません。 (ムリナの唱えごと終了)
4258 小屋の外に出て、ムリナはメジュマーの右の耳をもって唱えごと
Murina: (例によって書き起こし不能な彼の「アラビア語」で1分ほどの後スワヒリ語で) さて、ご注目ください、高貴なる方々(wangwana)、ご注目ください、高貴なる方々。私はチャキチャキ(chakichaki=ペンバ島の中心地 ChakeChake)の方々、ヴヴの方々、水の畑の方々、血の湖の方々、チョウジノキ(mikarafuu)のところの方々、ミドドーニ(Midodoni=ザンジバル島北部の地名)の方々、砂漠(jangwa)の方々に、ご注目いただきます。私は、すべてのコーランの導師の方々に、ご注目いただきます。私は、スディアニ(sudiani)導師、メッカのスディアニ(sudiani maka)、メッカの巡礼者(zurura maka)、メッカのジャバレ(jabale wa maka)に、ご注目いただきます。私はサンゴ礁におわしますヘビたちの最高位ジャンバ(Jamba mukuu wa majoka mukalia mwamba)に、イリム・ドゥニアに、天空におわします王たる導師に、ご注目いただきます。私は、ジネ・シンバに、ゴジャマ導師(mwalimu gojama)に、スルタン・ムァンガ(sorotani=スルタン、mwanga=空洞、光)に、ご注目いただきます。 同胞の方々、私の兄弟の皆さま、シャイルラ。今、このシャイルラの後に。今日は木曜日です。昨日来、私は、この今日の木曜日に皆さま方に鍋をお差し出しいたしますと申してまいりました。この鍋を、私はあなたがた私の兄弟の皆さまに、もって参りました。全能の神においてアマニ(amani=平安、ムリナの治療上の名前でもある)を知っていただきたいと。
4259
M: そして今、私は皆さま方にjauo82を差し上げます。jauoには...(「アラビア語」)...兄弟に対する隣人...(「アラビア語」)...主に対する主(rabi kwa rabi)、兄弟の皆さま、皆さま方に対して、シャイルラと、そしてまた、ご注目くださいと、私に言わせてください。ご注目くださいは、人を押し倒すことではございません。...(「アラビア語」)...何を求めて私は皆さま方に、7と70の扉を開いてくださるよう申しているのでしょうか。ラハマーニと全能の神のためなのです。皆さま方が開いてくだされば、さあ、それで皆さまもたくさんの物を手に入れます。...よりも(ここからは「アラビア語」が主になる。ところどころ聞き覚えのある言葉が散らばる)...まさに主(rabi kabisa)...ジャバレ導師....ジネ・ムァンガ(jine mwanga, mwanga=光)...サンゴ礁におわしますジャンバ...シンバ・マジョカ(simba=ライオン majoka=ヘビ(複数形))...隣人と友人と平安(アマニ)。 ジンジャ(Jinja83)、カリマンジャロ74、私はあなたがたにjauoを差し上げますと申し上げます。しかし、皆さま方がここをお発ちになるとき、どうか7と70の扉をお開きください。私は、首長の方々(mashehe)、高貴なる皆さま(masharifu)、モスクの導師の皆さまのために、乞い祈ります。なかにいらっしゃるあなたがた高貴な方々(wangwana)ともども、バラカトゥ((アラビア語)wabarakatuh=(神の)祝福)...... (最後まで「アラビア語」で締める。この間、Mejumaaにバケツの水を何度も浴びせる) Mejumaa: ヒェー、ヒェー、ヒィイ、ヒェー...
4260 (チャリ、内陸系の憑依霊全員に対して、イスラム系の鍋を置くことの許しを乞う)
どうかおだやかに、おだやかに、世界の住人の皆さま、私はお話しいたします。こんな時間にお話するつもりはありませんでした。私はあなたがた世界の住人の皆さまにお話しいたします。さて、私はお祈り(お願い)いたします。北の皆さま(a kpwa vuri)に、南(a kpwa mwaka)の東(mulairo wa dzuwa)の西(mutserero wa dzuwa)の皆さまに、ブグブグ(bugubugu84)の方々、ニェンゼ85の小池の方々に。私はまた、子神ドゥガ(mwanaduga86)、子神トロ(mwanatoro87)、子神マユンゲ(mwanamayunge88)、子神ムカンガガ(mwanamukangaga89)、キンビカヤ(chimbikaya90)、あなたがた池を蹂躙する皆さまに、そして子神ムルング・マレラ(mwanamulungu marera91)、そして子神サンバラ人(mwana musambala92)とともにおられる子神ムルングジ(mwanamulungu mulunguzi93)、皆さまにお祈りいたします。 おだやかに、ジャビジャビ(Jabijabi)の池の方がた、ングラとングラ(ngura na ngura94)、お母さんの場所ゾンボ(Dzombo95)、ムガマーニ(Mugamani96)のサンブル(Samburu、地名[^samburu])で争っておられる皆さま、ンディマ(ndima97)を見ようと、皆さまが家に帰ると、なんとポングェのカヤ(kaya Pongbwe98)が壊されている。それは皆さまがた(憑依霊の皆さま)のせいなのです。どうかおだやかに。私たちがおだやかにと申し上げることもなかったでしょうに。私たちがおだやかにと申し上げにまいったのは、子供が病気だからなのです。 病気になってというもの、彼女は道を迷い歩き、世界を放浪するもの、この世を彷徨う者。食べることもできず、眠ることもできず、座っていることもできない。彼女は悲しんでいます、このうえもなく。わたしたちはこの病気に驚いております。病気は目を捕らえました。目はまったく、全然見えません。そして頭もです。この頭ときたら。目が見えなくなったと思ったら、頭痛です。
4261 (唱えごと中断。ムリナとの短いやりとり)
Murina: あの乳香のかけら、お前あっちに入れたのかい? Chari: ええ。 M: じゃあ、置いてあった例の香料(の包み)を渡してくれ。開いてみよう。そのなかに乳香がある。 (唱えごと再開) C: さて、私は皆さまにおしずまりくださいと申します、私の兄弟の皆さま。私は皆さまにおしずまりくださいと申しに参りました。私はあなたムルング子神(mwanamulungu)にお話しいたします。ムルング子神よ、そこにいるのは、ペーポー子神(mwana p'ep'o99)、バラワ人(mubarawa100)、サンズア(sanzua101)、バルーチ人(bulushi102)、ムクヮビ人(mukpwaphi103)もごいっしょに。ムクヮビ人、天空のキツィンバカジ(chitsimbakazi48 cha mbinguni)、池のキツィンバカジ(chitsimbakazi cha ziyani)、地下のペーポーコマ(p'ep'o k'oma104 wa kuzimu)、池のペーポーコマ(p'ep'o k'oma wa ziyani)。あなたガラ人(mugala105)、ダハロ人(mudahalo106)、コロンゴ人(mukorongo107)、コロメア人(mukoromea109)、ドゥングマレ(dungumale112)、ジム(zimu113)、キズカ(chizuka114)、スンドゥジ(sunduzi115)、ドエ人(mudoe116)。あなたドエ人、またの名をムリマンガオ(murimangao117)。あなた奴隷(mutumwa118)、またの名をンギンドゥ人(mungindo108)。皆さまのあいだには、あなたデナ(dena62)とニャリ(nyari63)、キユガアガンガ(chiyugaaganga[^chiyuga])、ルキ(luki119)、ムビリキモ(mbilichimo19)、カレ(kare120)とガーシャ(gasha121)、レロニレロ(rero ni rero123)、あなたマンダノ(mandano20)、あなたプンガヘワ(pungahewa127)子神。あなたディゴ人(mudigo)もおられます。あなたディゴ人、またの名をシェラ(124)、そのまたの名をイキリク(126)。私は皆さま方におしずまりくださいと申します。皆さまにおしずまりくださいと申します。私の兄弟の皆さま方。
4262
C: 私は皆さまにおせがみいたします。というのもこの子供(の病気)はずっと前に始まったものなのです。皆さまは彼女を目でお苦しめになりました。人間は、病気になって痛むことはあるでしょう。でも外を自分で見ることができるものではないでしょうか。なのに、病気になって外も見えないなんて、誰にも会いに行けないじゃないですか。こうして私が皆さまに申し上げ、またこのように申し上げに参りました。どうしてでしょう。 あなたディゴゼー(digozee18)と、ごいっしょのムビリキモ(19)がいらっしゃるからです。これからここで鍋が差し出されます。それはイスラム教徒たちの鍋です。どうかいらっしゃって、自分たちは知らなかったぞ、などとおっしゃらないでください。わたしたちは鍋を差し出します。鍋はイスラム教徒たちのための鍋です。そしてこの鍋の湯気が浴びられ、鍋が終了したら、さあ、私たちは別の大きな鍋を置きに参ります。でも今のところは、私たちは皆さまにおしずまりくださいと申し上げます。そしておしずまりくださいに、どうか耳をお傾けください。どうかお聞き届けください、私の兄弟の皆さま。
4263
あれなる鍋の湯気を浴びたら、病気は(水辺の)ナピアグラス(elephant grass73)のごとく、清らかなれ、私の兄弟の皆さま!あれなる鍋の湯気を浴びたら、病気はダルマワシ(pungu)のごとく、飛び去れ!脚は家の支柱(nguzo)のごとく、しっかと立て!腕は握り拳(mikpwaho)のごとく、しかと握れ。頭は木の御椀のごとく、まっすぐ立て。目は(壁の)割れ目(nanda)のごとく、見えよ。 私は皆さまにおしずまりくださいと申し上げます、私の兄弟の皆さま。御主人様、御主人様、私たちはあなたの足下に、身を投げ出しております。私は癒し手ではございません。本物の癒し手はムルング自身です。私のすることは、祝福の手を置いて、小指の爪に戻り、そこに腰をおろして静かにしていることです。 争い合う者は二人。そこに三人目がやってくると、その者は仲裁いたします。今日、私は仲裁者。争いを鎮めます。おだやかに、そしておしずまりください、私の兄弟の皆さま。 (続いてチャリは、憑依霊ドゥルマ人個人に直接話しかける) あなた、ドゥルマ人よ。さて、あなたはめったにお目にかかれない凶兆(chisirani)です。おまけに、あなたはカシディ(女性の憑依霊ドゥルマ人、普通名詞としては「無礼者」「非常識な奴」「故意の悪」などの意をもつ)です。あなたカシディ、そのまたの名をカルメンガラ、そのまたの名をドゥルマ人。あなた、そのまたの名をムガイ(mugayi=困窮者)、そのまたの名をシャカ(shaka=不安、困難)、そのまたの名をニョエ(nyoe=バッタの一種、トウモロコシの中に頭を突っ込んで「身を隠そうとする」)。
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C: さて、私はお話しいたします。こんな時間にお話するつもりはありませんでした。私がお話するとすれば、それはこのメジュマーについてです。子供は病気です。頭痛だけです。今や目も見えなくなりました。皆さま方は彼女の身体を太らせた。今や彼女を見た者なら誰もが、彼女は病気だと言います。あなたがたに同意しない者もいるかもしれませんが。今、このとき、私は彼女に死なれてしまいました。今だって、彼女は私は死にそうだ、死にそうだと言うのです。そしてあなたカシディ、あなたことこうしたカシディ(な振る舞い)の持ち主にほかなりません。 本日、私たちは鍋を差し出します。この鍋はイスラム教徒(の憑依霊)たちの鍋です。この鍋はあなたの鍋ではありません。 この場をお立ち去りください。端のほうに行って立っててください。さあ、羽ばたいて、とっとと居なくなって、端のほうに行って立っていてください。あなたは荒廃地(nyika)の人(mutu wa nyika=田舎者)です。あいつらイスラム教徒のやつらの日が終了するまで、待ってなさい。あいつらの(鍋の)日数はたった7日間です、それだけ。あなた、あなたの日数は12日間ですよ。今は、あいつらが自分たちの物を食べるのを、ほっておいてください。だって、物事はひとつづつひとつづつと言うでしょう?各人には、それぞれ自分の食べ物があるのですよ。ああ、おしずまりください、私の友人よ。
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C:この頭、この頭が(憑依霊の干渉から)放置されますように。鍋の湯気を浴びるのに、あなたが彼女の頭を割ろうとするなんて、だめです。まず、私は彼女の目が見えてほしい。私が今度、あなたの鍋と、あなたの香料(mavumba)と、あなたの薬液(vuo)と、あなたの煎じ薬(mihaso ya kujita)を置きに来るときには、彼女が目が見えるようになっていてほしい。そもそも、この鍋の薪を誰に集めてもらおうというのですか?私が鍋を置きに来るときには、彼女が自分で薪を集めに行けるように願います。水汲みにも、自分で行く、そして鍋を自分で煮る。 じゃあ、今日は?彼女は薪を集めに行くこともできない。水場にも行けない。鍋を煮ることすら出来ない。炉石がある場所も見えない。誰がこの子のために鍋を煮てくれるというのでしょう。おしずまりください、御主人様、私の友人よ。私はおしずまりくださいと申します。そしてこのおしずまりください(という言葉)にどうか耳をお傾けください。どうか今日にも(彼女の)頭から手を引いてください。御主人様、私の友よ。
4266 ムリナ氏のスワヒリ語での唱えごとの内容は、イスラム系の憑依霊の名前を列挙する、先の唱えごとと大きく異なっていないため、省略。スワヒリ語の翻訳は、Google翻訳でもなんとかなるかも(ムリナさんは辞書にない単語をけっこう使うが)。
Chari: ええ? Murina: 彼女を支えるのなら、こんな風にもった方がいいよ。大人、っていうか年寄りだから。 C: どうして? M: だって、そんなふうに押さえつけちゃ。 C: 私はね、こんな風にしてね... M: ああ、ああ、じゃあ、そんな風にやりな。 (メジュマーの母に対する唱えごと) C: さて、おだやかに。私はこのような時間にお話するつもりはありませんでした。もしお話するとすれば、難儀のせいでお話しているのです。厄介ごとと難儀です。この者は、鍋を与えられます。あれなる鍋は子どものための鍋です。でも子どもとその母親は切り離せないと言うではないですか。鍋です。この者に鍋を煮てもらいたいのです。鍋は他ならぬ、世界導師(mwalimu dunia)の鍋です。どうか皆さま、やってきてこの者が鍋を煮ているのを見て、この者を組み敷いてしまうようなことはなさらないでください。 まず第一に、私はあなたムルング子神(mwanamulungu)にお願いしようと考えました。あなたこと砦の所有者なのですから。なんと、あなたには客人がおられるかもしれません。でもそれら客人の皆さまは、あなたのお子様です。
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C: あなたムルング子神、あなたとご一緒なのは、ペーポー(p'ep'o99)、バラワ人(mubarawa100)、サンズア(sanzua101)、バルーチ人(bulushi102)、ムクヮビ人(mukpwaphi103)もごいっしょに。ムクヮビ人、天空のキツィンバカジ(chitsimbakazi48 cha mbinguni)、池のキツィンバカジ(chitsimbakazi cha ziyani)、地下のペーポーコマ(p'ep'o k'oma104 wa kuzimu)、池のペーポーコマ(p'ep'o k'oma wa ziyani)。あなたガラ人(mugala105)、ダハロ人(mudahalo106)、コロンゴ人(mukorongo107)、コロメア人(mukoromea109)、ドゥングマレ(dungumale112)、ジム(zimu113)、キズカ(chizuka114)、スンドゥジ(sunduzi115)、ドエ人(mudoe116)。あなたドエ人、またの名をムリマンガオ(murimangao117)。あなた奴隷(mutumwa118)、またの名をンギンドゥ人(mungindo108)。皆さまのあいだには、あなたデナ(dena62)とニャリ(nyari63)、キユガアガンガ(chiyugaaganga[^chiyuga])、ルキ(luki119)、ムビリキモ(mbilichimo19)、カレ(kare120)とガーシャ(gasha121)、レロニレロ(rero ni rero123)、マンダノ(mandano20)、あなたプンガヘワ(pungahewa127)子神。 Murina: (メジュマーに)お前はよくなるよ、吾が子よ。お前はよくなるよ。 Mejumaa: はい、お父さん。 C: 私たちはおしずまりくださいと申します。このおしずまりくださいは、つつがなきことを求めるおしずまりくださいです。つつがなきこと。この者に、彼女の娘のために鍋を煮させてください。リヤレ(代金植民地時代の貨幣単位で)なら、これです。彼女に払われます。リヤレといえば4シリングのことです。でもこの子はすでに大きい。ですからリヤレは8シリングです。今、この者には4シリングが支払われます。あとで金持ち(tajiri=Mejumaaの夫)が来たら、この者にはさらに4シリングが支払われ、あわせて8シリングになります。今はとりあえず、私は皆さま方におしずまりくださいと申します。このおしずまりくださいを、どうか皆さま、お聞き届けください。この者が自分の娘のために鍋を煮るのを邪魔しないでください。鍋が尽きる日まで。彼女の娘が健康になりますように。人は、目が見えるように(この世に)置かれているのです。どうして彼女自身が誰かに(鍋を)煮てもらわねばならないのでしょう。目が見えないからです。娘とその母親は切り離せません。今は、さあ、おしずまりください。やって来てこの者にトラブルを与えないでください。おだやかに。 (唱えごと終了)
4272 (別れ際になって、メジュマー突然、頭を金槌で叩かれているように痛いと泣き出す)
Mejumaa: ええ。私は死ぬよ。金槌で叩かれるよ。 Chari: 金槌で叩かれるって? Mej: お母さん、あなた、私死んじゃうう。 C: はいはい、しずまってね、吾が子よ。かわいそうに、かわいそうに。今は行くけど、また来てお前を連れて、ドゥルマ人の鍋をお前に置いてあげるからね。今、このときにお前が死んでしまったら.... Mej: お母さん、ウェェ、お母さん、ウェェ、私はこんな風にされているの、お母さん。 C: こんな風にされているって? さあ、あなた、痛みを引かせてください、痛みを引かせてください。(今や、チャリの話し相手はMejumaaに憑いている憑依霊ドゥルマ人である)もう止めて。さて、第一に、あなたがこんな風になさるのなら、私はもうここには二度と戻って来ますまい。私は、戻ってきて吾が娘を連れて、あなたのために鍋を置きに来たいのです。あなたドゥルマ人の鍋ですよ。あなたのために鍋を置きに来いと、それでいて今、私の娘をあなたは殺そうとなさるなんて。さあ、この頭の痛みを引かせてください、どうか御主人様、御主人様。この場で死などありません。 Murina: いまは、金槌などありません。 C: 子供は、その父と母を見ると、言うことを聞くものです。
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M: 今はまず、大人しくしていてください。約束の日にちはすでにお伝えしたとおりです。 C: それが約束の日にちです。 M: あの者たち(イスラム系の憑依霊たち)には手を出さずに、彼らに彼らの7日間の鍋にあたらしてやってください。決して長期間じゃありません。ドゥルマ的には。 C: さて、加えてこの頭も、そこから手をひいてください。 M: そしてその8日目の日に、来てあなたの鍋を差し上げます。あなたの鍋は香料オンリーの鍋ですよ。ドゥルマ風そのもの、素敵な鍋ですよ。 C: お聞きになりましたか? Mej: はーいー。 M: 加えて、私は金槌はいやですよ。絶対。今は、金槌は嫌いです。子供は父親に言われたら、言うことをきくものです。子供は母親に言われたら、言うことをきくものです。 C: この頭に、二度と金槌を打ちつけないでください。 Mej: はーいー。 M: 私たちはまるで気狂い(atu a vitswa)みたいに聞こえるだろうなぁ。さて、7日間は大人しくしていてください。8日目に私たちは来て、あなたのためにあなたの鍋を据えに参りますから。 C: こんな風にしていたら、私たちは(人々の)笑い者だと思わないかい?ほらほら、あの人たちを見てご覧、ってね。 M: われわれ全員、まるで気が狂っているみたい。 C: あんたも笑われるよ。あの娘、自分の父と母がそこにいるのに、泣いているよって。 M: さあ、しずまって、お前。かわいそうに。 C: さてさて、御主人様。...吾が娘よ、さあ家に戻りなさい。 M: くわえて、この頭がおとなしくしているように。 C: もう二度と大騒ぎはごめんだよ。 Mej: はい、はい。